第十一話 サーベルタイガー
中央都市の北門から出た場所にある荒野。ここがスライムの楽園、と言ったら言い過ぎか。
都市の近郊で比較的スライムが多いんだよな。
前回はライムを仲間にした。
ライムの後釜に、新しいマップボスのスライムはいないのだろうか。いたら、是非仲間にしたい。
とりあえず、今回の目的は普通のスライムを捕まえる事だ。そちらをしっかりやろう。
「・・・変だわ」
スライムに表情があるか分からないけど、なんとなく落ち着きが無いような。ライムの呼びかけに応じるんだけど、忙しなくポヨンポヨンと跳ねたら、そのまま去ってしまうのだ。
なんかこう
「てーへんだ、てーへんだ。アネさん、急いでるんでさ。すいやせんが、しつれーしやす」
とでも言ってるかのような?
「何故、スライムの言う事が分かったの!?」
ライムが驚愕の表情で俺を見る。
なんとなく、そんな感じがしただけなんだ。
ライムが悔しそうに俺を見る。
もしかしたら、パートナーの能力が俺にも使えるとか。だとしたら、それは俺とライムの絆の証ではないか。
と説明したら納得してくれた。
「フェイロン、スライム達が言ってるよ。向こうにサーベルタイガーがいるって」
「生きてるのか?」
「うん、そう言ってる」
しかし、高レベル冒険者は逃げられたが、致命傷は与えたと言ってたはず。信用が第一の冒険者が、それも高レベルの連中がウソを言うとは思えない。
「よし、ライム。サーベルタイガーのところへ行ってみよう」
「うん」
スライムがポヨンポヨンと跳ねてる。行くのは止めておけと言ってる気がするが、高レベル冒険者の言葉を信じるのだ。
俺達のいた場所から、それほど遠くない場所にサーベルタイガーはいた。確かに、まだ生きているな。もう、消耗しきって身動きは出来ないようだけどな。
サーベルタイガーって言うから、子供の頃に見た想像図みたいなのを連想してたけどさ。デカイ牙の虎だな、これ。
しかも白虎だ。
けっこうレアな奴かもしれない。
全身血塗れで、ハァハァと苦しそうに呼吸をしている。トドメを刺してやるのが慈悲かもしれないな。
剣を抜くと、サーベルタイガーは緩慢にではあるが、頭を上げて俺を見る。ただ殺されるつもりは無いってことか。
「お前が苦しそうだから介錯してやろうと思ったんだ。余計な世話だったか?」
理解できるか分からなかったけど、サーベルタイガーに言ってみた。すると理解したのか、元の通り横になった。だが、奴の視線は俺を捉えたままだ。
なんか惜しいな。殺すには勿体無い。
「こいつは人間を殺めたりしたんだっけ?」
「してないはず」
とライムが答える。ならば、俺が好きにしても構わないよな。俺は剣を地に突き立てると、サーベルタイガーに近寄った。
奴は不思議そうに俺を見てる。「介錯するんじゃねーのかよ?」と言ってるみたいだ。
「俺はお前に運命を感じた。俺のパートナーになれ!」
そう言ってサーベルタイガーを叩いた。
「身体再生、付与。感覚遮断、付与」
ライムが間髪いれずに能力を使う。
グッジョブライム。
サーベルタイガーが光に包まれた。
さぁ、生まれ変われよ。




