第十話 ギルマスとの話
「・・・なんだって?」
「だから、この町はウンコの始末は、どうしてるんですか、と聞いてるんですが」
ギルマスは深いため息を吐くと俺を見つめる。
「何故、そんな事を聞く?」
「ライムの能力を有効活用するべきだ、と思いまして」
それまで呆れた顔で俺を見てたが、急に真剣な表情に変わった。
「ライムの能力は実に有効だ。回復魔法の使い手が不在の時に実感した。だから、お前は回復に関する事で、何か言ってくると思ってたが・・・」
ギルマスは「それなのに、クソかよ」と小さく呟いた。聞こえてんだよ。
回復関連はライムの仲間をパートナーにしないと、これ以上は無理なんだから仕方ない。
それに不潔にしてると疫病が発生したり、大変な目に合うんだぞ。
「お前、この町を不潔と思うか?」
首を振った。
町の中を歩いても、ペットか馬車馬の糞くらいしか落ちてない。本当かどうか知らないが、中世ヨーロッパは、窓から道に汚物を捨てたと書いてあった。
それに比べりゃ清潔そのものだ。
だからこそ、どう処分してるのか気になるんだよな。
「この町は各国の中立地帯なんだ。自然発生的に成立したんじゃなくて、最初から細かい部分まで設計されてたんだよ」
だから初期に建てられた建屋は、トイレが下水に繋がってるそうで、排泄物は下水から堀へ流れて、堀から川へと流れていくそうだ。
ギルドのトイレは一見汲み取り式にも見えたので分からなかったな。
「では最初の設計がしっかりしてたおかげで、今も問題は無いんですね?」
「う〜ん、実は後から住み着いた住人のトイレ事情は悪いんだよ。穴を掘って、そこにしてるから悪臭や、虫の発生とか」
うん、ここだな。
問題点が見えた所で、ライムのスライムに対する意思疎通を利用する事を訴えた。
トイレの穴にスライムを入れて、汚物を処理すれば良いと話す。また食べ残しなど残飯の類もスライムに処理させれば良い。
「スライムと人間でトラブルにならないか?」
「ライムが能力を使えば大丈夫ですよ。どうかな?」
ライムに話を振った。
「この前の能力を使った感じだと、たぶん大丈夫だと思う」
「そうか。ギルマス、町の住人側が馴れたら道に落ちてる汚物を処理させても良いと思いますよ」
「上手く行けばな。だが今は各トイレに入れて試す所からやりたい」
実験に使うスライムは確保してるのかと、問われたので、これから捕まえに行くと答えた。
「お前らが来る直前に、サーベルタイガーの討伐チームが帰ってきてな。逃がしはしたが、確実に致命傷を与えたと報告してきた」
もう安全だと思うので、早速捕まえてきて欲しいと言って、ギルマスは話を終えた。
サーベルタイガーの死体を確認してないのは不安だが、強いパーティーが倒したと確信してるのだから信じよう。
翌日の早朝。
俺達二人は、スライム捕獲に出発したのだった。




