第十二話 新メンバー サァベル
サーベルタイガーが光に包まれる。これはもうライムで経験済みなので慌てずに見守る。
すぐに光は薄れて、倒れてる人の姿が見えた。頭に獣耳があり尻尾も確認できる。ライムは人間形態だが、このサーベルタイガー娘は、獣人形態のようだ。
酷い怪我をしてたが、ライムの感覚遮断が効いてるようで、今の表情は穏やかだ。即効性は無いが身体再生も効いてるし、しばらくしたら歩ける程度には回復するだろう。
「ライム、今のうちにスライムを集めといてくれないか。食事に困らないこと、身柄の安全は保証すると伝えてくれ」
「了解しました」
ライムがスライムを探しに離れると、俺は人の姿になったサーベルタイガーを見る。白虎だったせいか、髪の毛は白銀と呼べるような色で、陽の光が当たると輝いている。
顔は綺麗だが、今は身体再生の能力が効いてるせいか眠ってるようで、瞳の色とか分からない。
身体はサーベルタイガーだった頃を反映してるのか、人間になっても大きい。ライムはやや小柄で、155センチくらいだとすると、こいつは175はあるか?
そして先ほどから、この俺の目を釘付けにするのは、その胸の大きさだ。巨乳とは、これを指して言うのだ。
ウエストもキュッと細いし尻もデカイ。
ライムの時もだけど、こいつには女性だと意識してしまいそうだ。
キャラを女の子と意識してしまうのが、ゲームと違うとこだよな。そして下手な事をしたら嫌われる。最悪な場合、俺が殺される事だってあるんだ。
常に相手を大事に行動しないとな。
「あ、れ? 私、生きて、ますの?」
俺がサーベルタイガーの豊満な体に見惚れて、自分を戒めてるとサーベルタイガーが目を覚ましたようだ。
「治療しておいた。まだ寝ておけよ」
「はい。ですが、私、人間に?」
「そうだ。俺がやった。後悔はしてない」
寝ろ。と短く、でも、有無を言わさない口調で言うと、サーベルタイガーだった娘は素直に眠りについた。
数時間してライムがスライムを、10引きほど連れて帰ってきた。
「説得して連れてくるのが大変でした」
疲れた顔してボヤくライムを労っていると、サーベルタイガーも目を覚ました。自分の手を眺めてるな。指を曲げたり伸ばしたりしてるのは、もしかして爪が出るか確認してるのかな?
そうだったようだ。
爪が出なくて落胆してる。
そして俺を見ると、笑顔で近寄ってきた。
「身体の調子はどうだ?」
「とても良いですわ」
この口調、なんかエセお嬢様な感じだけど、誰がチョイスしてんだ?
断じて俺では無い。
ライムの話し方、は少し無愛想なところがあるけど、元々感情なんて無さそうなスライムだったから、あまり気にしてなかったんだよな。
神様だろうか?
まぁ、そんな事は、どうでもいいか。
何しろ今の俺は、このサーベルタイガー娘の攻撃を凌がなければならないのだ。
笑顔で近寄ってきたかと思ったら、体当たりかと思うような勢いで抱きついてきた。そしてネコみたいに、頭や顔をこすりつけてきやがる。抱きついた時に巨乳も押しつけられるし。もう、どーすりゃいいんだか。
いや、正直に言えば嬉しいんだよ?
でも、そういう目でしか見れなくなりそうなのが嫌なんだ。
「おちつけーッ!!」
「助けて下さって、ありがとうございます」
「助ける決断をしたのは俺だけど、能力を使ったのはライムなんだぞ」
「ぶい」
ライム、真顔でVサインすんなよ。
いやまぁ、別にいいけどさ。
サーベルタイガー娘はライムに感謝しながら、ハグをする。俺にやるのも、それぐらいで良かったのに。
再び俺に抱きつこうとしたので、すかさず鼻先に指を突き出す。サーベルタイガー娘はピタリと止まって、俺の指の匂いを嗅いでいる。
実家で飼ってたネコは指を鼻先に出すと、必ずクンクンと匂いを嗅いだから、試してみたけど通用したよ。
「おい、ネコ娘」
「なんですの?」
「お前も、俺の仲間に、パートナーにならないか?」
「喜んでなりますわ!」
よし。
「じゃあ、名前をあげよう。お前の名前は
サァベル・タイガだ!」
「私の名前はサァベルですのね」
新しい仲間が増えた!!




