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第十三話 サァベルとギルマスと町の中

 サァベルを仲間に迎えて、俺、ライム、サァベル、スライム10匹で町へ帰った。


 「フェイロン、ライム。スライムを連れ帰ってくれたようだな。御苦労だった」


 そう労ってくれたギルマスは、サァベルが気になるようでチラチラ見ている。

 ギルマスは面倒見の良い人物だが見てくれは恐い。そんなのが眼光鋭く見てるというのに、サァベルは全然気にしてない。


 「で、フェイロン。隣の綺麗な姉ちゃんは、どこで拾ってきたんだ?」


 あ〜ん?とっとと吐けよ。

 そんな感じに聞いてくる。ガラが悪いよ。また子供に泣かれるよ?


 ドラマかアニメみたいな事でもしたんかな?

 

 殺気を飛ばしたけど、普通なら身構えるところを平然と受け流したので並の奴じゃないと判断したとか。


 「え〜と、スライムを捕獲しに行ったら、瀕死のサーベルタイガーが転がってましたので、パートナーにしちゃいました」


 てへっと笑って誤魔化そう。


 「まぁ、その懐き方を見れば大丈夫だと思うが、ちゃんと責任もって可愛がってやれよ」


 ネコみたいに体を寄せてくるサァベルを見て、ペットを扱うような言い方になるのは仕方ないのだろうか。


 「サァベル、俺達が世話になってる方なんだ。ちゃんと挨拶をして」


 サァベルは俺から離れると、ギルマスを睨みつける、と表現したくなるような視線を向けた。ギルマスの頬に汗が伝う。


 「サァベルですわ。どうぞよしなに」

 「こちらこそ。フェイロンを頼むぞ。ウチの大事なメンバーなんでな」

 「言われるまでもありませんわ」


 俺を頼むと言われたからか、サァベルの視線が和らいで、厳しかった表情に微笑みが浮かぶ。


 「さて、ライム。スライムは捕獲できたか?」

 「うん、とりあえず10匹」

 「少ないな」

 「仕方ないのよ。サァベルに怯えて、みんな逃げたの」

 「じゃあ、仕方ねえな。こいつの殺気は半端ねえって、俺も思い知ったぜ」

 

 あ、やっばり殺気のやり取りとかしてたの?

 

 ギルマスも一緒に町の外縁部に向かうと、綺麗な街並みが粗末な建屋に変化する。


 「ここに来るのは初めてか?」


 俺が頷くと、ライムにサァベルも頷いた。


 前にも言ったかもしれないが、とギルマスは前置きをして話してくれる。


 この町は各国の緩衝地帯で、どの国とも一定の距離をおいている。逆に言うと、この町からはどの国にも行ける。

 冒険者を志す者が集まるのは、そういう理由があるからだ。

 

 「町が出来た当時は、いつ戦争に巻き込まれるかってんで、来たがる奴はいなかったんだけどよ。緩衝地帯として意外と上手く機能して戦争は減った。すると今度は冒険者の町って呼ばれだして、夢をもった若者が大量に流れ込んできてな」


 想定外だったとギルマスが話を締め括る。


 壁際まで来ると敗戦直後の日本みたいな町並みに変わった。廃材や自分で取ってきた木材などを組み合わせて粗末な家を作ってる。落語に出てきそうな長屋まであった。


 壁には外を見回る為の小さな通用口がある。他にも攻城戦の時の為に上に登る階段もあるのだが、驚いた事にそこにも小屋があった。

 

 通用口の外側は、堀があるとは言っても町の外なんだが、結構大勢の人が住んでるらしい。階段の所も壁に穴を空けて、木を差し込んで土台を作り、器用に小さな小屋を作ってる。


 そこまでして、この町に住みたいのかなぁ。いや、住みたいんだろうな。


 そういえば、このスラムにもランクがあるらしい。最下層は壁の外、その次は階段、一番良いのは地面に建てた小屋や長屋だそうだ。

 

 でも、何でかな?

 スラムって言葉は似合わないんだよな。

 下町って言葉の方が似合うと思う。


 「どう呼ぼうが同じだろ?」


 と、ギルマスが俺に言ったけど違うと思う。


 スラムって俺のイメージだと犯罪も多くて治安が悪い。でも下町だと金持ちのイメージは無いけど、明日は明るいと信じて楽しく生活してる感じがする。治安も良いし、向こう三軒両隣で助け合ってるみたいな。


 「なるほどな。それなら、スライムを使って下町の清潔化を図ると共に、住んでる連中にも、そのイメージを広げるか」


 そんな会話をしつつ、共同トイレの中にスライムを放り込む。つーか、共同トイレ汚い。もっと綺麗に使えよ。

 

 スライムを放り込む前に、ライムがスライムを持って無言で見つめてた。あとで聞いたら訓示をしてたらしい。

 

 スライムが安全且つ豊かな食生活を送れるかは、君の奮闘にかかっている。

 

 とか何とか言ったらしい。

 なんか、スライムが敬礼したような気がしたんだけども、まぁ頑張ってほしい。


 10日後、様子を見に行ったら好評だった。


 汚いトイレが綺麗になり、臭いが消えて鬱陶しい虫もいなくなったそうだ。

 スライムに拒否感を示す者もいたそうだが、スライム如きが恐いのかと、他の者に言われて何も言えなくなったらしい。

 

 そりゃそうだよな。

 冒険者の町に住んでたら、一番言われたくないセリフだよな。

 後年、この中央都市、またの名を冒険者の町に新たな名前が加わる事になる。


 スライムの町と。

 今の俺は、そう呼ばれる事を知らない。

読んで下さって、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。途中まで読ませていただきました。 スライムを使ってトイレのインフラ整備とか、面白いですね!こういう話、大好物です。 とても読みやすいと思いますので、これからも楽しませていた…
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