第百九話 魔王城の戦闘4
マッピングしながら攻略するのは、確かに遅々として進まない。そのために途中、先に進んだ奴の成れの果てを見つける事も多い。
それを見ると心苦しくもあった。
地図を作ると不自然な空間や隙間を見つける事がある。そこから隠し部屋や、隠し通路を発見して奇襲を防ぐ事が出来た。
まぁ、もしかしてあるかなと疑う場所には、先行して奇襲された連中の血痕が残ってたり、遺品が落ちてたりしたので、間違いなくあると確信できた面も強かったが。
マッピングに反対で先行した連中は、少なくない被害をだしながらも順調に進んでいたし、俺達も遅くはあったが、被害を出さずに進めていた。
地下にいるから時間の経過は分からないが、3〜4日は過ぎたと思う。もう10階層くらい降りただろうか。
ゲームだと地下に降りるほど強い奴が出るけれど、似たような奴しか出てこない。それどころか、明らかに同じ個体が出てきてる。
何故分かるかって、俺が斬った所を治療して出てきてるから。なんでか知らんけど、見た瞬間に、さっきの奴だって分かるんだよな。
ここまで激闘を繰り広げてきたから、何となく情が湧いてきて困る。向こうも毒気を抜かれたような顔をしてる。
もう、こいつとは三回戦ってる。
これ以上、戦って身内が死んだら、殺すか殺されるか生死をかけて戦うことになるだろうな。
「おい、もう戦うのも面倒だ。ちょっと魔王と話がしたいから、俺達を連れていけ」
視線がツライ。
敵は勿論、味方までが
ちょ、こいつ何を言ってんの?
みたいな顔をしやがる。
「言っておくが、この戦いは人間の、少なくとも俺の勝ちは確定してるぞ。」
この大陸の連中相手なら、まだ互角に戦えただろうが、俺達が味方した以上は魔王は勝てない。そうじゃないなら、ここまで攻め込まれたりしないだろう。
「わ、分かった」
少し考えて、そいつは承諾した。ちなみに、そいつは鬼でゴツくて男ってよりは漢って感じのカッコいい奴だ。
戦乱の世の中国や日本で甲冑を装備したら、さぞかし絵になるだろう。きっと女の子は、こいつを見て座りションベンをするに違いない。
「すわりしょんべん?」
「くだらない事を考えてるから、気にしなくて良いですわよ」
つい、考えてる事が口から出たが、それを律儀に聞いてくる鬼に、バッサリぶった斬るように答えるサァベル。
魔王のいる部屋へ向かう途中、何度も敵と出会った。連中は驚いて武器を構えるが、鬼を見ると構えを解いた。そして俺達についてくる。
この鬼はよほど信頼されているのだろう。俺達を連れて歩いてるのに裏切り者と罵る奴が一人もいない。
楽でありがたいけどね。
やがて立派なドアの前に立つと、鬼は俺を見て言った。
「この中に魔王様がいる」
「ありがとう。お前みたいな奴を部下にする魔王に興味が湧いたよ」
その立派なドアを開けて、俺は中に一歩踏み出した。




