第百八話 魔王城の戦闘3
魔王城から出て中庭の空飛ぶ家まで戻ると、そこにはミッキーがニコニコしながら、準備万端でトム子と待っていた。
「私の力が必要だって?」
「よろしく頼むよ」
「任せてよ!」
周囲を見ると城は天使の攻撃で粉砕されていて、俺達が入っていた部分だけは無事だった。だが俺達が脱出したと見ると、天使達が一斉に攻撃を開始する。
建物は100人もの天使達の一斉攻撃で、木っ端微塵に吹き飛ばされた。アメリカのビル解体現場で、この天使の一斉攻撃を使えば一瞬で粉砕できるから稼げそうだな。
ユーチューブで粉砕画像を流せば、1000万回くらい再生されそうな気がする。
「建物を壊すのは構わないが、味方は巻き込んでないよな?」
「勿論ですよ!」
トム子が言うには、割と早い段階で魔王のいる場所への通路を見つけたそうだ。建物は敵戦力が俺達から隠れて移動できるので、邪魔だから撤収を確認できた所から破壊してたらしい。
魔王は山脈の地下にいるようだ。地上の壮麗な城などは、ほんの飾りだったわけか。
この時点で我々の被害は、天使が7名戦死。世界樹と中原を合わせた国家連合の戦士が15名戦死している。馬鹿どもは四分の三が戦死していた。
負傷者は無し。ユーリがいるので、例え瀕死であっても生きてさえいれば復帰可能なのだ。故に魔王城攻略軍の損耗率は恐ろしく低い。
数字の上では。
天使達の7名が死んでしまったのが痛い。元は天空の浮遊大陸にいた種族で、戦いで捕虜にした連中だったけど、気心が知れて大切な仲間になってたんだよ。それがワイバーンとの乱戦でやられてしまったそうだ。
だから、俺は戦争は嫌いなんだよな。
今回はエルフの美少女達を大勢、空飛ぶ島へ移住させる為に魔王討伐に参戦したが、次からは安易に戦いを選ばず和平の道を模索したい。
しかし今回はもう、血塗られた道を歩むしか無いわけで、なるべく被害が出ないように攻略を進めたい。
天使達は空を飛んでこそ強いので、地下深くでの戦闘はさせない。空飛ぶ家で休ませる。しかし大陸中で戦ってる魔王軍が戻ってくるかもしれないから、索敵と緊急時の戦闘は任せる。
あと、空飛ぶ家からライムとスライムを連れていく。ユーリと一緒に後方支援の治癒担当だ。本陣は山脈に入った入り口付近に置く。
馬鹿みたいに広い各階層を攻略したら、本陣を移動させていくつもりだ。
天使達に見張りを任せて、突入部隊には休息を取らせた。またユーリに治療をさせて万全の態勢を整えてから攻略を開始したのだ。
「この広い迷宮を闇雲に歩いても、無駄足が多くなるだろう。だからマッピングをして潰していくぞ」
マッピングの意味を分からない奴がいたので、地図作成をしながら進むと教えたら、なんだかんだ言われて反対された。
けど、その本音は面倒なだけだと見え透いてるんだよ。
「分かった。なら、好きにやれば良い。賛同してくれる者は残ってくれ」
そう言ったら連合軍の連中は、十数人くらいしか残らなかった。少し自信を無くすよな。生きて帰る為には必要だと思うんだがなぁ。
「大丈夫ですって。少なくとも私達は、フェイロンのやり方を支持しますから」
トム子が言うと蜂っ子は頷いた。
他のパートナーもだ。
「正直言えば、まだるっこしいなと思いますが、俺は生きて帰りたいんで賛同しますよ」
残った戦士団の一人が言った。
うん、生きて帰してやるよ。




