第百五話 魔王城
魔王の軍団を避けながら、魔王城の位置を探り当てた猛者がいた。彼の案内により、真っ直ぐに向かう事が出来る。
「こんな空飛ぶ船があれば、我が国のみで魔王を滅ぼせたんですがね」
中央国家の戦士達が口々に言った。
そりゃそうだろうな。
RPGでも難攻不落の敵本拠地は、直接乗り込むパターンが多かったもんな。
途中、中原国家連合と魔王軍の激突する最前線上空に差しかかった。そこで少し手伝ってやる事にする。
まあ俺の気紛れもあるが、俺達に余計な手出しをすると、どうなるかって警告も兼ねている。
魔王軍の上空で空飛ぶ家を停止させると、天使と蜂っ子達を出撃させて、空から徹底的に攻撃してやったんだ。
前衛から中衛、そして後衛部隊に蹂躙とも言える攻撃を仕掛けてやると、魔王軍は大混乱に陥った。
流石だと思ったのは、中原国家連合で、魔王軍が大混乱から回復する前に突撃を仕掛けた事だ。あっと言う間に魔王軍が敗走を始めている。
あとは任せよう。俺達だけで勝ちすぎると、あとが面倒臭い気がするんだよ。
「ま、こんなもんでいいだろ」
天使と蜂っ子を退却させると、空飛ぶ家を魔王城に向かわせた。途中で迎撃してくるかと思ったが、魔王は空軍戦力は持ってないらしい。
やがて山脈が見えてきた。
以前、噂で聞いたのは山脈に難攻不落の城を作ってるとか何とか。
「あれだ!あの城に間違いない!」
派手な鎧を装備してる奴が叫んでる。
分かってるよ。
人間の支配者が、こんな不便な場所に城なんか作るかよ。だが、その城はRPGなんかでありそうな悪魔の城なんて雰囲気は全然無い。
それどころか、訪ねていけば天使が出てきそうなくらい神々しい。
「ホントに、アレか?」
自信を無くしてるな?
だがなぁ真に邪悪な者は、意外と天使や神様みたいな顔をしてるかもしれないぞ?
巨大な城の中庭に着陸直前にユーリの能力、全能力上昇を使う。ミスリーンとイオリが降りて空飛ぶ家の搭乗口を守りに入った。
サァベルとリルは甲板から飛び降りて、ミスリーンとイオリのサポートに回る。この四人なら戦士団が上陸するまでは大丈夫だな。
俺が甲板から様子見をしてると、周囲の城から何かが飛び出した。魔王に空軍戦力は無いと思っていたが、虎の子部隊はいたらしい。
ハーピーの群れが空飛ぶ家に向かって飛んできたのだ。だが、こちらも天使達が飛び上がって迎撃に向かう。
空飛ぶ家と魔王城の上空では、激しい空中戦が始まった。
戦士団のうちアンデッドと戦った古参戦力と、中原国家連合の戦士団は、時間を無駄にせずテキパキと降りていくが、美味い汁が吸いたくて参加した馬鹿者達は遅かった。
まぁ、その間にナナミの乳を吸ってミルクを飲む事にする。これでサァベル並の身体能力を発揮できるからな。
「頑張ってね」
「おう!」
ナツミの短い声援を背に受けて、甲板から飛び降りた。俺が飛び降りる頃には馬鹿達も全員降りていた。
そして俺の合図で空飛ぶ家は数メートル上昇して停止した。こうする事で空飛ぶ家に分断されてた戦士団は合流する事が出来る。
戦闘用の蜂っ子達は空飛ぶ家の防衛と、怪我人を家の中に収容する任務を任せている。しかし伝令と護衛を兼ねてトム子が来てくれた。
「トム子がいてくれるのは心強いよ」
「その何かを揉むような動作はやめて下さいよ〜」
うん、恥ずかしがるトム子は可愛い。
だけど身内をからかって遊ぶ余裕は、ここまでだった。上空はハーピーを相手に、わりと簡単に勝てており余裕かと思ったら、ワイバーンが出てきた。そこで天使側が混乱してしまい、大乱戦になってしまった。
このままでは、天使側に多大な被害が出てしまう。空飛ぶ家の防衛をどうするか迷ったが、目先の混乱を治める方が先だろう。
トム子に上空の一点を指し示す。
「あそこから攻撃したらワイバーンの背後から強襲できないか?」
不自然に一か所に留まるワイバーンがいたので、それが司令塔だと思ったんだ。
「やりましょう!」
トム子が力強く頷いて、仲間と共に飛んでいった。




