第百四話 人数増えた
アンデッド軍団との戦いは大変だった。その本隊との戦いも大変だった。結果的に死者は出なかったけど、それは楽に勝てたって意味じゃない。
世界樹にいる三ヶ月の間に、野郎どもは至る所で己の武勇伝を語った。一歩間違えば、一瞬反応が遅れたら即死してた事実など語らない。
如何に自分が華麗に敵を斬りつけたかを、美化200%で自慢げに語ってた。
すると自分が参加してたらと思う奴が増えた。思うだけなら構わないが、次は参加させろと言い出す奴が増えたんだ。
断ってたんだが、親まで出てきやがる。
話を聞けば、仲が悪い一族の者が凱旋してきて目障りらしく、もし自分の一族も参加してたら、英雄として帰ってきたに違いない、そうだ。
そんな見栄なんざ、捨てちまえ。
馬鹿野郎が。
そういうのがあまりにも多くて、断るのも面倒になったので受け入れる事にした。
ただし覚悟だけは聞く。
「次は魔王戦なんで死んでも構いませんね?」
「この前は誰も死ななかったじゃないか」
「運良くね。でも次は分からない」
それでも参加すんの?
そうドスを効かせて尋ねたら、何人かは尻尾巻いて逃げた。でも逃げない奴も多かった。きっと頭の中に、雑草レベルで繁殖力の強い花畑が広がってるんだろうな。
「仕方ないな、ベティ剣と鎧の追加だ」
「分かったのじゃ」
ベティが鎧のサイズを確認しようとしたら、そいつは言ってはイケナイ事を言った。
「いや、結構です。我が家には先祖伝来の剣と鎧がありますからな。みすぼらしいのは不要…これは失礼」
ベティが黙ってる。
恐くて声をかけられない。
「ならば、ワシの武具は不要じゃな」
ニコニコ笑いながらベティは言った。頼むから、これ以上は余計な事を言わないでくれ。サァベルも俺の背後に隠れてしまった。
幸いな事に、何か不穏な気配を感じたのか、そのバカは何も言わずに帰った。
「フェイロン」
「はい!?」
「ワシは本気で武具を作ってみたくなったのじゃ。しばらく席を外しても構わんかの?」
「好きにして構わないぞ」
「うむ」
この後もベティが不在で良かったと思う連中ばかりが来た。面倒だから覚悟を確かめて参加を認めた。
結局、参加者は76人増えた。
三ヶ月後、ベティの鎧を装備した100名と、ゴテゴテと装飾のついた派手な鎧を着た76名が並んだ。
「ナマクラ武器に派手なだけの鎧じゃな」
ベティは鼻で笑って俺を見た。
俺はオリハルコンの剣とミスリルの鎧を装備している。メッキじゃない純正品だ。装飾も施されており、どこかの王族と名乗っても通用しそうなほどだ。
「どうじゃな?」
「気に入ったよ。最高傑作だね」
「そうじゃろ」
ベティは上機嫌だ。俺と一緒に前衛をやるサァベルとリルも、動きを妨げない軽鎧を装備してるが、それもベティ製だ。
全員が乗船した所で魔王城へ行こうとしたのだが、中原国家に話を通すべきと意見されたので、中原に行く事にした。
中原国家連合からは観戦武官を同行させる事と、中原からも戦士を参戦させる事の二点を依頼されたので受け入れた。
やはり辺境の小国家に魔王を倒されたら、大国のメンツが潰れるのだろう。ほどなく選りすぐりの30名が乗船した。
大国の威信を背負ってるだけあって、シャレにならないくらい強かった。
こうして、この大陸の最高戦力を乗せて魔王の城へ向かったのだった。




