第35話「レビンスとの戦いです」
「逃げずに来たことを褒めてやる」
俺はレビンスがコリンに言ったことをそのまま言った。
「あん? それは俺のセリフだ」
「なあ、お山の大将って言葉知ってるか?」
「お山の大将?」
「狭い世界で一番を誇るやつのことだ。お前にそっくりだな」
「てめぇ、ぶっ殺してやるからな」
レビンスはガンを飛ばしてくる。
おいおい、やめとけ。
「勝つのは俺だ」
俺はキリッと表情を変えて、言った。
「あなたたち、私語は慎みなさい」
試験官はセシリアだった。
「二人とも位置について」
俺たちは無言で向き合った。
「はじめ!」
合図と同時に、レビンスは雷撃を放ってきた。
それに対し、俺は右腕を硬化させ、雷撃を払いのける。
「顕現せよ、雷の槍、突き刺せ」
先ほどのコリンとの戦いで使われた技だ。
だが、後半に詠唱が追加されている。
生成された雷の槍が、俺に向かって放たれた。
「土壁!!」
俺は、3メートルの壁を作り出した。
雷の槍が壁にぶつかる。
―――ドガーン
壁は槍の攻撃を止めると同時に、崩れ落ちた。
「雷よ、渦となりて敵を殲滅せよ」
コリンに決定打を与えた技だ。
広範囲の渦が迫ってきた。
「大地よ、波となって覆いつくせ!!」
地面を操り、5メートルを超えるの砂の波を作る。
そして、雷の渦を飲み込む。
そのまま、レビンスも一緒に飲み込もうとする。
「吹き飛ばせ!! 雷風」
レビンスの魔法が砂の波を綺麗に消し去った。
「ふん、少しはやるようだな。だが、そんなに魔力使ってもいいのか?」
全然魔力消耗してないんだけど。
今の攻防なんて、挨拶程度だ。
カナリアと魔法で打ち合ったときは、魔力の消費量も威力も技の難易度もけた違いだ。
「まだ、余裕だけど」
「強がるのは寄せ。まあ、ここまで俺と戦えただけでも褒めてやる。だが、次で終わりだ」
ここまでとか言われても、まだウォーミングアップつもりだった。
「雷よ、敵を切り裂け」
レビンスは直径3メートルほどの雷の球を放ってきた。
「大地の壁!!」
俺はレビンスとの間に壁を作って魔法を止める。
「吹き飛べ!!」
レビンスは叫んだ。
すると、雷の球はその場で爆風となり、壁に穴を開けた。
「顕現せよ、雷の槍、突き刺せ!!!」
レビンスは穴が空いたところに向けて、槍を放った。
「これで終わりだ!」
槍は壁を越える。
だが、
「なぜ、いない」
レビンスのつぶやいた通り、壁の向こうには誰もいなかった。
「ここだよ」
そういって、俺はレビンスの隣に立つ。
「な。なぜ、お前が―――」
「おらあああああああ!!!!」
身体強化と硬化で固めた腕で、レビンスの顔面を思いっきり殴った。
顔が少し変形するかもしれんが、問題ない。
回復魔法で治せるって。
レビンスは「ぶごへっ」と言いながら、綺麗な放射線を描いて吹っ飛ぶ。
俺は、壁を回り込み、砂埃に隠れて近づいたのだ。
その場で動かず、魔法の打ち合いしろ、なんてルールもないわけだし。
魔法の打ち合いだけでも勝てたが、どうしてもぶん殴りたかった。
魔法使いからしたら、接近戦なんて馬鹿な真似だ。
だが、レビンスよりも自分が強いと確信していた俺は、迷わずレビンスに接近できた。
「ふー、すっきりしたぜ」
「勝者、ルーク!!」
セシリアはレビンスが動かないことを見ると、判定を下した。




