第33話「模擬戦に介入しました」
眼前で繰り広げられているのは、もはや戦いではない。
レビンスが一方的にコリンを攻撃している。
コリンは戦う力すら残っていないのに。
「ねえ、ルーク。これはさすがにやりすぎじゃない?」
「ああ。もう勝敗はついている。これ以上戦う意味はない」
「試験官はなんで止めないの?」
俺は試験官を見る。
もしかしたら、買収されているのだろうか。
レビンスの親は神級らしい。
親の権威を使っているのかもしれない。
どうする?
ここで、止めるか?
止めてもいいいのか?
コリンはボロボロだ。
「くくく。無様だな。俺に勝つんじゃなかったのか? ―――顕現せよ、雷の槍」
レビンスが片手に持った槍を、コリンにつき刺そうとした瞬間だ。
俺とレイラは同時に動き出した。
「大地よ、変動しろ!!」
レビンスとコリンの間の地面が盛り上がる。
併せて、レイラがコリンを庇いながら、その場を離脱する。
「ちっ、おい! てめぇら! まだ試験は続行中だ! 外野が勝手に手を出すんじゃねーぞ」
「そうだ、君たち! これはれっきとしてルール違反だ!」
「試験官。彼はとても戦える状態じゃないわ」
レイラはコリンを抱きしめながら言う。
レイラの胸に抱きしめられるコリン。
ちょっと羨ましいな。
俺のお〇ぱいセンサーからすれば、レイラのお〇ぱいはDカップだ。
うむ。
けしからん。
「それは君が判断することじゃない」
「そうだぜ。試験官が終わりを告げるか、受験者が降参するまで勝負は続く。まだ試合は終わってないんだよ」
試験官が言い、それにチンピラが続く。
おっと、いかん。
今は真剣な場面だ。
俺はきりっとした表情に切り替える。
「これはやり過ぎだ。誰が見たって勝敗はついているだろ」
「はっ。試験官は何も言っていない。そうだよな?」
「その通りだ」
「レイラちゃ・・・ん。離して・・・。ぼ、ぼくはまだ」
そうだ。
レイラ、そいつを放せ。
胸が当たっているぞ。
羨ましい。
俺と変わって欲しい。
「ほら、コリンもそう言ってるんだ。俺は正当な理由で戦っているんだ。お前たちこそ、ルール違反だろう。模擬戦への介入は禁止されているはずだが」
レビンスの言い分は正しい。
コリンは戦うと言っており、試験官は止めていない。
俺たちはこの戦いに参入してはならないのだ。
介入すれば聖騎士にならないで済む、なんてことを考えたわけじゃない。
気が付くと、体が動いていた。
「そうだな。模擬戦に介入した者は、即不合格だ」
イケメン試験官(女)が良いタイミングで登場してきた。
「だが、今回は私たち試験運営側に不手際があった。すでに戦闘不能であるのに、試合を継続する試験官がいるとは、私も驚きだ。ここは、私の判断で試合を終了させてもらう」
かっこいいです。
ちなみに、イケメン試験官(女)はAカップだ。
それも、また男らしくて良い。
俺は貧乳でも巨乳でも構わない。
胸の大きさに優劣などないのだ。。
平和主義者だからな。
やはり、俺の童貞を捧げるのをあなたしかいない。
「ふざけるなよ! 終了だと!?」
ごめんなさい。
ふざけてました。
「安心してくれ。レビンスを勝者として扱う」
「そんなこと言ってるんじゃねー!」
「ほう、ではどういうことを言っているのだ? 模擬戦の勝敗以外に意味があるとでも?」
「・・・ちっ、まあいい」
レビンスは舌打ちする。
「お前のことは覚えたからな」
イケメン試験官(女)に向かってそう言うと、レビンスは去っていった。
「セシリア。このことは、あの方へ報告させてもらうぞ」
イケメン試験官(女)はセシリアと言うらしい。
「ああ。構わんぞ。あの方が誰のことを指しているのかを知らんが、好きにやってくれ」
「ふんっ。聖女派の分際で」
聖騎士の中でも派閥があるのだろうか。
試験官の男は鋭い目つきでセシリアを見て、その場を去った。
「君たちも本来なら、即不合格だ。今回は大目に見るが、当然評価は下げさせてもらう」
セシリアは俺たちを一瞥して言った。
そのまま、落としてくれても構わないんだが。
むしろ、評価を最低にして、俺を落としてくれ。
そんなことを思いながら、俺とレイラは殊勝に頭を下げた。




