第31話「1次試験突破しました」
魔力測定の結果が出た。
俺とレイラ、それにコリンは3人とも受かっていた。
ちなみにチンピラも1次試験を突破していた。
そうして、2次試験になり、1回戦目の対戦相手が発表された。
俺の相手はオードリーなんちゃらって人らしい。
ちらっと見ると、筋肉マッチョでいかにも強キャラ感を出している男だった。
これはもしかすると、一回戦で負けられるのではないか。
あの筋肉は期待できる。
ケン〇ンアシュラのトーナメントに出場しそうな筋肉をしている。
顔も厳つくて、戦場を渡り歩いてきたような男だ。
きっと、俺を倒してくれるはずだ。
「ど、ど、ど、どうしよう。ぼ、僕の相手、レビンスだ」
コリンはどもる。
「良かったじゃない。これで合法的に叩き潰せるわ」
「無理だよ。勝ちっこない」
「そんなに強いのか?」
「うん。僕が知る中では、今試験で最も強いのはレビンスだ。・・・どうしよう」
「大丈夫。骨ぐらいは拾ってあげるわ」
「レイラちゃん! 冗談でもそんなこと言わないでよ!」
コリンは声を荒げる。
「何もしないで諦めるようだったら、コリンは聖騎士に向いていないわ。辞めて正解よ」
「う、うん・・・」
「でも、あたしの知っている人の中にはね、8歳で魔人に挑むような馬鹿がいるわ」
レイラはちらっと俺の方を見て、コリンに視線を戻す。
「その人のようになれとは言わないけど、聖騎士になりたいのであれば、相応の覚悟をもつべきよ」
それって俺のことかな?
魔人に挑みたくて挑んだわけじゃないよ。
むしろ、逃げたかった。
「コリンが辞めたいなら、それでいい思う。来年にだって試験はあるわけだし」
俺はフォローを入れておく。
別に試験に落ちたところで人生そんなに変わらない。
むしろ、聖騎士以外の道探せるのだ。
いいことじゃないか。
「ルーク君・・・。僕は・・・」
「まあ、俺は何もしないで負けるのが一番嫌いだけどね」
負けるとわかっているなら戦いを避ける。
戦いが避けられないなら、負けない方法を探す。
それでも無理なら、最後まで粘る。
相手に、楽に勝たせたくない。
簡単に勝てるのは大歓迎だが、あっさりと負けるのは嫌だ。
ねちっこい性格だとは自覚している。
コリンはしばしの間、下を向いて、何か考えているみたいだ。
そして、何かを決意したように顔を上げた。
「やるだけやってみるよ。・・・二人ともありがとう」
「そうね、その意気よ」
「おう、頑張れ」
あれ?
やる気にさせちゃった?
■ ■ ■
3人のうち、俺の戦いが一番最初に始まる。
俺は目の前にいるオードリーなんちゃらさんと向き合った。
いやー、本当に強そうだな。
入団試験に年齢の上限はないが、レイリーなんちゃらさんは絶対30歳を超えている。
歴戦の戦士の風格を感じるのだ。
ここで、あっけなく負けたら、かっこ悪いな。
そこそこ、頑張って負けよう。
試験官が「はじめ!」と言って、戦いが始まった。
俺は、すばやく身体強化を行う。
そして、手始めに「石弾!」と叫び、魔法を放つ。
石弾は8歳のときに魔人との戦いでも使用したが、そのときと比べると格段に威力が上がっている。
直径30センチほどの石は、もはや岩と言った方が正しいだろう。
それがプロ野球選手ピッチャーが投げた同程度のスピードで飛来する。
オードリーなんちゃらさんに向かって、岩が飛んでいく。
この程度、彼なら余裕で対処するだろう。
俺はそう考えて、次の一手を考える。
が、しかし、
「勝負あり!」
と、試験官が言ったのだ。
え、どういうこと?
一瞬、試験官が言っていることがわからなかった。
しかし、少し離れたところでオードリーなんちゃらさんが倒れているのを見て、理解した。
「勝者、ルーク!」
そう、俺は勝ったのだ。
あまりにあっけなかったため、勝った実感すら沸かない。
それより、オードリーなんちゃらさんよ。
お前、見た目の割に弱すぎだろ。
負けようと思っていたのに、勝っちゃったじゃん。
「ルーク君、やるね! あんな強そうな人を一撃で倒しちゃうなんて」
コリンがキラキラした目で見つめてくる。
「いや、今回は相手が弱かっただけ。それより、次のレイラの試合を応援しよう」
さすがにこの程度の相手に勝ったところで自慢はできない。
むしろ、弱いもの虐めしているような気分になる。
「あ、そうだね」
レイラの試合も一瞬で勝負がついた。
もちろん勝者はレイラだ。
あっという間過ぎて、応援する暇すらなかった。
「レイラちゃんって・・・あそこまで強いんだ。ルーク君もそうだけど、二人とも規格外だよね」
「そんなことない。上には上がいる」
実際、マシューとカナリアには全然敵わなかった。
「向上心あるんだね。僕も負けないように頑張るよ」




