第29話「試験当日です」
試験当日になった。
試験会場は聖都中心部にある、騎士団保有の訓練場だ。
前日に下見していたため、時間通り集合することができた。
試験の内容はコリンに教えてもらった通りで、魔力測定と模擬戦だ。
魔力測定は、魔力を放出して、その値を水晶で判断するというものだった。
水晶は透明であり、魔力を込めることで色が変わるようになっている。
色の変化は、その人の魔力適正に依るらしい。
込めた魔力が多ければ水晶は濃く変化し、濃淡によって合否判定するのが魔力測定である。
この測定方法ならば、魔力を込めなければ受からないわけだ。
楽勝だ。
俺の順番になった。
さすがに魔力を全く込めないのはまずい。
魔力を持たない人はいないため、水晶が透明なままにはならないはずだからだ。
俺は気合いを入れて、魔力を調整した。
間違っても受かってはいけない。
よし、このぐらいかな。
そう思い、水晶に魔力を込めた。
すると、ぼあっと水晶が茶色に光った。
これは、どうなんだろう?
結構、光ってるように見えるけど、気のせいだよな?
ほとんど魔力しか込めてないし、この程度で受かるはずはない。
俺は水晶から手を離すと、「ふー、やりきったぜ」という顔でその場を離れた。
魔力測定を終えると、結果が出るまでしばらく時間が空く。
俺はレイラに合流した。
「どうだった?」
もちろん、魔力測定についてだ。
「楽勝ね」
「お、おう。自信あるんだな」
「当然よ。この程度で落ちるわけないわ」
落ちるかもしれない、なんてこと言える雰囲気ではない。
レイラは俺の魔力量を知っている。
ここで落ちたら、絶対怪しまれる。
いや、大丈夫。
お腹が痛くて調子がでなかったと言っておこう。
受験になると、お腹痛くなる奴いるじゃん。
あれだよ。
「模擬戦まで時間があるわ。体を温めておきましょ」
「そ、そうだな」
空いているスペースを見つけると、軽く準備体操を始めた。
準備体操は俺がレイラに伝えた文化だ。
ストレッチをして、体をほぐす。
レイラとお互いの体を触り合う。
しなやかなレイラの体は触っていて気持ちいい。
別にやましいことはないぞ。
一人では伸ばせないところがあるから、お互いの体を伸ばし合っているだけだ。
こうしてイチャイチャ(頭の中で)していると、コリンが声をかけてきた。
「ルーク君とレイラちゃん。久しぶり」
「おお、コリン。元気だったか?」
「うん! 二人とも魔力測定はどうだった? 上手くいったのかな?」
「ええ、ばっちりよ」
「そ、そうだな」
はははと俺は乾いた笑みを浮かべる。
「すごいね。僕なんて受かるかどうかドキドキだよ」
コリンは胸に手を当てる。
「気にしてても仕方ないわ。それより、コリンも一緒に体動かさない?」
「うん」
コリンはストレッチをしたことがないのか、レイラに手取り足取り教えてもらっている。
くそ、羨ましいやつめ。
幼い顔してるからってお前の考えはお見通しだ。
レイラの可愛さに、欲情しているんだろ。
レイラは文句なしの美人だ。
その気持ちもわかるが、お前には渡さない。
いや、俺の物でもないけどね。




