第26話「レイラと相部屋のようです」
俺たちは馬車から降りると、まずは宿を探す。
滞りなく聖都に着いたため、試験までは3日ある。
その分、宿で過ごすため、少しでも安い宿がいい。
お金もそんなに渡されてはいないので、あまり無駄遣いはできない。
マシューから、口頭であるが、聖都の内部構成について事前に教えてもらっている。
そのため、おおよそ宿が密集している場所に見当を付けられた。
「ねえ、ルーク。あれは何?」
「あれは屋台って言うんだよ。食べ物が並べられているだろ。お金を払って、買う仕組みだ」
先ほどからレイラは周りの物に興味津々の様子だ。
遠出をほとんどしたことがないのだろう。
彼女は聖都に来てから、楽しそうにしている。
という俺も、前世では旅行好きだったため、レイラと同様に楽しんでいる。
聖騎士の入団試験さえなければ、もっと楽しめたのに。
そうこうしているうちに、宿が立ち並ぶ一画にたどり着いた。
「どこに入る?」
「どこでもいいわよ。あそこで良いんじゃない?」
レイラが指さしたのは2階建てで白を基調とした建物だ。
古い宿なのか、所々変色しているが、気にするほどでもない。
俺は中に入ると、受付に座っている女性に声をかけた。
「すみません。ここで3日間泊まらせてくれませんか?」
女性はこちらを一瞥して答えた。
「二人合わせて、2000ペニーね」
1ペニーが日本円でいうとおおよそ100円に相当する。
完全にこちらでの価値を日本円換算することはできないが、おおよその値だ。
女性にお金を支払うと、鍵を渡された。
「二階上がってすぐ手前にあるところが、あんたらの部屋になるよ」
「別々じゃないんですか?」
「何言ってんだい。二人で一部屋だよ」
「別々にしてもらうことはできませんか?」
一緒の部屋では、嬉しいけど困る。
レイラと同じ部屋だったら、ドキドキして眠れなくなるじゃないか。
レイラはこの7年間で美少女に成長した。
もともと美少女になるだろうと思っていたが、予想以上だった。
鍛えられて体は、しなやかさを帯び、それがより一層彼女の魅力を上げている。
「あいにく、今は満室でね」
「レイラ、どうする?」
「あたしは構わないよ。これまでだって一緒に寝る機会あったじゃない」
確かにそうだ。
森でサバイバルしたときは二人きりで5日間も過ごしたのだ。
後は、俺の息子を上手く静められれば、問題はない。
俺は受付の女性からカギを受け取る。
部屋に入り、鍵をカチャッと閉めた。
やっぱり、女性と同じ部屋は緊張する。
これからは夜の時間だぜ、と言って襲わないように気を付けなければ。
「ベッド一つしかないのね」
レイラの言う通り、部屋の中央にベッドが1台あるのみだった。
「さすがに、これはまずいよな」
「別に気にしないわ。他の宿探すのも手間だし、ここでいいわ」
前世では、女子と同じベッドで寝るどころか、同じ部屋で寝たこともない。
これが俗にいうお泊りデートか。
「そ、そうか・・・。はははは。じゃあ、俺も遠慮なく」
「何が遠慮なく、なのよ」
ダメだ。
緊張して変なことを口走ってしまった。
「なんでもないさ。ははは」
俺の息子が心配だ。
3日間、しっかり耐えてくれよ。
「そ、それより、荷物置いたら飯行かないか? 腹減ったし」
「そうね、行きましょ」




