第22話「神って暇なんですか?」
「おめでとう。君の勝ちだ」
真っ白な空間にはモザイクーーー神がいる。
「イベントクリアだね」
うるせー。
まじで死ぬかと思ったわ。
「でも、やり遂げた」
俺は何もやり遂げていない。
助けに行ったのに、返り討ちにあった。
まさにミイラ取りがミイラになったようなものだ。
「君は生きている。生きてあの局面を乗り切ったんだ。これは歴とした勝利だよ」
お前、俺が勝てないと知っていただろ。
「実力が及ばないとは考えていたよ」
その上で、俺を向かわせたのか。
マシューが来ると、踏んで。
いや、そもそもマシューがどのタイミングで現れるかも把握した上で、俺を向かわせたんだろう。
「何でそう思うんだい?」
あんまりにもタイミングが良すぎるからだ。
それに、俺に世界を救わせたいのなら、ここで俺が死ぬことを望まないはずだ。
「そうだね。それがどうしたって言うんだ?」
なんで教えてくれなかった?
マシューが助けに来ることを知っていれば、他に対処法があった。
「うんうん。確かに僕が情報を与えていれば、もっと楽な方法もあっただろうね」
それなら、
「でも、それだとダメなんだ。君の力で彼を救わないとダメなんだよ」
今回はマシューの力だ。
俺の力じゃない。
結局、魔人を倒したのもマシューで、俺は逃げて殺されそうになっただけだ。
「いやいや、ユリウスを守ったのは君だよ。君が来なかったら彼は死んでいた」
その代わり、俺が死にかけたけどな。
ほんと、なんで俺に任せるかな。
「それは君が英雄の器だからさ」
俺が英雄の器? お前の目は節穴か?
どこをどう見たって凡人じゃねーか。
「凡人? 面白いことを言うね」
全然面白くないけど。
英雄ってのは非凡な才能を持って、凡人では成し遂げれないことを為す者たちのことだ。
ナポレオンや織田信長。
彼らのように才能とカリスマを持つ者が英雄とは呼ばれるのだ。
俺には当てはまらない。
それに、俺は頑張って英雄になるよりも、スローライフを送りたい。
「君ならそういうと思ったよ。じゃあ、頑張らない英雄―――いや、頑張りたくない英雄と呼ぼうかな」
俺を英雄と呼ぶな。
似合わない。
それに、魔人との戦いはもうこりごりだ。
「それは困るよ。もっと頑張って戦ってもらわなきゃ。ね、頑張りたくない英雄さん」
頑張りたくない凡人だ。
それで、今回は用件はなんだ?
まさか、用もなしに呼んだわけでもあるまい。
「いやいや、君と話したかっただけさ」
何を気持ち悪いことを。
俺は嘘つきモザイクと話したくないんだけど。
せめて、美少女か美女になって出てこいよ。
「傷つくなー。君のこと、こんなにも大好きなのに」
やめてくれ。
お前に好かれても、これぽっちも嬉しくない。
むしろ、鳥肌がたつ。
「ツンデレっていうやつだね。・・・本当に君と話したかっただけさ。まあ、今日はこの辺でおさらばしておくよ。向こうでは君のお姫様が待ってるからね」
・・・お姫さまって誰だよ。
ていうか、ほんとに用件なかったんだな。




