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第11話「道でいじめられっ子と会いました」

 俺はレイラの隣を歩きながら、彼女の家に向かっている。


「あたしもカナリアさんみたいなお母さん欲しいな」


 レイラは呟いた。


「それは自分の親に失礼だろ」


「いいのよ。お母さんいないから」


「なんか、ごめん」


「謝らなくてもいい。あたしにはお父さんがいる」


 医療が発達していない上に魔人がいるこの世界。


 片親がいないことは、そんなに珍しいことではない。


 ただ、こういうときになんて声をかけていいのかわからない。


 そもそもレイラと上手く会話できたことはない。


 もともと、女の子と上手く話せないけどな。

 

 前世で、女子としていた会話は、


「198円になります」


「あ、はい」


 ぐらいだ。


 コンビニの店員をカウントするなって?


 あの子は俺の唯一の女の子成分だったんだ。


 母親や従妹を含めて、SNSに登録されている女性が片手で数えられるぐらいだった。


 そんな俺からすると、彼女は砂漠にあるオアシスのように感じれた。


 俺たちはしばらく無言で歩いた。


 と、その時。


「やーい、ちびっこ」


 そんな声が聞こえてきた。


「弱虫! 腰ぎんちゃく!」


「お前のねーちゃん、ゴリラ!」


 なんだ、いじめか?


 二人の少年が寄ってたかって、一人の少年を囲っていた。


「お姉ちゃんはゴリラじゃない!」


「嘘つくな! あいつはゴリラだ! こーんな顔して」


 片方の少年は指で目を吊り上げ、変顔をする。


「ゴリラ! ゴリラ!」


 それをもう一人の少年が煽った。


 お前の母さん、でべそ、みたいな悪口だろう


 子供だったら仕方ないが、煽り方が幼稚だな。


「ちょっと、あんたら何やってるの?」


 レイラは少年たちに向かって歩き出す。


「誰だ、お前・・・ゴリラ、じゃなくレイラだ。うわー、逃げろ!」


「逃げろー!」


 少年たちは走り去っていった。


 レイラは「誰がゴリラよ!」と怒りながら、少年たちの後姿を睨みつける。


 そして、いじめられっ子の方を向く。


「あんたもしっかりしなさいよ」


「ご、ごめんなさい。・・・お姉ちゃん」


 いじめられっ子もレイラと同じ、赤い髪をしていた。


「弟か?」


「そうよ。弟のユリウス」


 俺はレイラの後ろに隠れる少年を見る。


「ルークです。よろしくね」


 なるべく子供に好かれそうな笑顔を浮かべる。


 おじさんは危ない人じゃないよって感じだ。


 まあ、俺も8歳児なわけだが。


「ふんっ」


 ユリウスは俺の足を踏みつけた。


 え、なんで?


 嫌われるようなことした?


「不審者みたいな顔してるもんね」


 レイラがクスクスと笑った。


「不審者みたいな顔ってどういう顔だよ」


「あんたの顔のことよ」


 自分でいうのもなんだけど、俺の顔パーツは悪くないと思う。


 カナリアに似た、たれ気味の目がちょっと頼りなさそうだが、不細工ではない。


 それに、父さんは男前だし、母さんはおっとり系の美人だから将来有望なはずだ。


 美醜感覚が違うのかな。


 確かに平安時代の美女ってふっくらしていたって聞くしな。


「で、ユリウスはここで何してたの?」


「お姉ちゃんを探しに・・・」


「はあ? 言ったでしょ。師匠の所に行くって」


「そうなんだけど・・・」


 少年はもじもじしながら地面を見つめている。


「まあ、いいわ。一緒に帰りましょ」


「うん!」


 ユリウスはパッと顔を上げてレイラを見た。


 そして、彼女の腕をぎゅっと掴んだ。


「そういうことだから、見送りはここまででいいわ」


 レイラは顔だけ俺の方を向けて言った。


「そうか。気を付けて」


 レイラの後ろに隠れていたユリウスは、べーと舌を出して挑発してきやがった。


 なんだ、こいつ。


 生意気だな。


「じゃあ、また」


 レイラはそういって、去っていく。


 それを見送った俺は来た道を引き返し、自宅に向かって歩き始めた。 

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