表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/42

第10話「レイラが家に来ました」

「レイラです。よろしくお願いします」


 レイラが家にきた。


 こいつ、俺の前だと、好戦的だが、意外と礼儀正しい。


 村長の娘ということで、それなりの教育を受けているのだろうか。


「わー。可愛い! よろしくね、レイラちゃん」


「は、はい! カナリア様!」


 母さんに様付けか。


 まあ、カナリアも元聖騎士だからね。


 憧れの対象なのだろう。


「様はいらいわ。カナリアで良いわよ」


「いえ、さすがにそれは・・・では、カナリアさんで」


「うん、そうね。それで許しましょう」


「じゃあ、さっそく稽古でもするか!」


「はい! よろしくお願いします!」


 脳筋のマシューとレイラは、挨拶を終えるとすぐに庭に向かった。


 レイラはマシューに師事していたこともあり、基本的な動きはできていた。


 ぶっちゃけ俺よりも全然様になっている。


「レイラは才能あるな!」


 マシューはうれしそうだ。


 俺みたいな才能ないやつ相手より、よっぽど楽しいのだろう。


 それに二人は相性も良いようだ。


「こう、ぶわっと踏み込むのだ!」


「師匠、こうですか!」


「そうだ! 次はこうやってだな!」


「わかりました! こんな感じでしょうか?」


「おお! さすがは俺の弟子だ!」


 傍から見ていると、「なんで、それで伝わるの?」と思うことも二人なら通じ合うらしい。


 俺はそれについていけず、庭の端っこで一人身体強化の練習を始めた。


 別に拗ねてねーし。


 マシューにはいつでも指導してもらえる。

 

 それに身体強化を制した者は戦いを制すると言われている。


 現代でもそうだが、剣術をいかに極めたところで、一人で何十人も相手することはできない。


 せいぜい、3人か4人かだ。


 一騎当千なんて夢のまた夢だ。


 しかし、身体強化ができれば話が変わってくる。


 身体強化を極めた者には、一般的な剣ではほとんど傷すらつけられない。


 そして、常人の何倍もの身体能力を有する。


 まさにチートだ。


 その分、習得するのには相当の訓練が必要になる。


 俺は強制的とはいえ、6年近く魔法を扱ってきたわけだが、それでも初歩レベルの身体強化しかできない。


 チートが欲しい。


 俺の中にすごい力眠ってないのかな?


 あの神がそんな特典付けてくれるとは思わないけどさ。


 そんなことを考えながら修行をしていると、「よし! 今日はここまでだ!」とマシューが言った。


 もう、終わりの時間か。


「3人ともお疲れ様。汗かいたでしょ。水浴びでもしてらっしゃい」


「そうだな、ルークとレイラ、先に行ってきていいぞ!」


 え、レイラと一緒に水浴びするの?


 だって、裸になっちゃうよ?


 俺の息子が元気になっちゃうよ?


「ルーク。レイラちゃんを洗い場まで案内してあげてね」


「あ、はい」


 まだ、8歳だから許されるのだろうか。


 子供のレイラに欲情なんてしないけど、恥ずかしいな。


 そう思いながら、レイラを洗い場まで案内する。


 洗い場に着くと、すぐにレイラが脱ぎだした。


 おー、大胆だな。


 いや、待て。


 相手は子供だ。


 そして、俺も子供だ。


 あれ?


 全然問題ないじゃん。


 親も了承していて、レイラもそれを嫌がっていない。


 これは合意の上の行為だ。


 って、子供相手に何考えてんだ。


 俺はなるべく彼女を見ないようにしながら、服を脱ぐ。


 そして、水魔法を使って体を洗う。


 こういうときに水魔法は便利だ。


「ねえ、あたしにも水かけてよ」


「水魔法使えないのか?」


「あんたね・・・。普通の人はほとんど魔法使えないのよ」


 え、そうなんだ。


 家では全員が当たり前のように魔法使ってたから、これが普通だと思ってたわ。


「水かけるぞ」


 俺はレイラの体をなるべく見ないようにしながら、水をかけてあげる。


「ひゃっ」


 冷たかったのか、彼女は小さく声を上げた。


 うん。


 大丈夫だ。


 俺はロリコンじゃない。


 やましいことは考えていないぞ。


 そうだ。


 こういうときは羊でも考えよう。


 羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹・・・。


「ちょっと、あんた! もういいわよ!」


「あっ、そっか、ごめん、ごめん」


 俺たちはカナリアが用意してくれた布で体を拭く。


「あんたは、いいわよね」


 ふと、レイラが呟いた。


「何が?」


「聖騎士の息子ってところよ」


「そうかな」


「わかってないの!? 師匠は聖級、カナリアさんは上級まで上り詰めた聖騎士なのよ!」


「・・・聖級と上級?」


「何も知らないのね・・・。聖騎士には神級、聖級、上級、中級、下級の5つのランクがあるのよ」


「なるほど」


 厨二心をくすぐられるぜ。


「聖級ともなれば聖都の守りを任せられるレベルよ。間違ってもこんな小さな村にいるような人たちではないわ」


 聖都といえば、国の中心だ。


 その守りを任されるのは聖騎士にとって、名誉なことなのだろう。


 だけど、二人なら「都会で忙しく働くよりも、田舎でのんびりしたい」と言って、この村に来たとしても、おかしくはない。


 そもそも、俺が生まれたときから彼らはここにいるのだ。


 俺からすると、この村にいない二人の方が違和感がある。


「別にこの村だって小さいが、悪くないぞ」


 田舎でスローライフ。


 悪くないと思うが。


「そういうこと言ってるんじゃない。ただ、もったいないと思ったのよ」


「父さんも母さんも楽しそうだし、これで良かったよ」


 聖都がどういうところかは知らないが、都会は気疲れしそうだしな。


 俺たちは服を着ると、庭に戻った。


「あらあら。レイラちゃん、髪が濡れてるわ。こっちにおいで」


「は、はい」


 カナリアはレイラを目の前に座らせると、彼女の髪に触れた。


 すると、レイラは気持ちよさそうに目を細めた。


 カナリアは魔法でドライヤーを再現し、レイラの髪を乾かしているのだ。


 ちなみに俺は髪が短いため、自然乾燥で十分。


「あ、ありがとうございます」


「なんだか娘ができたみたいで、うれしいわ」


 カナリアはにっこりと笑う。


「はっはっは。そうだな!」


 二人のことを尊敬しているレイラは恥ずかしそうに俯く。


「あ、あたし・・・もう帰ります!」


「あら、もうちょっとゆっくりしててもいいのに」


「いえ、大丈夫です! ありがとうございました!」


 レイラはぺこりと頭を下げる。


「そう・・・。じゃあルーク。見送ってあげて」


「そんなのいらな・・・いえなんでもないです」


 こいつ、いらないって言おうとしたな。


 俺だって見送りなんかしたくねーよ。


 だが、ここで見送らないとカナリアに怒られるだろうな。


 俺はため息を我慢し、レイラを見送ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ