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世界最強は今日も負け続ける  作者: 青赤黄
橙の宝玉 壊滅
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破滅への道のり2

 残念ながら、《ラグナロク》称号A、D、E、G、I、J、Nについては語れることはない。

 語れるのは死んだ時のことや、今までどんなふうに生きてきたのか、能力はどんなものかということくらいしか語れない。

 ただし、どんなふうに生きてきたかは語る気はない。

 だからまず全員の共通している死因から、

 全員、四王に殺されたのである。

 圧死、斬殺、失血死、色々あるものの、全員四王に殺されたことに変わりはない。

 

 A、本名ワンゲル。

 能力『崇拝者』 

    自分が説得した相手を一定確率で自分を信仰  

    させる能力。


 D、本名ビル

 能力『爆弾魔』

    手で触れたものを三個まで爆弾として設定す 

    る能力。どんな爆弾にするかは設定可能。地

    雷、手榴弾、核爆弾、なんでもあり。


 E、本名エイス

 能力『病原体』

    触れた相手の病気を自分の体に移して、他の

    人に移す能力。自分の体に移した病気は自分

    の体に害を与えない。


 G、本名ゴート

 能力『生贄』

    自分の傷を別の生物に移す能力。致命傷は移

    すことは不可能。


 I、本名イウア

 能力『概念操作』

    自分の触れている概念を操作することができ

    る能力。一秒操るごとに一週間分寿命が削れ

    る。


 J、本名ジュール

 能力『熱量操作』

    自分の触れている物の熱量を操る能力。生物

    の熱量は操れないが自分の熱量は操れる。


 N、本名似名布(になぬの)

能力『縁添加えんてんか

    どんな物体にでも相手との縁を結ぶことがで

    きる能力。

 以上、自分が死んだことすらわからないほどの速度で殺された7人の紹介である。


 BとC。

 ベースとチル

 は、兄弟である。

 仲の悪い兄弟であった。

 PとRとは比べものにならないくらい仲が悪い。

 特に理由もなく殺し合うし、話しかけてきたからと言う理由で殺し合いをするほどに仲が悪い。

 水と油のように弾きあって、火と水のように消し合って、光と影のように相容れない。

 ベースの能力は『ストッパー』相手の動きを止める能力。

 チルの能力は『ムーブメント』相手を強制的に動かす能力。

 能力正反対。二人同時に一人を相手するのはお互いに邪魔にしかならない。

 そんな二人がシグマと二人一緒に戦った時から勝敗は見えているようなものだった。

「くそガァ!兄貴ちゃんとやりやがれ!」

「ルセェ!テメェが言うな!」

 止めた瞬間動かせて、動かした瞬間止められて、兄弟はそれぞれに怒りをぶつける。

「おいおい、喧嘩すんなよ」

 歩いて近づきながら、シグマは二人に言う。

 手をグーにして、ベースへと向かって殴る動作をする。

 その距離は50メートルは空いていて、絶対に当たらない距離だったが、能力『空間飛ばし』は殴りつけた大気を飛ばす能力。

 飛ばした大気は、殴りつけた時と同じ速度で飛び続ける。

「ぎゃ!」

 ベースが呻いて、その場に倒れる。

「はっ!ザマァ!死ね!ボケ!ぎゃ!」

 ベースと同じように呻いてチルが同じように倒れる。

「ははっ、てめーも倒れてんじゃねぇか、バーカ」

 ベースがチルをバカにするが、

「どんぐりの手合わせ?50歩1000歩?なんかちげーな、ま、いいや」

 『空間飛ばし』は決定力に欠ける、ありていに言えば、殺す力に欠ける。

 だが、この時、シグマは殺す気はなく、説得する気バリバリだったのだが、突然両手だけ動きを止められて、両足は動かされて、両足が浮いている状態で、その体が落ちないようにそこに固定されていた両手の固定がとかれて頭から落ちて、

 ちょっとキレていた。

 だから攻撃していた。

「おいおい、話聞いてくれよ〜」

 そう言いながら、的確に足に向けて大気を殴りつけ、立たせないようにする。

「こんなことしてる奴と話すなんてことできるかよ!」

「そうだそうだ!このくそ兄貴とおんなじ意見になっちまったってのはスゲ〜屈辱的だがな‼︎」

「ははっ」

 と、シグマは二人に対して苦笑する。

「嫌いあってんなぁお前ら」

「「そうですけど‼︎」」

「そんでなぁ、いい加減本題に入らせてもらうけど」

「「本題に入れなかったのはテメーのせいだけどな‼︎」」

「ウルセェよ、そもそもテメェらが止めて動かして、俺に攻撃してきたんだろうが」

「「わざとじゃねぇよ、悪かったな」」

「それじゃ、話をしようか」

 説得は、成功した。

 二人は仲良く、仲の悪いまま、死にたくないので、殴り殺されたくないので、《ラグナロク》を抜けた。

 

 U、V、Wの、3幹部が一つの部屋に集まるのは実に久しぶりのことだった。

 創立以来、20年ぶり。

 一番若いWは今25歳である。

 3幹部は創立以来変わっていない。

「ふふぅ、久しぶりねぇ。二人ともぉ」

 髪がボサボサで、寝癖がついたままの赤ら顔で、息は酒臭く、上半身はなにも着ないで、豊満な胸部はさらされていて、下半身も下着を着ているだけで、長い足はむき出しのままで、机に突っ伏して、右手にはエチケット袋が握られている。

 この女性がUである。

 酒に弱い酒豪である。

「そうですね、久しぶりですね、今日と言う日は素晴らしい記念日となりますね」

 メガネをかけて、執事のような姿で、右腕は肩から4本、左腕は肩から1本、右足は同じところから3本生えていて、左足は根本からなくなっていて、背中からは右腕、左腕、右足、左足が翼のように生えて、蠢いている。そしてニヤリと笑っている男がVである。

 Uの醜態には慣れているので、特に気にしてはいない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうも」

 虚で焦点の合わず、空洞のようで、暗闇のようで、闇のようで、病んでいて、現実を見ているようで、見ていない眼をして、口が少し開いていて、口の両端から垂れているヨダレを拭くことなく、膝の上に置いている手にポタポタ、よだれが落ちている。服は粗末な物で、半袖短パンに穴やほつれがたくさんあり、服は上の方が赤黒く、下に行くほどに色が薄くなっている特殊なもので、足は裸足である。剥き出しの肌からはびっしりと、切り傷、や擦過傷、打撲痕、首には手の跡がくっきりと付いていて、その下には細い形の瘡蓋(かさぶた)が無数に付いている。彼女内的な傷以外の傷は全て自傷の跡である。

 初めて見た人からは例外なく死体だと思われるその女性がWである。

「いやぁ、相変わらずねぇ、Wはぁ。あぁ、応えてくれなくてもいいわよぉ、言いたいだけだからぁぁ」

「痛々しいのでね、できればKの治療を受けて傷を消してもらいたいのですがね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」

「あぁぁ、いけないんだぁ、Vぃ、Wを泣かせたぁ」

「あのですね、私は悪くありませんよね、泣いたりしていないんですしね、嘘はやめた方がいいと思いますけどね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ねぇ、お酒飲んでいぃ?」

「やめてくださいね、ここで吐くことはZ様への不敬に当たりますよね」

「あぁ、そうねぇ、怒られたくないわぁ、なら止めるべきねぇ」

 ガチャンと鍵が閉まる音がして、部屋の扉の前に鏡が現れると、3人は地面に伏せてZを待った。

 一番早く動いたのはWで、ヨダレを服で拭いでいた。Vも背中の両手両足をしまう。Uの酔いも覚めて、持っていた袋をしまう。

 鏡から出てきたZ、ライは3人を見下ろして、

「報告」

 とだけ、短く言う。

「はっ」

 3人が同時に言って、位の一番高いWから話し出す。

「交渉は失敗しました。ので、オツナギ王国は潰しました。交渉は成功しました。ので、セルム王国はこちらに有利な条件で属国としました。ランド王国、カミラギ王国はオツナギ王国と同じように」

 スラスラと言った。

「こちらは全てオツナギ王国と同じように」

 Vは一言で終わらせる。

「私のところはぁ、二つ属国としてぇ、一つは滅ぼしましたぁ」

「そう」

 3人の報告を聞いて、ライは再び鏡に入る。

 ライの姿が見えなくなった時、鏡が解けるように消えていった。

「ふぅぅ、緊張したぁ」

「そうですねぇ」

 二人が、冷や汗を拭いているとガリ、ガリ、ガリ、と音が聞こえてきた。

 その音は二人の聴き慣れたもので、それが少しずつ早くなっていくことも予想できていた。

 そして実際にどんどん音は早くなっていった。

 ガリガリガリガリガリ。

 聞こえないくらい小さいくらいだった呟きが、どんどん大きくなって来ていて、聴こうとしていない二人にも聞こえ始めていた。

 一つの単語を繰り返しているだけだったが、それも単語が少しずつ変わっていくのも恒例のもので、いつ変わるかを二人は賭けにしていた。

 普通に話している二人の声も聞こえないようで、首をかきながら言う。

「役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず」

 首の皮がむけ、少しずつ肉を抉り、瘡蓋を削り、爪の隙間に血が入って赤いネイルのようになってゆく。

「クズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズがクズが」

 少し音量が上がり、首から血が滲み出で来て、瘡蓋があった場所の傷が深くなる。細い筋を作り出す。

「死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 唐突に、Wの発する音が止まり、グルっと、首が180度周り、「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帰って罰を与えます」と言って、胴体が、下半身はそのままに首と同じように180度周り、下半身はゴキュゴキュゴキュと音を立てて、股の部分で足だけが回り、立ち上がる。

 自罰的傾向がかなり高いWの、自分に与える罰はそこらへんの拷問よりも酷い。

「相変わらずねぇ」

「そうですね」

 そのことに、二人は特になにも思っていないように言った。

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