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世界最強は今日も負け続ける  作者: 青赤黄
黄の宝玉
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共闘

 ダノムガ王国の国境外にある森の中をリリスという女が、周囲を警戒するように忙しなく首を巡らせながら歩いていた。

 彼女は最近現れるようになった盗賊を警戒しているのだ。

 彼女が森に入ったのは、森の木に実る木の実を探すためで、それを探すためにも首を巡らせていたのだ。

 だが彼女が警戒しているのは周囲で、上下は見ておらず、木の上にいるA級犯罪者を見れなかった。

 木の上にいるのは男、名はガザ。 

 彼は盗賊ではない。

 奴隷商人であり、彼の持つナイフには麻痺毒が塗られている。

 ガザはリリスの死角に入るため、音を立てずに木の上から降りる。

 昨日は雨が降っていたので、土はぬかるみ、動けは足音がしそうな物なのに、ガザは少しの音も立てない。

 そしてガザは着ていたジャケットの内側から投げナイフを取り出す。

 その時の小さな擦れる音が、ガザの耳にはやけに大きく聞こえたが、今では集中力を高める音になっている。

 ガザは木影から出て、10メートル先ほどに離れたところで歩いているリリスの胴に向けてナイフを振り上げ、

「あーもうヤバいかなあ」 

 と、『遠見』の能力を使って見ていたリオルは呟いた。

 リオルの隣りでは自分の正体が完璧に知られてしまっていたことを調査対象に教えられ、いじけているカミスがいる。

 そんなカミスに

「ちゃんと来なよー」

 と言って『ジャンパー』と『遅延』と『倍化』と『累乗』と『加速』と『高速』を並列使用して、リオルは一気に跳ぶ。

『ジャンパー』 一度だけ空中を蹴ることが出来る能力

『遅延』 指定した区間の時間を遅くする能力

『倍化』 全ステータスを2倍にする能力

『累乗』 全ステータスを二乗する能力

『加速』 一分ごとに速度を1.2倍にしていく能力

『高速』 蹴り出した瞬間だけ速度を10倍にする能力

 これらを使いリオルは5キロ離れたところから、リリスとガザの間へと降り立つ。

 そして、着地寸前にあることに気がついたが、もう遅かった。

 大きな破裂音がする

 リリスとガザは、早すぎて何が起こったのかわからなかったが、自分の身体や地面や木にも血が付いていることに気がついた。

 突然の大きな音で振り返ったリリスと、血を目の前から浴びたガザは、不思議なものを見ていた。

 木や地面、自分の身体についた血が意志を持っているかのように動き、少しずつ人の形を作っていく。

 その血の内側に内臓ができ、骨が生まれ、血管が作られ、筋肉が生え、皮膚が包み、リオル・クライシスは生き返った。

 そしてリオルはたははと笑ってから、

 「いやーごめんごめん、『衝撃吸収』使うの忘れてたよ。とりあえず初めまして、リオル・クライシスでーす」

 軽薄な口調で頭を掻きながら言ってまた笑う。

 リオルとは反対にリリスとガザは眼を見開いて後ろに飛び退る。

 二人とも、リオルの姿を知っていたからだ。

 リオルは自分の姿を髪型を変えるように変えるので、あまり意味がないのだか。

「あはは、どうしたのー2人ともーガザ君、リリスちゃん。」

「貴方が・・・・・・世界最強の・・・・・・」

 リリスの声が震えていた。心の中ではまさか会えるなんて、そう思っていた。

 そう思って、怯えていた。

「えーいや違うよー、僕は世界最強なんてものじゃないよー世界最弱だよ〜〜」

 リオルがヘラヘラと言うと、ガザがジャケットからさらに投げナイフを取り出し、リオルを見据え、

「そうか、とりあえず殺す文句は?」

 と訊きながら、ナイフを5本投げつける。

 それをリオルはなんとか避けるが、体重移動と足を広げたことが原因で、ぬかるみに足を取られ、すっ転ぶ。

「んー別にいいけどー殺せるぅ?僕のこと」

 リオルは転がったまま、泥を啜るような姿勢から顔を起こし、人を馬鹿にするように人差し指を顎に当てて上目遣いにガザを

「ひっ!」

 そして『両顔』を使ってリリスも見る。

 今のリオルは顔が二つある。

 二口女みたいに。

「あはーごめんねーキモいよねー、でもガザ君よりも君の方を見張らないとねー」

 そう言ってクスクス笑う。

 当然両面で。

 ものすごくキモいことになっている。

「いやーさー、で?どうするぅ?殺し合うでしょう?いいのーやる?」

 ナイフが飛んでくる。10本。

 見えていた、が、避けられずに全て刺さる。頭に3本、喉に一本、肩甲骨と肩甲骨の間に一本、身体の心臓肝臓膵臓に一本ずつ、腸に2本本刺さっていた。

 身体に刺さった7本を、音も立てずに走り寄ってきたリリスが全て捻り、そして抜き取りガザに放る。

「今だけ共闘、こいつ殺そう」

 ガザがリリスのことを不思議そうに見るが、先ほどの再生能力を見て、1人で勝てるとは思わなかったし、リリスの速さは自分よりも早かったので、協力することにした。

 だから

「いいぞ、共闘しよう」

 そういいながらナイフを取り出す。

 リリスも枝を切るためと護身用に持ってきていた、カバー付きの鉈を背中から引き抜き、カバーを外す。

 その刃先には何かの血が付いていた。

 「ちゃんと手入れしなよ」

 「面倒なのよ」

 リリスの言葉に、ガザは呆れたような顔をする。

 そして準備が終わったのを見計らったようなタイミングで、

「あっ、終わった?じゃーやろうか、まず1キル目ね」

 リオルがいう。

 その傷は既に治っていた。

「いやーごめんねぇ、リリスちゃんもガザ君も。

 リリスちゃんは日課の散歩、ガザ君は仕事。

 どっちも邪魔しちゃったしなぁ。

 ほんとーごめーん」

 リオルは対して悪びれもせずに手を合わせ謝る。

 それもそう。

 リリスもガザも、世間からはA級犯罪者と呼ばれている。

 リリスは集団自殺教唆、詐欺、その他言葉を使った犯罪を主にし。

 ガザは知っての通りの奴隷商人。

「よし!A級犯罪者×2ねー」

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