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世界最強は今日も負け続ける  作者: 青赤黄
黄の宝玉
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 三巴

ダノムガ王国の騎士団本部入口、扉の横には入団試験会場と書かれた紙を貼られた立て札が立ててあった。

 入口では子供の入団希望者と入団試験の受け付け係の騎士が揉めていた。

「何で試験受けれねーんだよ!!」

「さっきも言ったがお前には色々足りない、歳、背、それにその二つがあってもお前は入れない」

 声を荒げる子供に対して、騎士は静かに言う。

 そのいかにも自分が正しいと思っているような口調が子供を刺激する。

 無理矢理にでも入ってやる

 蹴るなり殴るなりやってやる。

 そんで越えられたら流石に「こいつはすげー!」って言って俺が入るのも認めるだろ。

 まずは足で!

 子供は駆け出して騎士の横を通り過ぎは入ろうとするが、騎士は俊敏な動作で子供の服の襟を掴み捕まえる。

 ぐええ

 子供が呻き騎士は慌てて手を放す。

「あっ、すまん、大丈夫か」

 騎士はしゃがんで咳き込んでいる子供に声をかける、子供の眼が不意に光り、子供は両手を着いて近くなった騎士の顔めがけ蹴り上げる。

 それは騎士が身体を少し逸らすことで、呆気なく避けられ足を掴まれ、逆にひっくり返され「うぎゃ」という声と共に仰向けに倒れる。

「お前が勝てるわけないだろ」

 騎士の声は静かで、取り付く島がなかった。

「だって」

 子供は騎士が何を言おうとしているかすぐにわかった。

 やめろ。

「お前は」

 違う。俺は違う。

 言うな。

「女なんだから」

 俺は女じゃない。



「おし!今日はこれで終いだ!てめーらちゃんと明日も来るんだぞ!いいな‼︎」

「うす‼︎大将‼︎」

 周りの大人たちに合わせてグリムも叫ぶ。

 この土木現場での仕事も、もう一週間経ってるから少し慣れてきた。

 それにここの人たちはみんな優しい人が多い。

 僕が貧乏で、他にも一人一緒に暮らしている子がいると前に話したのを覚えていて、それでご飯をくれる人がいた。

 その人も、僕よりはお金があるけど人に分け与えられるほどは持ってないはずなのに。

 僕もいつかお返ししなくちゃ。

 グリムは心に誓って、家に帰る。

 家にはアリスがいる。

 僕が一人で歩いていたら地面で寝ていたので声をかけて、そしたらついてきた。

 すぐについてきたわけではなく、少し怯えられたりきたけど、なんとか説得した。

 そこからは一緒に過ごした。

 幸せだった。

 この幸せがずっと続けばいい。

 どれだけお腹が空いても、

 どれだけお金が無くとも、

 どれだけ馬鹿にされても、

 どれだけ傷つけられても、

 そばにアリスが居てくれればそれでいい。

 そばに居てくれれば、僕はそれだけで幸せになれる。

 できることならお腹が空かないくらいお金があって、馬鹿にされなくて、傷つけられないようになればそれが一番いい。

 でも、今の仕事場からはご飯ももらえるからお腹は空かないし。

 馬鹿にする人もあの仕事場にはいないし。

 アリスを傷つける人もいないと思う。

 だから、大丈夫。

 とりあえず今日は、仕事に行く時に見つけた不思議な石をあげよう。

 見た目はただの石なのに、太陽に透かすと黄色に光る石。

 喜んでくれるかなぁ。

 13歳の少年は石を大事そうに手の中に握りしめて、スラムの奥へと進んで行く。



「えーーなんでぇ、なんで僕が盗賊退治なんてしなきゃなんないのぉ、とぉいじゃーんダノムガ王国ってさ、」

 クバルエ王国の自分のギルドで、ダノムガ王国の騎士5人に囲まれながら、リオル・クライシスは両手両足を子供のようにバタつかせながら言った。

「そこをなんとかお願いします」

 騎士の中で最もガタイが良く、腰に差している剣の装飾も一番凝っている男が頭を下げる。

 元論それはただの社交辞令。

 男にとってはただただ不本意な行動である。

 男は、目の前のリオルが世界最強だからやっているだけだ。

 だが、男の眼から見て、リオルは弱い。弱すぎる。

 それに気づいているから、男はなぜこいつに頭を下げねばならないのだと思っているのだ。

 頭の血管がビキビキ浮き出ているが、リオルは気付いておらず、むしろ「ねー君たちが弱いんでしょ、頑張って強く・・・・・・なれないから来たのか」と、煽るようなことを言う。

 あっはっは、と笑ったのもダメだ。

 一瞬男から殺気が出るが、それは本当に一瞬で、誰も気づかなかった。

 当然リオルも気付かない。

 だから言う

「僕、君たちよりも弱いけど、それでもいいなら行くよ、人はこっちで選ぶ」


 当然のように騎士達が怒り、帰って行ったその10日後、リオルはいろいろと調べごとを終わらせて、とある部屋に入る。

 そして部屋の中にいる少女、カミスに「じゃあ行こっか」と当然部屋に入って言った。

「ど、どこにですか?」

 急に現れ唐突に話しかけてきたリオルに驚きながらも、カミスは首を捻って訊く。

 リオルはそれに答えず近づき、カミスの手を掴み、満面の笑みを浮かべて

「大丈夫、行けば分かる。君も僕の情報を知りたいでしょう?そのために来た、《ラグナロク》のスパイでしょう?ねー。じゃーいこー」

 と言って腕を振り上げた。

 カミスは驚きの表情を浮かべるが、それには少しも取り合わず、ゴーゴーとリオルはカミスの手を引いて歩き出す

 目指すはダノムガ王国。

 ミッション 赤い絶望レッドノットホープという盗賊退治。

 サブミッション スラムにいる少年ゴルテ君からさ黄の宝玉を譲ってもらうこと。

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