↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/179

k02-28 圧倒的戦力差

「大丈夫ですか!?」


 異形の人影が振り返り、俺に声を掛ける。



 ……聞き覚えのある声だ。


 それに、その顔……間違いない。



 ついさっき別れたばかりのテイルの少女……2人居たうちの、青髪の方だ。



 だが、その髪は見た事のない白金色に輝き、頭には大きな耳、手足は獣のような黒い影を纏っている。


 その姿に圧倒され、声さえも出せないでいると……




「な、何だお前は!? ば、化け物!?」



 俺に銃を向けていた兵士が引きつった声を上げ後退る。




 化け物……?



 違う――



 これまで、多くの戦場を渡り歩いてきた。


 化け物と揶揄される歴戦の戦士や、上級クラスのマモノを相手にしたのも1度や2度じゃない。



 そんな奴らと比べたとしても、まるで話にならない。


 こいつは……俺たちとは住む世界が違う、理解の及ばない世界の存在だ。



 そんなどん底のような恐怖を振りまく異形の者は、俺の傍にしゃがみ込むと、


 その威圧感からは到底想像できない優しい声で語り掛けてくる。



「これを。飲んでください」


 そう言って、淡く黄金に輝く薬瓶を俺に渡す。



 見た事もない薬品だ……。


 だが今更考えても仕方がない。



 言われた通り瓶の中の液体を一気に飲み干す。


 特に味はしない……しいて言うなら薬草のような苦みがほのかにある……。


 そんな事を考えていると――体中の痛みがウソのように消えていく!?



 ――まさか……安楽死用の毒薬か!?



 一瞬そう思ったが、現実はそれよりもよっぽど信じられないものだった。


 全身の裂傷は一瞬にしてふさがり……粉々になったはずの足まで綺麗に治ってやがる!?



「……良かった! 本当に効くんですねー」



 まったく理解が追い付かない俺にはお構いなく、異形の少女は申し訳なさそうに話を続ける。


「ごめんなさい。せっかくの作戦が台無しですね……。『あの2人を助けてください!』って、うちの雇い主からの業務命令……と、私の我が儘です」


 そう言って舌を出して笑う。



 その直後――


 彼女の背後を、複数の閃光が高速で駆け抜ける!



 慌てて目で後を追うと、後方に居たライドアーマーに、煌々と輝く炎の槍が3本深々と突き刺さっている!



「あ! 危ないですよ! 離れてくださーい!」


 青髪の少女が大声で叫ぶ。



 ライドアーマーの搭乗者が慌てて這い出してくる。


 周囲に居た兵士達も、訳も分からずその場から逃げ出す。



「"断罪の三炎槍 フィア・フランム!!"」



 離れた場所から声が聞こえ、次の瞬間――



 炎の槍が一際激しい閃光を放ち――爆裂!!


 巨大なライドアーマーを飲み込む程の火柱が轟々と立ち昇ぼる!



「シェ、シェンナさん!? す、凄いですけど、建物が!! 入り口ごと吹き飛んじゃいます!!」


「やっば! 調整間違えた!?」


 声の方を見ると、アザレアと赤髪の少女が騒いでいる。



 輝く魔鉱石を携え、両腕を体の前で構えている赤髪の少女……。


 ま、まさかあいつがやったのか!?


 魔兵器……!?


 いや、そんな大型の魔兵器は持っていなかった……いったいどうなってる!?



 立て続けに、また離れた位置で大きな音がしそっちに目を向けと、


 今度は青髪の少女がもう一機のライドアーマーに飛び掛かっていた!



 手には鋭く光を放つ短剣。


 その太刀筋をなぞるように光の筋を残し、瞬時にライドアーマーアの四足を切り落とす。


 バランスを失い、あっけなく崩れ落ちるライドアーマー……



「うわ、この短剣、切れ味抜群! ……カボチャとか切るのに良さそう」


 手に持った短剣をまじまじと見つめながら、事も無げに戻って来る青髪の少女。



「バカ、そんなので切ったらまな板ごと真っ二つよ!」


 赤髪の少女もこっちに歩いて来る。




 2人は並んで立つと、茫然と立ち尽くす敵兵たちに向かって代わる代わるに叫ぶ。



「警告する! 武器を捨てて大人しく投降しなさい!」


「抵抗しなければこれ以上危害は加えません!」


「双方の戦力差は明らか! 不要な負傷者を出さない為にも降伏を強く推奨――」




 ――赤髪の少女の声を遮るように、すぐ傍で銃声が鳴り響く!!


 俺を殺すよう命令した兵士が、彼女らに向けて魔兵器を撃ち放った。




 しかし、その弾丸は空中で爆散する。


 見れば青髪の少女の姿が無い。




「――残念」


 赤髪の少女が呟く。



「交渉決裂ですね」


 いつの間にか、発砲した兵士の背後に立っている青髪の少女。



 トンッと軽くステップを踏むと、軽やかに回し蹴りを放つ。


 その直撃を受け、重武装した男の体は、まるで蹴飛ばされた空き缶のように宙を舞い……数メートル離れた植え込みに消えていった。



 再び少女の姿が消え、直後、あちこちから同時に悲鳴が上がり残りの兵士達もその場に崩れ落ちる……。


 太刀筋だけが、鈍く光る残像となって広場に残っていた。




 ―――




「立てますか?」


 ペオニーの手を引いて抱え起こす少女。


 その髪色は、元の"青髪"に戻っており、耳も消え、四足も元通りだ。



「な、なな、何だったのよ、さっきの!?」


「……ナイショです。できれば、この事は黙っていて貰えると嬉しいんですけど……」


 そう言いながら、その手を引いて俺の所まで連れてくる。



 混乱しながらも……俺の顔を見るなり両目から大粒の涙を流すペオニー。


「……バカ! バカバカ!」


 力いっぱい罵倒される。



「ば、バカはお前の方だ! なに無茶苦茶やってんだ!」


「うるさい! バカ! この騒ぎ片付いたら絶対クビにしてやるんだから!」



 そう大声で叫ぶと……突然抱きついてきて、俺の胸元に深く顔を埋めるペオニー。


 予想外の行動に驚く。


 ……が、その頭を優しく一度だけ撫でてやる。



 そんな俺を見て、ウィステリアテイルの2人は、顔を見合わせてニッコリと笑いやがった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=onランキング投稿にご協力ください(*'ω'*)
もし続きが気になる、応援してるぞ、と思って頂けましたらランキング投稿をお願いします。
下の"投稿"を1クリックして頂くだけで投稿完了です。何卒よろしくお願い致します('ω')
html>投稿
html>
(なろう勝手にランキング)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。