第九十九話「聖女の覚悟」
寺院での日々を過ごす中、聖もまた、これまでの旅を通して、自分自身の役割について、改めて、深く、考えを、巡らせていた。
「――零、あなたの力、また、新しい、可能性を、見せてくれたわね」
聖が、ある夜、静かに、そう切り出した。
「他者の穢れすらも、受け止め、浄化する力――それって、まさに、聖教会が、目指してきた、理想の姿、なのかもしれない」
零は、静かに、聖の言葉に、耳を傾けた。
「聖教会の、理想?」
「ええ。病や、苦しみを、単に、取り除くだけじゃなく、根本から、癒し、そして、浄化する。それこそが、本当の意味での、救済だって、院長様も、よく、おっしゃってた」
聖の言葉には、深い、想いが、込められていた。
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「――私、これまで、ずっと、治癒魔法の、限界を、感じてきた」
聖は、静かに、続けた。
「病を、根本的には、治せない。その、無力感に、何度も、苛まれてきた」
「聖……」
「でも、あなたの力を、見てて、思ったの」
聖は、零を、まっすぐに、見つめた。
「私も、もっと、自分の力を、深めていきたい。あなたの力と、私の治癒魔法――それが、もっと、深く、結びつけば、もっと、多くの人を、救えるんじゃないかって」
その言葉に、零は、静かに、頷いた。
「それは、いい考えだな」
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翌日から、聖は、寺院の高僧に、この国独自の、治癒の術――経典に記された、古い、浄化の技法について、教えを、乞い始めた。
「――聖教会の、治癒魔法とは、また、異なる、体系のようですね」
高僧の指導を受けながら、聖は、真剣な、表情で、その技を、学んでいった。
「ええ。でも、根底にある、想いは、同じ気がします。苦しむ人を、救いたい、という」
聖の言葉に、高僧は、静かに、微笑んだ。
「その、想いこそが、何よりも、大切なのです」
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数日間の、集中的な、修練を経て、聖は、これまでとは、また、異なる、新たな、力の片鱗を、身につけつつあった。
「――零、見ていて」
聖は、そう言うと、静かに、祈りを、捧げた。淡い、しかし、これまでとは、明らかに、質の異なる、光が、聖の周囲に、広がっていった。
「これは……」
零が、その、変化に、驚きを見せると、聖は、少し、誇らしげに、微笑んだ。
「まだ、完全じゃないけど――これまでより、深く、癒しの力を、届けられる、気がするの」
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その夜、零は、聖の、確かな、成長を、静かに、噛みしめていた。
(みんな、それぞれに、成長してる)
聖の、新たな決意。夜の、素直さ。熊谷の、変わらぬ、力強さ。花霞の、静かな、強さ。
そして、零自身も、エルナとの出会いを経て、また、新たな、力の可能性を、見出しつつあった。
「――みんなで、これからも、成長していこう」
零の、静かな、決意に、聖が、優しく、微笑んだ。
「ええ、一緒に」
見知らぬ国の、静かな寺院で、零たちの、それぞれの、成長と、絆は、また一つ、確かなものへと、深まっていくのだった。




