第百話「百話の重み」
寺院での日々を経て、零たちは、いよいよ、この国での、旅の、一つの区切りを、迎えようとしていた。
「――思えば、遠くまで、来たものだな」
零が、静かに、そう、呟いた。
雪の降る、あの夜から、ここまでの、道のり。レイヴンクロフトでの、出会い。日ノ本での、経験。中国大陸での、激戦。そして、この、インドでの、様々な、出会いと、学び。
「――百話、か」
零は、これまでの旅を、静かに、振り返りながら、その、途方もない、重みを、噛みしめていた。
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寺院を、発つ、その日の朝、高僧が、零たちを、見送りに、来てくれた。
「――皆様、この地に、もたらしてくださった、恩、決して、忘れません」
高僧は、深く、頭を下げた。
「これからも、この寺院は、必ず、再建いたします。そして、皆様が、教えてくださった、浄化の、真の意味――それを、これからの、この地の、人々に、伝えていきます」
零は、静かに、頷いた。
「これからも、この国に、平穏が、続きますように」
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寺院を後にした零たちは、次なる目的地――大陸の、さらに西方へと、向かう、旅路についた。
「――次は、どこへ向かうんだべ?」
熊谷の問いに、聖が、地図を、広げながら、答えた。
「エジプトという、国があるみたい。ピラミッドという、巨大な、建造物があるって」
零は、遠くに霞む、これまで旅してきた、この国の景色を、静かに、見つめた。
(この国でも、たくさんのことを、学んだ)
生と死の、意味。愛と、喪失の、重み。そして――エルナという、複雑な、存在との、出会い。
「――エルナ、元気に、してるといいな」
零の、静かな、呟きに、聖が、優しく、頷いた。
「きっと、また、会えるわ」
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旅の道中、零は、これまでの、百話に及ぶ、旅路を、改めて、心の中で、整理していた。
(病弱で、何もできなかった、あの頃の俺)
水晶が壊れるほどの、低い数値。周囲からの、嘲笑。だが、その中でも、諦めなかった、あの、小さな灯火。
(仲間たちと出会い、灰堂さんに教わり、皇帝牙さんに、激励され)
一つ一つの、出会いが、確かに、今の零を、形作ってきた。
「零殿」
花霞が、静かに、隣に、歩み寄った。
「そなたの、その表情――何を、お考えでしょうか」
「これまでの、旅のことを、な。本当に、色んなことが、あった」
「まだまだ、この旅は、続きます。ですが」
花霞は、静かに、微笑んだ。
「零殿の、その、確かな、成長――これからも、見届けさせて、いただきたく、存じます」
零は、静かに、頷いた。
「ああ、これからも、よろしく頼む」
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夕暮れの空の下、零たちは、次なる大陸――エジプトを目指し、その、確かな足取りで、旅を、続けていくのだった。
これまでの、百話に及ぶ、旅路は、決して、平坦なものでは、なかった。だが、その一つ一つの、出会いと、試練が、零を、そして、仲間たちを、確かに、成長させてきた。
そして、その旅は、まだ、始まったばかりだった。
病神という、途方もない、脅威。その、真の目的は、まだ、完全には、明らかになっていない。
だが、零たちは、これからも、目の前の、一人一人を、確実に、救い続けながら、その、大きな謎の、真相へと、着実に、近づいていくのだった。
――第五章「インド編」、まだ、続く。




