第九十七話「河の浄化」
零の周囲に揺らめく、新たな光を前に、十二使徒は、明らかな、警戒を、強めた。
「――ソノ力、以前トハ、明ラカニ、異ナル」
十二使徒の言葉に、零は、静かに、答えた。
「エルナと、出会って、気づいたんだ。俺の力は、ただ、病を、糧にするだけじゃない」
零は、剣を、構え直した。
「それを、受け止め、そして、変えていく力でも、あるんだって」
その言葉と共に、零は、渾身の力を込めて、十二使徒へと、踏み込んだ。
「――ッ!」
十二使徒は、咄嗟に、防御の姿勢を、取ろうとした。だが、零の一撃は、これまでとは、明らかに、異なる、鋭さと、精度を、持っていた。
「――ッ、グ、ゥ……!」
十二使徒が、僅かに、よろめいた。
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「――今だ、皆!」
零の合図に応え、花霞、夜、熊谷が、それぞれの、渾身の一撃を、十二使徒へと、叩き込んだ。
聖の支援魔法が、これまでにない、強さで、パーティー全体を、包み込んでいた。
「――バ、馬鹿ナ……! コノ、連携……!」
十二使徒が、大きく、動揺した様子を、見せた。
戦いは、次第に、零たちの、優位へと、傾いていった。
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寺院の地下深く、亀裂の奥から、これまで以上に、強い、瘴気が、噴き出し続けていた。だが、零は、その瘴気の中に、微かに、清らかな、力の存在を、感じ取っていた。
「――この、寺院の下に、何か、清らかな、水源のようなものが、あるのか」
零の呟きに、聖が、はっとしたように、反応した。
「そういえば、この寺院、古くから、聖なる、地下水が、湧き出る場所として、知られてるって、話を、聞いたことがあるわ」
その情報に、零は、静かに、頷いた。
「なら、その水源を、浄化すれば……」
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零は、剣を構え直し、十二使徒との、決着に、向けて、最後の力を、振り絞った。
「――お前の、企みは、ここで、終わりだ」
零は、体の奥の、あの熱を、これまで以上に、強く、引き出した。
「――俺は、この寺院の、清らかな水を、そして、人々の、信仰を、守る」
その言葉と共に、零の剣が、十二使徒の、靄の中心を、深く、貫いた。
「――ッ、グァァァァァ……!」
十二使徒の、断末魔にも似た、悲鳴が、地下深くまで、響き渡った。
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十二使徒が、大きく、体勢を、崩しながら、後退する、その瞬間、零は、地面の亀裂へと、静かに、手をかざした。
零の力が、亀裂の奥へと、静かに、流れ込んでいく。噴き出していた、黒い瘴気が、次第に、その勢いを、弱めていった。
「――なんだ、これ……!」
夜が、驚いたように、その光景を、見つめた。
亀裂の奥から、清らかな、水の匂いが、静かに、立ち上り始めていた。
「――バ、馬鹿ナ……! 水源マデ、浄化スルトハ……!」
十二使徒が、信じられないという、様子で、そう、呟いた。
「――今日ハ、コレマデダ。ジャガ、覚エテオケ」
その言葉を最後に、十二使徒は、黒い靄と共に、姿を、消していった。
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戦いが終わった後、地面の亀裂からは、清らかな、水が、静かに、湧き出し続けていた。
「――終わった、みたいだな」
零が、荒くなった息を整えながら、そう呟いた。
「零、すごいわ……! 水源まで、浄化するなんて」
聖の、嬉しそうな声に、零は、静かに、頷いた。
「みんなの、支えがあったからこそだ」
見知らぬ国の、崩れゆく聖域は、零たちの、確かな勝利によって、その、清らかな水源と共に、再生への、第一歩を、踏み出していくのだった。




