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病魔喰らい ~世界最弱の病人は、世界を旅して神を超える~  作者: 伝説の男前
第一部 第一章「絶望編」

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第七十九話「中国編、終幕」

翌朝、零たちは、霊山の頂を目指し、険しい山道を登り始めた。


「――思ったより、きつい道のりね」


聖が、息を切らしながら、そう呟いた。


零は、自分の体調を、静かに確認した。標高が上がるにつれ、以前ならば、確実に、息苦しさを覚えていたはずだった。だが、今の零の呼吸は、驚くほど、安定していた。


「零、大丈夫? 顔色、良いみたいだけど」


聖の問いに、零は、頷いた。


「ああ、思ったより、平気だ。この大陸に来てから、また一段と、体が、丈夫になってきてる気がする」


その言葉に、夜が、静かに、興味深そうに零を見つめた。


「あんたの体、本当に、少しずつだけど、確実に、癒えてきてるのね」



山頂に近づくにつれ、周囲の空気は、これまでの旅で幾度となく感じてきた、あの重苦しい気配に、色濃く染まっていった。


「――近いな」


零の言葉に、一同は、緊張を強めた。


山頂に到着すると、そこには、古い祭壇の跡が、静かに佇んでいた。その中心には、黒い靄が、大きく渦を巻いている。


「――ヨウヤク、来タカ」


靄の中から、以前対峙した、あの十二使徒が、再び姿を現した。


「――お前、まだ、諦めてなかったのか」


零が問いかけると、十二使徒は、静かに頷いた。


「――病神様ノ、御命令ダ。コノ霊山ノ、力ヲ、必ズ、簒奪セヨ、ト」


十二使徒の纏う気配は、以前対峙したときよりも、さらに、強く、そして禍々しいものへと、変化していた。


「――我ハ、コノ地デ、コレマデノ雪辱ヲ、晴ラス」



戦いは、これまでで最も激しいものとなった。


「――ッ!」


零は、十二使徒の、以前を遥かに凌駕する猛攻を、必死に凌いだ。


「熊谷、前へ!」


「おうよ!」


熊谷の盾が、正面からの攻撃を、なんとか受け止める。花霞と夜が、連携して、側面から、鋭い攻撃を仕掛けていった。


聖の支援魔法が、パーティー全体を、力強く包み込む。


「零、あなたなら、できるわ!」


聖の声援に、零は、静かに頷いた。


(みんなの、想いを、力に変えて)


零の胸の奥で、これまでにない強さで、あの熱が、燃え上がった。


「――俺は、この霊山の、平穏を、守る」


その言葉と共に、零は、渾身の力で、剣を振るった。


「――ッ、グァァァァァ……!」


十二使徒の悲鳴が、山頂全体に、響き渡った。


「――バ、馬鹿ナ……! コノ我ガ、再ビ……!」


十二使徒は、大きく体勢を崩しながら、後退した。


「――今回モ、退カザルヲ得ヌノカ……」


十二使徒の声には、深い悔しさが滲んでいた。


「――ダガ、覚エテオケ。我ラハ、次ノ大陸デモ、貴様ヲ、待チ受ケテイル」


その言葉を最後に、十二使徒は、黒い靄と共に、姿を消していった。



戦いが終わった後、山頂に渦巻いていた瘴気も、次第に薄れ、消えていった。麓の村の少女の容態も、これで、完全に、回復に向かうはずだった。


「――終わった、みたいだな」


零が、荒くなった息を整えながら、そう呟いた。だが、その疲労は、以前の戦いに比べて、遥かに軽いものだった。


「零、また、成長したわね」


聖が、嬉しそうに、そう告げた。


「みんなの、おかげだ」


零は、静かに、頷いた。



その後、山を降りた零たちは、麓の村で、しばしの休息を取った後、大陸での旅を、一つの区切りとすることにした。


「――この大陸でも、本当に、色んなことがあったな」


零が、しみじみと、そう呟いた。


万里の長城、張家界、兵馬俑の陵墓、農村地帯、そして、この霊山。数々の戦いと、出会いを経て、零たちの絆は、これまで以上に、確かなものへと、育ってきていた。


「次は、どこへ向かうんだべ?」


熊谷の問いに、聖が、地図を広げながら答えた。


「西の彼方に、インドという、広大な国があるみたい。聖なる河や、天まで届くような、高い山々があるそうよ」


零は、遠くに霞む、これまで旅してきた大陸の景色を、静かに見つめた。


(次は、どんな出会いと、試練が、待っているんだろうな)


新たな旅路への期待と、確かな決意を胸に、零たちは、次なる大陸を目指し、その一歩を、踏み出していくのだった。


――第四章「中国編」、完。


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