第七十五話「呪いを砕く力」
零たちの連携攻撃を受け、十二使徒は、次第に、追い詰められていった。
「――バ、馬鹿ナ……! 皇帝牙ナクシテ、コレホドノ……!」
十二使徒の焦りが、その声に、色濃く滲んでいた。
「お前を、倒すのは、俺たち自身の力だ」
零は、静かに、しかし確かな決意を込めて、そう告げた。
十二使徒は、なおも、黒い靄を大きく展開させ、最後の抵抗を試みた。
「――コレデ、終ワリニシテヤル!」
靄が、墓地全体を覆い尽くすように、広がっていく。だが、零たちは、もはや、その圧力に、怯むことはなかった。
「聖、皆に、最大の加護を!」
「わかった! 皆、力を貸して!」
聖の光が、これまでにない強さで、パーティー全体を包み込む。
零は、その加護を受けながら、渾身の力を、剣に込めた。
「――これで、終わりだ」
零の剣が、十二使徒の靄の中心――核と思われる部分を、深く、確かに貫いた。
「――ッ、グァァァァァ……!」
十二使徒の断末魔にも似た悲鳴が、墓地全体に、響き渡った。
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「――マサカ、コノ我ガ……」
十二使徒は、大きく体勢を崩しながら、信じられないという様子で、零を見つめた。
「――貴様、イツノ間ニ、コレホドノ、力ヲ……」
「一人一人と向き合って、少しずつ、積み重ねてきた。それだけだ」
零の答えに、十二使徒は、しばらく、黙り込んでいたが、やがて、静かに、しかし確かな敗北を認めるように、呟いた。
「――認メヨウ。貴様ハ、確カニ、成長シテイル」
「――ダガ、覚エテオケ。病神様ノ、真ノ計画ハ、コンナ場所デ、止マルモノデハナイ」
その言葉と共に、十二使徒は、黒い靄と共に、崩れるように、消えていった。
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戦いが終わった後、墓地には、静かな安堵が戻っていた。
「――終わった、のか」
零が、荒くなった息を整えながら、そう呟いた。
「零、やったわね……!」
聖が、嬉しそうに、駆け寄ってきた。
「今回は、皇帝牙さんの助けなしで、勝てた」
零の言葉に、夜が、静かに頷いた。
「あんたの成長、本物ね」
熊谷も、豪快に笑いながら、零の肩を叩いた。
「よくやったべ、零!」
花霞も、静かに微笑んだ。
「零殿の御力、また一段と、確かなものへと、成長なさいましたな」
零は、少し照れくさそうに笑いながら、自分の胸に、そっと手を当てた。
(体も、力も、確かに、育ってきてる)
これまでの旅で積み重ねてきた、様々な経験。その一つ一つが、確かに、零を、強くしてきていた。
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墓地の異変が去った後、街の人々は、深い感謝を、零たちに示した。
「――本当に、ありがとうございました……!」
墓地の管理を任されていたという、老人が、涙ながらに、頭を下げた。
「亡くなった方々の魂も、これで、安らかに、眠れることでしょう」
零は、静かに、頷いた。
「これからも、この街に、平穏が、続きますように」
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その夜、宿へと戻った零たちは、静かに、これまでの旅を、改めて振り返っていた。
「病神の、真の計画……。皇帝牙さんが言ってた、各地の、強い想いが宿る場所を、狙ってるっていう話」
零が、静かに切り出すと、聖が、真剣な表情で頷いた。
「これまで、私たちが見てきた場所も、全部、そうだったわね」
「万里の長城、空中庭園、兵馬俑の陵墓、そして、この墓地」
夜が、指を折りながら、確認するように続けた。
「どこも、多くの人々の、強い想いや、歴史が、刻まれた場所」
零は、静かに頷いた。
「病神は、そういう場所の力を、集めて、何か、より大きなものを、目覚めさせようとしている」
その仮説の重みに、一同は、改めて、緊張を強めた。
「――だとしたら、この大陸にも、まだ、他に、狙われる可能性のある場所が、あるかもしれない」
零の言葉に、聖が、地図を広げながら、頷いた。
「調べてみましょう。この大陸に、他に、どんな、歴史的に重要な場所があるか」
見知らぬ大陸での旅は、十二使徒への確かな勝利と、病神の計画の、さらなる輪郭を掴みながら、次なる局面へと、その歩みを進めていくのだった。




