表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病魔喰らい ~世界最弱の病人は、世界を旅して神を超える~  作者: 伝説の男前
第一部 第一章「絶望編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
72/122

第七十二話「崩れゆく大地」

十二使徒の圧倒的な実力の前に、零たちのパーティーは、次第に、追い詰められていった。


「――ッ、くっ……!」


零は、脇腹の痛みを堪えながら、なんとか剣を構え直した。


「零、無理しないで!」


聖の声に、零は、首を振った。


「ここで、退くわけには、いかない」


十二使徒は、静かに、しかし確かな余裕を持って、零たちを見据えていた。


「――貴様ラノ実力、既ニ、見極メタ。コレ以上ノ、抵抗ハ、無意味」


その言葉と共に、十二使徒は、これまでにない規模の靄を、周囲一帯に、展開させ始めた。


「――なんだ、この量……!」


夜が、驚愕の声を上げる。黒い靄が、まるで、大地そのものを覆い尽くすかのように、広がっていく。


「みんな、離れろ!」


零の警告と共に、靄が、地面を、大きく抉り取るように、攻撃を仕掛けてきた。


「――ッ!」


熊谷が、大盾で、なんとかその一撃を受け止めるが、衝撃で、大きく後方へと弾き飛ばされた。


「熊谷!」


「――だ、大丈夫だべ……!」


熊谷は、なんとか立ち上がったものの、その顔には、明らかな疲労の色が滲んでいた。



戦況は、次第に、悪化の一途を辿っていた。


「――このままじゃ、全滅する」


夜が、焦燥感を滲ませながら、そう呟いた。


零は、拳を握りしめた。


(何か、突破口を、見つけないと)


これまでの戦いで培ってきた、様々な経験。だが、目の前の十二使徒は、それら全てを、上回る実力を持っていた。


「――どうすればいい……」


零の脳裏に、これまでの旅で出会ってきた、多くの人々の顔が、浮かんでは消えていった。


トビアス、白川郷の村人たち、藤原家の少女、境村の人々、そして――今、この農村地帯で、救われた人々。


(みんなのために――)


零は、静かに、しかし確かに、自分の内なる力に、意識を集中させた。


「――俺は、まだ、諦めない」


その言葉と共に、零の胸の奥で、これまでにない強さで、あの熱が、燃え上がろうとした。


だが。


「――甘イ」


十二使徒が、冷静に、零の隙を突いた。


「――ッ、ぐああっ!」


零は、鋭い一撃を受け、地面に叩きつけられた。


「零!」


聖の悲鳴が、辺りに響き渡る。


零は、朦朧とする意識の中、それでも、なんとか立ち上がろうとした。だが、体は、思うように、動いてくれなかった。


「――マダ、立ツカ」


十二使徒が、静かに、しかし冷酷に、零を見下ろした。


「――終ワリニシヨウ」


その言葉と共に、十二使徒が、最後の一撃を放とうとした、その瞬間。


「――そこまでだ」


低く、鋭い声が、戦場に響き渡った。


零が、朦朧とする意識の中、その声の方向を見ると、そこには、見覚えのある、赤い髪の青年――皇帝牙の姿があった。


「皇帝、牙……さん……」


零の呟きに、皇帝牙は、静かに頷きながら、剣を構えた。


「零、お前が倒れるには、まだ早い」


その言葉と共に、皇帝牙は、十二使徒へと、迷いのない一撃を、放っていくのだった。


見知らぬ大陸の、崩れゆく大地の上で、零たちの命運は、皇帝牙という、心強い協力者の登場によって、新たな局面へと、その舞台を移していくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ