第百十七話「四天王・第四の刺客」
星読みの神殿での戦いを終えた零たちは、書庫に残されていた記録を、さらに詳しく調べることにした。
「――『生命波動』について、他にも、何か、記録は、ないですか」
零が、神官に、尋ねると、神官は、静かに、頷いた。
「――古い、伝承の、断片が、いくつか、残っております。ですが、その、多くは、既に、失われて、しまいました」
その、答えに、零は、僅かな、落胆を、覚えた。だが、同時に、確かな、手応えも、感じていた。
(この世界のどこかに、まだ、答えに、繋がる、手がかりが、あるはずだ)
⸻
その日の、午後、零たちが、神殿の、周辺を、調査していると、突如として、地面が、大きく、揺れ始めた。
「――ッ、また、地震か!?」
熊谷が、慌てて、周囲を、見回した。
だが、それは、これまでの、旅で、幾度となく、経験してきた、あの、異変の、前兆だった。
地面の、亀裂から、これまでの、旅で、対峙してきた、四天王とは、また、異なる、しかし、同じく、禍々しい、気配を纏った者が、姿を、現した。
「――我ハ、四天王ガ最後ノ一柱」
その、宣告に、零たちは、緊張を、強めた。
「――コノ神殿ノ、星ノ、記録――ソレヲ、我ラガ主ノ、糧トスル」
「――させない」
零は、剣を、構えた。
⸻
戦いが、始まると、この、最後の四天王は、これまで対峙してきた、どの四天王よりも、洗練された、そして、圧倒的な、力を、見せつけてきた。
「――ッ、これは……!」
零は、その、猛攻に、思わず、後退した。
「熊谷、前へ!」
「おうよ!」
熊谷の、盾が、正面からの、猛攻を、なんとか、受け止める。だが、その、衝撃は、これまでにない、重さを、持っていた。
「――くっ……! この、力……!」
花霞と、夜が、それぞれ、側面から、攻撃を、仕掛けるが、四天王は、それすらも、涼しい顔で、対応していった。
エルナも、必死に、自分の、力を、展開させ、四天王の、動きを、僅かに、封じ込めようと、試みた。
「――ッ、この、力……!」
四天王が、僅かに、動揺を、見せた。
「――エルナ、今のうちに!」
零の、合図に、エルナは、静かに、頷いた。
⸻
零は、体の、奥の、あの、熱を、これまで以上に、強く、引き出した。
「――俺たちは、この世界の、真実に、辿り着くために、ここで、負けるわけには、いかない」
その、言葉と共に、零の、周囲に、確かな、光が、揺らめき始めた。
「――ッ、コノ光ハ……!」
四天王が、明らかな、動揺を、見せた。
零、聖、夜、熊谷、花霞、エルナ――六人の、確かな、連携によって、四天王は、次第に、追い詰められていった。
「――バ、馬鹿ナ……! コレホドノ、連携ヲ……!」
四天王は、大きく、体勢を、崩しながら、後退した。
⸻
「――今日ハ、コレマデダ。ジャガ、覚エテオケ。四天王ハ、コレデ、全滅シタトデモ、思ウナヨ」
その、言葉を、最後に、四天王は、黒い、靄と共に、姿を、消していった。
戦いが、終わった後、零は、静かに、荒くなった、息を、整えていた。
「――四天王、また、新しいのが、現れるのか」
零の、呟きに、夜が、静かに、頷いた。
「これまでの、パターンだと、そう考えるのが、自然でしょうね」
その、事実の、重みに、一同は、改めて、緊張を、強めた。
「――でも」
零は、静かに、しかし、確かな、声で、続けた。
「何度、現れようと、俺たちは、その度に、必ず、乗り越える」
その、確かな、決意に、仲間たちは、それぞれ、力強く、頷いた。
見知らぬ、砂漠の国の、星読みの、神殿で、零たちの、旅は、さらなる、試練と、真実への、手がかりを、抱えながら、次なる局面へと、進んでいくのだった。




