第百十三話「灰堂玄斎の余命」
灰堂からの、手紙を、受け取ってから、数日、零は、これまで以上に、静かな、決意を、胸に、旅を、続けていた。
「――零、あまり、無理は、しないでね」
聖が、心配そうに、そう、声を、かけた。
「大丈夫だ。むしろ、灰堂さんの、言葉が、俺を、後押ししてくれてる気がする」
零は、静かに、そう、答えた。
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その日の、夕方、野営の、焚き火を、囲みながら、零は、改めて、灰堂との、これまでの、思い出を、仲間たちに、語った。
「――灰堂さんとの、出会いは、レイヴンクロフトでの、庭仕事の、依頼だった」
零は、静かに、続けた。
「最初は、ただの、隠居した、老人だと、思ってた。でも、実は、とんでもなく、腕の立つ、元、剣士だったんだ」
「そう、なんですね」
エルナが、興味深そうに、耳を、傾けた。
「灰堂さんは、俺に、剣の、基本だけじゃなく、力との、向き合い方、そして、生きることへの、姿勢を、教えてくれた」
零の、言葉には、深い、感謝の念が、滲んでいた。
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「――エルナ、お前も、いつか、灰堂さんに、会えたら、いいな」
零の、言葉に、エルナは、静かに、頷いた。
「――ワタシモ、会ッテミタイ。零ヲ、育テタ、人ダカラ」
その、素朴な、願いに、零は、優しく、微笑んだ。
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「――でも、余命、一年か」
夜が、静かに、呟いた。
「あんた、今、何話目、なんだっけ」
その、問いに、零は、少し、考えてから、答えた。
「わからないな。でも、確かに、時間は、限られてる」
「灰堂さんに、会いに、行く、機会は、必ず、作ろう」
聖の、言葉に、零は、静かに、頷いた。
「ああ。でも、今は、目の前の、この国での、旅を、しっかりと、全うする」
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その夜、零は、一人、静かに、星空を、見上げながら、灰堂との、様々な、教えを、改めて、思い返していた。
(力とは、正しく使えば、誰かを守る、盾になる。じゃが、道を誤れば、己を滅ぼす、刃にもなり得る)
灰堂の、その、言葉を、零は、これまでの、旅の中で、幾度となく、胸に、刻んできた。
(灰堂さん、俺は、今、その、教えを、確かに、実践できてると、思います)
零は、静かに、そう、心の中で、灰堂に、語りかけた。
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翌朝、零たちは、次なる目的地――さらに、南方に位置する、この国の、古い、神殿へと、向かう、準備を、進めていた。
「――行こう、みんな」
零の、言葉に、聖、夜、熊谷、花霞、エルナが、それぞれ、力強く、頷いた。
灰堂への、想いを、胸に、抱きながら、零たちは、次なる、試練へと、その、確かな、足取りを、進めていくのだった。
見知らぬ、砂漠の国の、朝の光の中、零の、決意は、これまで以上に、深く、そして、確かなものへと、育まれていくのだった。




