第百十一話「ミイラとの死闘」
王家の谷での戦いを終えた零たちは、この国での、さらなる調査を、進めていた。
「――皇帝牙さんが、言ってた、病神の、真の計画。この国でも、まだ、その、全貌は、見えてこないな」
零の、言葉に、聖が、静かに、頷いた。
「これまで見てきた、各地の、異変――どれも、強い、想いが、宿る、場所を、狙ってる」
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そんな中、零たちは、王家の谷の、近くにある、別の、墓所で、新たな、異変の、報告を、受けることになった。
「――その墓所、既に、幾人もの、盗掘者が、命を、落としていると、聞いております」
案内役の、学者が、そう、説明した。
「盗掘者たちが……」
「ええ。噂では、墓の、守護者――呪われた、ミイラが、目を、覚ましたのではないかと」
その、話に、零たちは、緊張を、強めた。
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墓所の、内部に、足を、踏み入れると、そこには、これまでの、旅で、幾度となく、感じてきた、あの、重苦しい、気配が、色濃く、漂っていた。
「――この、気配……」
夜が、鋭く、指摘した。
「使徒の、ものね。それも、かなり、強い」
奥へと、進むと、包帯に、包まれた、巨大な、人型の、存在が、ゆっくりと、その、身を、起こしていた。
「――これは……」
聖が、思わず、息を、呑んだ。
そのミイラの、体からは、黒い、瘴気が、絶えず、噴き出していた。
「――穢レナキ者ノ、気配。コノ、守護者ヲ、操リ、貴様ラヲ、迎エ撃ツ」
聞き覚えのある、こもった、声と共に、使徒の、一体が、姿を、現した。
「――この、守護者を、道具のように、使うな」
零は、剣を、構えた。
「この、墓を、守ろうとした、意志を、こんな、形で、利用するなんて」
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戦いが、始まると、操られた、ミイラは、想像以上の、力を、発揮した。
「――重イ……!」
熊谷が、その、一撃を、受け止めながら、そう、呻いた。
「花霞、夜、側面から!」
零の、指示に、花霞と、夜が、それぞれ、素早く、動いた。
エルナも、静かに、自分の、力を、展開させ、ミイラの、動きを、僅かに、封じ込めていった。
「――エルナ、いいぞ!」
零の、激励に、エルナは、静かに、頷いた。
「――ワタシモ、皆ノ、力ニ、ナル」
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零は、体の、奥の、あの、熱を、静かに、引き出しながら、使徒本体へと、意識を、集中させた。
「――この、守護者を、解放する」
零の、剣が、使徒の、放つ、靄の、中心を、深く、貫いた。
「――ッ、グァァ……!」
使徒が、大きく、よろめくと同時に、ミイラを、操っていた、黒い、瘴気も、次第に、その、勢いを、失っていった。
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「――今日ハ、コレマデダ」
その、言葉を、最後に、使徒は、黒い、靄と共に、姿を、消していった。
解放された、ミイラは、静かに、その場に、崩れ落ち、元の、姿へと、戻っていった。
「――終わった、みたいだな」
零が、静かに、そう、呟いた。
学者たちが、駆けつけ、この、結果に、深い、感謝の、意を、示した。
「――本当に、ありがとうございます。これで、この、墓所も、また、安全に、なるでしょう」
零は、静かに、頷いた。
「この、墓の、守護者の、想いが、これからも、安らかに、眠れますように」
見知らぬ、砂漠の国の、古い墓所で、零たちは、また一つ、確かな、勝利を、収めていた。




