第百七話「ピラミッドの謎」
オアシスの村を発ってから、三日後、零たちは、ついに、その、圧倒的な、姿を、目にすることになった。
「――あれが……」
聖が、言葉を、失ったまま、遠くに、聳える、巨大な、三角錐の、建造物を、見つめていた。
「ピラミッド……。想像してた、以上の、大きさだべ」
熊谷も、その、スケールに、圧倒された、様子だった。
零もまた、その、荘厳な、姿に、深い、畏敬の念を、覚えていた。
(これを、人の手で、造り上げたのか)
砂漠の、只中に、そびえ立つ、その、建造物は、まるで、時を、超えて、この地を、見守り続けてきたかのような、確かな、存在感を、放っていた。
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ピラミッドの、麓に、辿り着くと、そこには、既に、幾人もの、学者や、調査隊が、集まっていた。だが、その、雰囲気は、明らかに、不穏なものだった。
「――また、倒れた者が、出たのか」
零たちが、近づくと、そんな、会話が、耳に、入ってきた。
「零、様子を、見に行きましょう」
聖の、言葉に、零は、静かに、頷いた。
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調査隊の、責任者らしき、初老の、学者に、事情を、尋ねると、彼は、疲れ切った、表情で、答えた。
「――このピラミッドの、内部を、調査していた、我々の、仲間が、次々と、原因不明の、病に、倒れているのです」
「症状は、どのようなものですか」
「高熱、意識の、混濁――そして、どんな、薬も、効かない。まるで、古代の、呪いが、目を、覚ましたかのように」
その、説明に、零たちは、これまでの、旅で、見てきた、様々な、光景を、思い返さずには、いられなかった。
「――この、ピラミッドの、内部を、調べさせて、いただけますか」
零の、申し出に、学者は、少し、驚いた、様子を、見せたが、やがて、静かに、頷いた。
「――正直、藁にも、縋りたい、思いです。どうか、お願いします」
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ピラミッドの、内部に、足を、踏み入れると、そこには、これまでの、旅で、幾度となく、見てきた、複雑な、構造の、通路が、続いていた。
「――随分と、入り組んだ、造りね」
聖の、言葉に、夜が、静かに、頷いた。
「盗掘者を、防ぐための、仕掛けなのかも、しれない」
奥へと、進むにつれ、周囲の、空気は、これまでの、旅で、幾度となく、感じてきた、あの、重苦しい、気配に、色濃く、染まっていった。
「――近いな」
零の、言葉に、一同は、緊張を、強めた。
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やがて、辿り着いた、王の間と、思しき、広い、空間に、これまでの、旅で、対峙してきた、使徒たちが、姿を、現した。
「――穢レナキ者ノ、気配。ヤハリ、貴様モ、コノ地ニ、辿リ着イタカ」
その、聞き覚えのある、こもった、声に、零は、剣を、構えた。
「この、ピラミッドで、何を、企んでいる」
零の、問いに、使徒たちは、静かに、答えた。
「――コノ地ニ眠ル、古代ノ王ノ、永遠ヲ、求メタ、想イ。ソレヲ、我ラガ主ノ、糧トスル」
その、言葉に、零は、拳を、握りしめた。
「永遠を、求めた、王の、想いを、そんな、形で、利用するな」
「――抗ウカ。ヨカロウ」
使徒たちが、黒い、靄を、纏わせながら、迫ってきた。
見知らぬ、砂漠の国の、古代の、王墓の中で、零たちの、新たな、戦いが、今、始まろうとしていた。




