表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病魔喰らい ~世界最弱の病人は、世界を旅して神を超える~  作者: 伝説の男前
第一部 第一章「絶望編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
102/125

第百二話「エルナを迎えて」

宿場町を発ってから、三日が過ぎた。


零たちは、次なる目的地――南方の、古くからの信仰の中心地を目指し、街道を、着実に、進んでいた。


「――なあ、聖。エルナのこと、また、考えてたんだが」


零が、道中、ふと、そう、切り出した。


「あの子、俺たちのこと、心配してた。病神が、追ってくるかもしれない、って」


「ええ、覚えてる」


聖が、静かに、頷いた。


「もし、本当に、病神が、エルナを、追って、俺たちの前に、現れたら――俺は、迷わず、エルナを、守るつもりだ」


零の、その、確かな決意に、聖は、静かに、微笑んだ。


「私も、同じ、気持ちよ」



その日の午後、街道の先に、見覚えのある、小さな影が、佇んでいるのが、見えた。


「――あれは……」


零が、目を、凝らすと、そこに立っていたのは、紛れもなく、あの、白い髪の少女――エルナだった。


「エルナ!」


零が、駆け寄ろうとすると、エルナは、僅かに、身を、強張らせた。


「――近ヅクナ」


その、警戒の言葉に、零は、足を、止めた。


「エルナ、どうしたんだ。何か、あったのか」


エルナは、しばらく、無言のまま、俯いていた。だが、やがて、震える声で、口を、開いた。


「――病神様ガ、ワタシノ、離反ヲ、察知シタ。コノママデハ、ワタシハ、消去、サレル」


その、告白に、零たちは、思わず、息を、呑んだ。


「消去、って……!」


聖が、悲鳴のような、声を、上げた。


「――ワタシハ、ドウナッテモ、良イ。ダガ」


エルナは、静かに、続けた。


「貴様タチニモ、危険ガ、及ブ。病神様ハ、必ズ、コノ場所ニ、刺客ヲ、送ル」



零は、静かに、しかし、確かな決意を込めて、エルナに、歩み寄った。


「エルナ、お前は、一人で、抱え込む必要は、ない」


「――デモ……」


「俺たちが、いる。一緒に、その脅威に、立ち向かえばいい」


零の言葉に、エルナは、大きく、目を、見開いた。


「――ワタシノ、ヨウナ、存在ヲ、守ル価値ガ、アルノカ」


「価値の、有無なんて、関係ない」


零は、静かに、しかし、確かな声で、答えた。


「お前が、自分の意思で、選んで、ここに、来てくれた。それだけで、俺にとっては、十分、大切な、理由なんだ」



その言葉に、エルナの、瞳から、再び、一筋の涙が、こぼれ落ちた。


「――ワタシ、選ンダノカ……。自分ノ、意思デ……」


「ああ、そうだ」


零は、優しく、頷いた。


聖も、静かに、エルナに、歩み寄った。


「エルナ、私たちと、一緒に、来ない? あなたの、居場所を、一緒に、探しましょう」


聖の、優しい申し出に、エルナは、しばらく、躊躇っていたが、やがて、小さく、頷いた。


「――ワタシ、行ク。貴様タチト、一緒ニ」


その、決意の言葉に、零たちは、それぞれ、温かい、笑顔を、浮かべた。


「ようこそ、エルナ」


熊谷が、豪快に、そう、告げた。


花霞も、静かに、微笑んだ。


「これからは、共に、旅を、いたしましょう」


夜も、僅かに、口元を、緩めながら、頷いた。


「歓迎するわ」



こうして、エルナは、正式に、零たちの、パーティーへと、加わることになった。


だが、その夜、野営の焚き火を、囲みながら、零は、静かに、これからの、不安についても、思いを、巡らせていた。


「――病神が、本当に、刺客を、送ってくるとしたら」


零の、呟きに、夜が、静かに、頷いた。


「覚悟は、しておいた方が、いいでしょうね」


エルナも、静かに、俯きながら、口を、開いた。


「――ワタシノセイデ、貴様タチニ、危険ヲ、及ボスコトニ、ナルカモシレナイ」


「気にするな」


零は、静かに、しかし、確かな声で、答えた。


「これまでだって、俺たちは、色んな危険と、向き合ってきた。今回も、同じだ。みんなで、乗り越える」


その言葉に、エルナは、静かに、頷いた。その、瞳には、これまで、見たことのない、確かな、希望の光が、宿り始めていた。


見知らぬ国の、静かな夜、零たちの、パーティーに、新たな仲間――エルナが、加わったことで、その、絆は、さらに、深く、そして、確かなものへと、育まれていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ