【第18話-24】─ 番外編:芸能界編二期
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【Scene28:閑話(補完)】
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「み組」の特設Webページで限定公開された、特別ディレクターズカット版。
地上波での本放送からどのように変わったのか。
どんな特典が付いたのかを語ろ。
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第一話特典
地上波放映時の第二話以降でオープニングとして使用された、アイドルコンサート映像。そのノンクレジット・ノーカット版である。
地上波の本放送では引きの画面や素早いカット割りのため、はっきりとは映っていなかったバックバンドの**「ドラマー」が、実は晴道本人であった**という衝撃のサプライズが仕込まれており、これに気づいたファンたちの間で再び大きな歓喜の渦が巻き起こった。
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第二話追加変更
本編よりも、さらに深く晴道の過去の経験について掘り下げられたシーン。
視聴者には知る由もないことだが、現実世界においては”千紗と優香”との間で起きた実際の経験を、ドラマ内では巧みに「由美子」相手のシチュエーションへと置き換えて再現されていた。
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このシーンの編集チェック時、監督とシナリオライターの間でこんな会話が交わされていた。
「……由美子のこのシーン、本編からはカットだな」
「そうっすね。ちょっと、由美子さんが魅力的すぎるっす」
画面の中の由美子が放つ存在感とヒロインとしての魅力があまりにも強すぎたのだ。
このまま放映してしまっては、彼女がのちの本格的なヒロインレース(恋争い)に参戦してこないことに、物語上の無理が生じてしまう。
二人は作品全体のバランスを考慮し、断腸の思いでこのシーンをカットしたのだった。
それがディレクターカット版では本編に組み込まれたのである。
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第三話特典映像
地上波でも流れた、花音と晴道の初々しいデートシーン。
その裏側で、二人を影から健気に見守る千晴の姿を描いた未公開カットである。
二人のために映画のチケットを事前に準備してあげたり、花音が手作りするお弁当の準備を陰ながら手伝ったりする、千晴のどこまでも切ないシーンが収められていた。
「千晴のこのシーンも、本編からはカットだ」
「そうっすね。ちょっと千晴さんの想いが、画面から溢れすぎています」
「ああ。これを三話で見せてしまうと、第四話で起きる『千晴の変化』に対する視聴者の驚きが薄れてしまうからな」
あえて情報を引き算することで、次の回のカタルシスを最大化する――。
そんなクリエイターたちの計算により一度は削られたフィルムだった。
Webサイト上では、**『※第四話を見終わった後にご視聴ください』**という註釈が付けられた上で、特別な特典映像として公開された。
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第四話ディレクターカット版変更部分
物語冒頭に描かれる、晴道と由美子との会話シーン。
地上波の本放送においては、単純な導入シーンに過ぎなかったこの場面に、ディレクターズカット版では大きな変更が加えられた。
監督は、このシーンを”その後、作中に由美子が登場しなくなる理由”を明確に説明するための重要な場面へと昇華させたのである。
わざわざ空港でのロケを敢行し、再撮影されたシーンの全貌はこうだ。
「やあ由美子、久しぶりだね。――俺はね、ようやく自分のことを許すことができたよ。だから今、俺には好きな人がいるんだ。周りにはまだ隠しているけれど、本当は付き合っている人がいるんだよ。だから、もう心配しないで、イタリアのチームで精一杯頑張って欲しい」
真っ直ぐに告げる晴道に対し、由美子は彼に背を向けたまま、静かに声を返す。
「そっか。……それなら、安心だね」
その瞬間、カメラは由美子の姿を下からゆっくりとパンで捉え、彼女の「口元」でピたりと動きを止める。
彼女は泣いているのか、それとも強がって笑っているのか――。
あえてその表情のすべてを映さず、解釈を視聴者の想像力に委ねるという、極めて映画的な演出でシーンは締めくくられていた。
そして、この由美子と別れる時の、どこか吹っ切れて前を向いている晴道の様子が、のちに描かれる「花音と別れる時の晴道の様子」と見事なまでに対象的なトーンとなる。
過去を精算して毅然と別れを告げられた由美子の時とは違い、花音との別れがどれほど晴道の心を引き裂き、彼にとって凄まじいショックであったのかが、この対比によって視聴者へより強く印象付けられる形となったのである。
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第五話追加変更部分と特典映像
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地上波の本放送においては、千秋と千鶴が晴道に対して徐々に惹かれていく様子が丁寧に描き出された第五話。
しかし、一話分の放映枠ではどうしても時間が足りず、やむなくカットされたシーンが今回のディレクターズカット版で大幅に追加変更されることとなった。
その目玉として追加されたのが、千姫の三人、そして千晴が晴道と一緒にプールへと繰り出す、ファン垂涎の特大特典映像である。
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「晴道お兄ちゃん、この水着どうかな?」
真っ先に千紗が披露したのは、ピンクのフリフリビキニだった。
実年齢二十三歳という事実を一切感じさせない、その見事なロリ巨乳ぶりは実に眼福の一言に尽きる。
「べ、別にあなたに魅せるために着てきたんじゃないんだからね! たまたまよ、たまたま持っていたのを適当に着ただけなんだから!」
露出度の高い黒のビキニに身を包み、見事なまでのツンデレの「ツン」を披露する千秋。
それが彼女の演技によるものなのか、それとも本心からの言葉なのかはさておき、画面を見つめる視聴者たちは、画面に字幕など出ていないにもかかわらず、そのセリフの裏にある意図が『見せる』ではなく『魅せる』であると確信していた。
「お兄ちゃん……大きいことだけが正義じゃない、よね?」
どこか涙目で健気に訴えかける千鶴は、可愛らしいデザインのワンピース水着を選択していた。
「……だよね、千晴さん!?」
そう言って無理やり巻き込まれた千晴がまとっていたのも、見事なまでの曲線美を強調するワンピース水着だった。
実は、ワンピースという水着はビキニよりもかえって誤魔化しが利かず、誤魔化せないからこそ千晴の完璧なプロポーションが残酷なまでに際立ってしまう。
その事実に気づいてしまった千鶴は、さらに涙目を深めるのだった。
この千鶴の姿が、演技による演出なのか、それともただの素のリアクションなのかは判然としない。
しかし、その愛らしい姿が全国のファンの庇護欲を激しく刺激し、数多くの「担当替え(推し変)」を続出させ、結果としてウェディング写真集の予約数をさらに跳ね上げたのは紛れもない事実であった。
こうして、真夏の太陽の下で一日中たっぷりとプールを満喫する五人の姿が、画面いっぱいに描かれていく。
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「監督、これを地上波の尺に入れられなかったのは本当に残念っすね」
「仕方がないさ、こんなもの幾ら時間があったって足りやしない。だが、こうしてWeb特別公開用として尺を一切気にせずに作れたのは、むしろ幸いだったよ」
そんな編集室でのやり取りがあった通り、クリエイター陣がこだわりを詰め込んだ渾身の水着映像は、まさかのたっぷり一時間を超える大ボリュームとなっていた。
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そして、追加映像の最後――。
先ほどまでプールで大はしゃぎしていた水着姿のままの三人が、カメラに向かって特別なインフォメーションを流し始めた。
「なんと、この特別編のカットを元にした、私たち三人合同のスペシャル写真集が発売されます!」
「発売時期は、来年の年明け! お年玉企画としてのリリースです!」
「一般の店頭販売バージョンと――」
「み組のWeb限定バージョンでは――」
「「「収録されている内容のほとんどが、それぞれ別カットとなりますよ!」」」
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「な、なんだってーーーー!?」
二種展開というオタクの財布を完全に仕留めにくる容赦のない波状攻撃に、ネット上には狂喜乱舞と、嬉しすぎる悲鳴が文字通り溢れかえるのだった。
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第六話・第七話・第八話特典
第六話から第八話にかけての特典映像は、それぞれの回のエンディングを美しく飾ったキャラクターソングの「ノンテロップ・ロングバージョン(MV仕様)」であった。本放送では見られなかったアングルやカットが贅沢に使用されており、ファンの間で音楽配信のランキングを席巻する大きな原動力となった。
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第九話に関しては、唯一、追加の変更シーンも特典映像の収録も存在しなかった。
それは、制作陣一同による』この第九話は、これ以上何も足すことも引くこともできない完璧な完成形である”という、クリエイターとしての最高峰のプライドと、作品への最大の賛辞(誉れ)の現れであったのかもしれない。
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第十話追加変更部分
第十話における最大の変更点は、晴道たちが病床の葉月を見舞ったあのシーンである。
地上波の本放送では、あえて直接的な説明の台詞を省き、葉月がその表情と佇まいの演技だけで「その土地に縛られて生きる、葉月と花音の切ない運命」を視聴者に感じ取らせる構成になっていた。
しかし今回の特別版(ディレクターズカット版)では、当時、別案として撮影されていた「葉月の静かな独白」が音声として追加収録された。
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「ふふ、今の二人の顔を見たら、誰にだって分かるわよ。……何も言わなくても良いのよ?」
「いいえ、俺はちゃんと言わないといけないんです。俺は今、千晴さんとお付き合いしています。それを、花音へ伝えにきました」
晴道の決意に満ちた言葉を受け、葉月はゆっくりと、穏やかな視線を窓の外の景色へと向ける。
そして――画面には、葉月自身による静かなナレーションが流れ始める。
『私が、そして娘の花音が生まれ育った地。
私はそう遠くない日に、あの地で静かに土に還るだろう。
そして……それは、遠い未来に花音も同じ。
産まれた地、傷つき、癒やされ、そして決して離れられぬ地。
それが、この土地の歴史に縛られた、私たちの変えられぬ運命――』
ナレーションが明けると、葉月は再び晴道へと顔を向けた。とても病床の身とは思えないほど、凛とした力強い言葉で彼に告げる。
「花音のこと、これからは友人として支えてあげてね。美由と由美も側にいてくれるけれど、あの子、意外と寂しがり屋だから」
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この「葉月の独白」の追加は、特に海外からのアクセス視聴者に対して凄まじい効果を発揮することとなった。
英語吹き替え版での彼女の放つ、ネイティブと遜色のないあまりにも美しい英語の台詞は、日本の独特な風土や歴史文化に馴染みのない海外のファンたちの心へもダイレクトに突き刺さり、国境を越えて世界中で大号泣の嵐を巻き起こしたのである。
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その後「み組」の傘下にある旅行会社が、世界各国からの「霞の宿」をはじめとする聖地巡礼ツアーを一斉に発表し、莫大なインバウンド需要を作ったのは、
あえて言うまでもない野暮な話であろう。
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第十一話 追加部分シーン
「母さん、ただいま」
晴道が久しぶりに実家のマンションへと戻ってきた。
「あら晴道、おかえりなさい」
笑顔で出迎えたのは、晴道の実母・沙織(もちろん本人出演)である。
バックのリビングのソファには、同じく本人である父・洋介の姿も映り込んでいるが、彼に台詞は一切ない。
※ちなみに、このシーンは実家ではなくスタジオセットを組んで撮影されている。
晴道のすぐ後ろには、緊張した面持ちの千晴が控えていた。
最初に言葉を切り出したのは、母の沙織だった。
「お久しぶりですね、千晴さん。この前お会いした時は花音さんも一緒だったから、あまりきちんと落ち着いてお話しできなかったものね」
花音の名を出され、千晴は少しばかり気後れしたものの、すぐに気を取り直して頭を下げた。
「はい、ご無沙汰しております。本日は突然お邪魔してしまい、本当に申し訳ございません。私も、沙織さんとは一度ゆっくりお話ししたいと思っておりました」
殊勝に挨拶する千晴に対し、沙織はどこか意地悪で、それでいて温かい笑みを浮かべて返事をする。
「あら、沙織さんなんてそんな他人行儀な呼び方はやめて、これからは“お義母さん”って呼んでくださいな」
「「えっ!?」」
晴道と千晴の声が、綺麗にぴったりと重なった。
驚いた千晴が『もう話してたの?』と晴道に視線を送るが、晴道も『俺はまだ何も話してない』とばかりにパタパタと首を振る。
そして、慌てて言葉を続けた。
「あの、母さん。電話でも少し話したことだけど、父さんと一緒にちゃんと聞いて欲しい話があるんだ……」
「そうね。千晴さんとの結婚のことでしょ? オッケーよ」
「「えっ……!?」」
二人の声が、再び見事なシンクロを見せる。
「ほら、息もぴったりじゃない。わたしね、晴道から花音さんと付き合っているって聞かされていたこの五年間、実はずっと『千晴さんの方がお似合いなのに』って思っていたのよ。まあ、花音さんの手前、口には出せなかったけれどね」
あまりの物分かりの良さに、晴道は呆然としながら問いかける。
「……なんで結婚のこと、分かったんだよ?」
実の息子からそう問われ、沙織は『何を当然のことを』と言わんばかりの顔で答えた。
「だって、いい年齢の息子がこんな風に改まって女性を実家に連れてくるなんて、それ以外に何があるっていうのよ?」
画面の向こうで放たれたその完璧すぎる正論に、ネット上の視聴者からは**『そりゃそうだろ!!!』**という激しい総ツッコミが巻き起こったという。
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このシーンを編集室で監督がチェックしている時のことだった。
「おい、あの母親役の人、一体何者だ? とても素人の演技じゃないぞ……」
監督は、画面の中の沙織があまりにも自然に「実母の空気感」を醸し出していることに、驚きを隠せない様子で声を上げた。
「分かります。俺、これがスタジオセットだってことを完全に忘れて、本物の家族のプライベートな会話を覗き見しているような気分になりましたよ」
隣で一緒に画面を見つめていたカメラマンも、感嘆したように深く頷きながら呟く。
「えっ、監督知らないっすか? ――み組が新しく立ち上げた、あの出版社の代表取締役社長ですよ」
そこに、後ろからシナリオライターがひょっこりと口を挟んできた。それを聞いた監督は、すかさず引き攣った顔で怒鳴り返した。
「何度も打ち合わせで顔を合わせてんだから、知らないわけがないだろう! だからこそ言ってるんだ、なんだよあの恐ろしい演技力は。
出版社の社長だぞ!? ……っていうか、待て。
なんだよ、何度目だこの会話!?」
既視感の強すぎるやり取りに監督が思わずセルフツッコミを入れると、ライターは不敵に肩をすくめた。
「すまんっす、冗談っす。……でも、これマジな話なんですけど、彼女、晴道くんの母親も一ノ瀬一族に連なる人らしいですよ。つまりは、晴道くんの血筋も――」
「それで、あの圧倒的な勘の良さと、あの演技力か……」
「――信じるか信じないかは、あなた次第です」
シナリオライターは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべてまたしてもあの決め台詞を呟いた。
「またそのネタかよ! ……あぁ、クソ。そんな裏の事情なんて、あの画面に映った演技が素晴らしかったという事実には、何の関係も無いよな」
監督はそう自嘲気味に呟いて自分を納得させると、再び目の前の素晴らしいフィルムのチェックへと戻るのだった。
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ちなみにこの実家挨拶のシーン、当初の予定では、第十話の”霞の宿で花音と対面するシーン”の直後に放映されるはずであった。
しかし、現場で起きたあの“奇跡の風”が晴道と千晴の決定的な言葉をかき消したことにより、ドラマ本編における二人の結婚は、あえて視聴者に結末を委ねる「思わせぶりな演出(余白)」として処理されることになった。そのため、実家で完全に「結婚オッケーよ」と確定させてしまうこのシーンは、全体の情緒を壊さぬよう地上波ではお蔵入り(カット)となったのである。本編では、台詞なしの回想として僅かに数秒流れたに過ぎなかった。
それを、映像の出来栄えに惚れ込んだ監督たっての希望により、今回こうして最終話の特大オマケ(未公開シーン)として、Webサイト上で日の目を浴びることとなったのである。
次回予告
「次回最終話、こんな形の幸せ」
最後に香織が語る真実とは!?
「それなら、もう仕方ががないじゃない。」




