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三人のヒロインとシェアハウスすることになった僕は、全員を本気で愛して呪われてしまった。 ――告白は観覧車のてっぺんで  作者: iron-bow
【第18話】─ 番外編:芸能界編二期

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【第18話-22】─ 番外編:芸能界編二期


【Scene26:閑話(仕組み)】



全国店頭一斉販売。

そんな厳しい条件の中、なぜ一件のフライング販売も、事前の情報漏洩も起きなかったのか。

そこには、徹底された「仕組み」があった。


ドラマの公式発表を遡ること少し前。

全国の書店やCDショップに、一通の書面が届いた。

チェーン店には本部経由で、独立店舗には「み組」から直接、厳封で。

届いたのは、以下のような冷徹かつ魅力的な通知書だった。


> ### 新規レーベル発足およびタイアップ商品お取引に関するご案内

> 拝啓

> 貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

> この度、み組株式会社は、弊社傘下の出版社において新規レーベルを立ち上げる運びとなりました。これに伴い、近々発表予定の**「新作ドラマ(シェアハウスシリーズ)」との大型タイアップ商品**を発売いたします。

> つきましては、本商品の取扱および新規取引をご希望される場合は、○月○日までに弊社担当窓口へご連絡をいただけますようお願い申し上げます。

> 敬具

> **【特別追加条項(一部抜粋)】**

> 本商品のうち、「事前ネット注文・代金事前回収」対象の商品を希望される場合は、以下の特殊条件への同意を必須といたします。

> 1. **顧客からの事前注文受付および代金回収業務は、すべて「み組」が執り行う。**

> 2. **店舗への利益(手数料)の支払いは、発売日以降、お客様への引き渡しが完了した実績分のみを事後精算とする。**

> 3. **対象商品の店舗への納品は、発売日直前(前日〜当日早朝)とする。**

> 4. **万が一、事前販売(フライング行為)や情報漏洩が発覚した場合、当該店舗(および同一チェーン全店)への事前回収代金の支払いは一切行わない(違約金として没収とする)。**


「こんな条件、法的に許されるのか?」

疑問や不満を抱く企業はもちろんあった。

しかし、NOを突きつける者はどこにもいなかった。

提示された見込み総出版数が、あまりにも莫大だったからである。

しかも、店舗側に配分される利益の割合マージンは、業界の常識を遥かに超える破格の条件だった。

店側は、届いた商品をただ右から左へ客に渡すだけで、巨額の利益を手にできる。

リスクを冒してフライングするメリットなど皆無。

乗らない理由は、どこにもなかった。



発売日の前日、商品は各店舗に届いた。

(フライング販売なんて大それた真似はしないけれど、事前に内容のチェックくらいはさせてもらっても罰は当たらないよな)

そんな邪な考えを抱く店員は、全国にそれなりにいた。しかし、納品された荷物の姿を見た瞬間、彼らは一様に驚愕することになる。

各店に届けられたのは、デジタルタイマー式らしき厳重な錠前でロックされた、巨大なジュラルミンケースだったのである。

さらに、ケースには故障などの緊急予備用と思われる、十個のプッシュボタンが付いた機械式錠前も備え付けられていた。

十ボタンであれば、二の十乗――すなわち千二十四通りを力技で試すだけで、理論上は開けることができる。

しかし、相手はあの用意周到な「み組」だ。もしもタイマーの刻限前に不正に開けようものなら、ケースからどんな警報や通報システムが発信されるか分かったものではない。

そんな破滅的なリスクを犯してまで、中身を覗こうとする者など誰一人としていなかった。



やがて運命の発売日、午前〇時〇〇分――。

電子音が鳴り響き、すべてのケースの鍵が一斉に解錠された。

蓋を開けると、中には事前予約数分の写真集(予備分含む)と、そして――つい先ほどテレビの生放送で発表されたばかりであるはずの、『千晴の写真集』が店舗の規模に見合った冊数だけ、ぎっしりと詰め込まれていた。


同梱されていた通知書によると、この千晴バージョンの写真集は、希望して受け取った冊数分の原価が、他の写真集の売上分配金から自動的に差し引かれる仕組みになっているらしい。

必要のない分は、このジュラルミンケースと一緒にそのまま送り返せばいい、ということだ。

しかし、ほとんどすべての店舗が、届けられた全冊数の受け取りを即座に希望した。

間違いなく、瞬く間に売り切れると確信したからだ。

何故なら、緊急発売された千晴の写真集の帯には、こんな文言が鮮烈に刷り込まれていたのである。


『晴道と千晴の結婚のご祝儀に、この一冊を購入しませんか?』


もともと深夜営業を行っている店舗や、あるいはこの日のためだけに臨時で深夜営業を敢行した全国の書店で、ドラマの結末とリアルな入籍の衝撃に狂喜乱舞するファンたちを巻き込んだ、凄まじいお祭り騒ぎが幕を開けるのだった。


次回予告

「結婚式の真実」


制作段階から徹底して『本名』と『本人出演』にこだわり続けた、驚愕の理由とは!?


「はい、カット! ――オッケーです!!」

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