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三人のヒロインとシェアハウスすることになった僕は、全員を本気で愛して呪われてしまった。 ――告白は観覧車のてっぺんで  作者: iron-bow
【第18話】─ 番外編:芸能界編二期

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【第18話-20】─ 番外編:芸能界編二期


【Scene23:閑話(騒動)】



第十話の放送が終了した瞬間、テレビの前の視聴者たちは一斉にパニックに陥った。


「えっ……次回が、もう最終回!?」

「嘘だろ、ここで終わりかよ……!」


しかも、胸を締め付けられるような切ないエンディングの直後、いつもなら流れるはずの「次回予告」が一切無かったのだ。

画面が暗転したまま、重い静黙がリビングを支配する。

どうなるんだ、これ――。

来週が待ち遠しい、いや、とてもじゃないが待てない。一体どうすればいいんだ。

視聴者たちは呆然と自失したまま、祈るような気持ちでCM枠が明けるのを待った。


やがてCMが終わり、画面にインフォメーションが流れ始める。

そこに映し出されたのは、美しい仲居姿に身を包んだ美由と美久の二人だった。


「この物語も、次回でいよいよ最終話となります。

そこで、皆様に今までの物語をじっくり見返していただくべく――私ども「み組」の特設Webサイトにて、第一話から第十話までの無料一挙配信を行います!」

「会員登録不要で手軽に観られる”地上波放映バージョン”に加え、み組サイトオリジナルとして、未公開シーンをたっぷり追加した”特別ディレクターズカットバージョン”を多言語収録でご用意いたしました」

「しかも、しかもです! 英語吹き替え音声は、花音さんと葉月さんご本人による完全セルフ吹き替えとなっております。……あっ、本当にちょっとだけですが、私の英語吹き替えも入ってますよ? こちらの特別バージョンも無料ですが、ご視聴には会員登録が必須となりますのでご了承ください」

「なお、特別バージョンは最終話の放映終了後、有料配信へと移行する予定ですのでご注意ください。それでは皆様、また来週、画面の前でお会いいたしましょう」


そのアナウンスが流れた瞬間、ネット上は蜂の巣をつついたような大騒動となった。


「今すぐ会員登録してくる!」「本人の英語吹き替えとか贅沢すぎるだろ!」とアクセスが殺到し、あの巨大データセンターをフル稼働させたのだった。



しかし、これとはまったく別の場所でも、もう一つの大騒動が巻き起こっていた。

それは、葉月ファンのご年輩たちのコミュニティである。

リアルタイムでドラマを観ていなかった層にも瞬く間に情報が伝わり、み組のサイトを通じて第十話が爆発的に視聴された結果――。


「葉月女将が、死んでしまう……!」


劇中のあのあまりにもリアルな病状の描写に加え、現実の葉月が現在、女将の仕事を休職しているという事実が、ファンたちの不安に拍車をかけた。


「女将の容態は本当はどうなんだ!?」と、霞の宿には安否を気遣う問い合わせの電話が殺到し、宿のスタッフはその対応に完全に追われることとなった。


そして、その翌日。

事態を重く見た霞の宿の公式Webサイトに、一本の”お詫び動画”がアップされた。

画面に現れたのは、病床の姿とは打って変わって、至極健康そのもの――むしろ、以前より幾分かふっくらとして艶やかな表情を浮かべた、素顔の葉月本人だった。


「皆様、この度は多大なるご心配をおかけしてしまい、本当に申し訳ございません。

ドラマはあくまでフィクションであり、私はご覧の通り、いたって元気にしております。

現在、女将のお仕事を少しお休みさせていただいておりますのは……実は、私が三人目の子供を出産したためです」


穏やかに微笑む葉月の隣に花音が現れ、

その胸に抱いていた元気そうな赤子を手渡す。


「次女の晴音です、皆様の温かいお声がけに感謝しつつ、この場を借りてご報告とさせていただきます」


その動画が公開された次の日から、霞の宿の電話回線は一転して「お祝いの言葉」で埋め尽くされ、フロントは全国から届くお祝いの贈り物の対応に嬉しい悲鳴を上げることとなった。



それは十話が放送される少し前の話。


編集室ではクリエイターたちが未だにあのフィルムの余韻に浸っていた。


「監督……あのラストの“風”、やっぱり狙って起こした演出なんっすか?」


シナリオライターが尋ねると、監督はしみじみと首を振った。


「そんなわけないだろう。ただの偶然さ」

「だけど、二人の決定的な言葉をかき消した直後、落ち葉が一瞬だけ画面を覆ったのも完璧すぎるタイミングでしたよね」


カメラマンもカメラマンの視点から、その奇跡的なカットに感嘆の声を漏らす。

監督は少し申し訳なさそうに、ライターを振り返った。


「すまんな。せっかくお前が書いてくれたシナリオのセリフを、風のせいで変えてしまうことになって」


その謝罪を聞いたシナリオライターは、可笑しそうに首を傾げた。


「何を今更言ってるんっすか。

あいつらの現場でのアドリブのせいで、俺のシナリオ通りに終わったシーンなんて、今まで一体どれだけあったっすかね?」

「……ははは、確かにそうだな」


監督は満足そうに笑い、モニターの中で風に吹かれる晴道と千晴の姿を見つめた。


「こういう、時代を揺るがすとんでもない作品の現場にはな……時として、天の味方というか、本物の奇跡が起こるものなのさ」


そう語る彼らの顔には、最終回に向けて、最高傑作を作り上げているという絶対的な誇りが満ち溢れていた。


次回予告


「九十分スペシャルでついに幕を閉じる、激動の物語。」


すべてが終わったその瞬間、語られる真実とは!


「――そしてもう一つ、特別発表がございます」


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