表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人のヒロインとシェアハウスすることになった僕は、全員を本気で愛して呪われてしまった。 ――告白は観覧車のてっぺんで  作者: iron-bow
【第18話】─ 番外編:芸能界編二期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

207/215

【第18話-19】─ 番外編:芸能界編二期


【Scene22:霞の宿】



葉月とのあまりにも重い面会シーンの後、テレビ画面にはCMが流れたが、視聴者たちはどっと押し寄せた精神的な疲労感から、誰もが動けなくなっていた。


そしてCMが明け、庄蔵の車は『霞の宿』へと到着する。

玄関前で二人を出迎えたのは、美由と由美だった。


「千晴、晴道くん、よく来てくれましたね」

「葉月さんには、会ってきたのね?」

「ええ……あまり長くは話せなかったけれど」


千晴が悲痛な表情で答えた。


「花音は今、常連様の接客中なの。それが終わったら会ってあげて」


そう告げる美由の眼差しもまた、どこか哀しげに揺れていた。



やがて、接客を終えた花音が二人の元へとやってきた。


「晴道!!」


晴道の顔を見るなり、花音はいつもの明るい声を上げた。しかし、その直後、隣り合って立つ千晴と晴道の距離感に気づく。


「……少し、歩こっか」


花音はそれだけを言い残し、先頭を切って歩き出した。


「ねえ、千晴姉さん」


今まで、このドラマの中で花音が千晴のことをそう呼んだことは一度も無かった。

視聴者たちは、二人の関係性が今、決定的に変わったのだと瞬時に理解する。


「初めて会った時のこと、覚えてる?」

「もちろんよ。私が高校に入る年、あなたが父さんのところに来ていたでしょう」

「あの時ね、私は千晴姉さんが羨ましくて仕方がなかったの。自由で、眩しくて。

……家や土地の、運命に縛られる私と違って」

「私はね、花音が眩しくて仕方がなかったのよ。自分のやりたいことが明確にあって、その夢を叶えるためにアメリカへ留学までしてしまうあなたが」


歩みを進める二人の横で、晴道は静かに黙り込み、一切口を挟まない。


「今も羨ましい。――晴道の隣にいられる、千晴姉さんが羨ましくて、仕方ない」


いつしか、花音の瞳からは大粒の涙が溢れ、頬を伝い落ちていた。


「花音さん、ごめんなさい。……俺が、千晴を選んだんだ」


晴道が初めて、千晴のことを呼び捨てにした。


「ふふ、晴道は結局、最後まで一度も私を呼び捨てにしてくれなかったわね」

「花音……」


千晴が小さくその名を呟く。


「私ね、本当は分かっていたの。晴道の心の底の一番深い場所には、最初から千晴姉さんがいたってこと」

「花音さん……」

「それでも、私は晴道を五年間も独占した。そして、千晴姉さんのことも、ずっと『千晴』って呼び捨てにしたの」


花音は、そうやって自分の弱い心を、そして晴道との関係を必死に守っていたのだ――。

その切実な願いが、視聴者の胸に深く、はっきりと伝わってきた。


「花音さん、俺は千晴のことを愛してる」

「花音、私は晴道のことを愛してる」

「「だから・・・」」


その時、風が二人の言葉をかき消し、

風に舞った落ち葉が二人の姿を隠す。


「えっ、もう? 気が早いのね」


花音は最後、そう言っていつものように笑ってみせた。

けれど、その笑顔の裏で、彼女の心は激しく泣いている。

テレビを見つめる誰もが、そう確信していた。


エンディングを飾ったのは、花音が歌う新しいラブソングだった。


第三話のときのような、もの哀しい演歌ではない。

それは、まるで重い運命から解き放たれたかのような、王道のアイドル風の、美しく切ないラブソングであった。


次回予告

「仕掛けられた無料配信(罠)と、現場に舞い降りた本物の奇跡!」


監督の語る真実とは!?


「時として、天の味方というか、本物の奇跡が起こるものなのさ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ