【第18話-16】─ 番外編:芸能界編二期
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【Scene19:閑話(母)】
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第九話の終盤、高橋家のリビングで晴道たちと対峙した母・幸恵――。
劇中でその役を演じていたのは、他ならぬ千晴の実の母親である幸恵本人だった。
「おい、あの母親、一体何者だ? とても素人の演技じゃないぞ……」
編集室で録画データを確認していた監督が、驚愕を隠せない様子で声を上げた。
「もの凄い説得力でしたよね」
隣で一緒に画面を見つめていたカメラマンも、感嘆したように深く頷きながら呟く。
「あの人、高校、大学と演劇部の看板ヒロインだったそうっすよ」
そこに、後ろからシナリオライターがひょっこりと口を挟んできた。
「お前、よくそんなことまで知ってるな」
「俺、基本的には役者の個性を活かす“当て書き”が好きなんすよ。だから、よく知らない演者さんに出演して貰うときは、事前にじっくりインタビューしてから完成原稿をあげることにしてるんっす」
「そこまでやるのか。さすがだな、大したもんだ」
監督とカメラマンは、ライターの徹底したプロ根性に心から感心する。
しかし、ライターはどこか遠い目をして、揶揄うような苦笑いを浮かべた。
「いや、でもあの母親は本当にただ者じゃねえっすわ。インタビューのときも、こっちが聞く前に『当時の私はすっごい美少女だったから、ヒロインしかやったことないのよね』なんて堂々と言い切ったっすからね」
「ははは! まあ、あの千晴の母親だ。当時の美少女ぶりってのは、実際に画面を見れば想像に難くないな」
「とにかく、抜群に画面映えしてましたよ」
カメラマンもカメラマンの視点から、その存在感を大絶賛した。
「千晴はあの母親の血を引いているからこそ、あれだけの美貌と、ここ一番での恐ろしい演技力を持っているんだな……。これは是非、また別の機会にも役者として出演して貰いたいもんだよ」
モニターの中で凛と佇む幸恵の姿を見つめながら、監督はしみじみと、未来のキャスティングに思いを馳せるのだった。
次回予告
「会津若松で二人を待っていた、重い現実。」
テロップもセリフも排した圧倒的な演技が語る、霞の里の重き宿命とは――
「花音のこと、友人として支えてあげてね」




