【第18話-08】─ 番外編:芸能界編二期
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【Scene11:閑話(リアルの別れ)】
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撮影を終えた晴道と花音は、現場から晴道が実際に暮らしているシェアハウスへと移動していた。
実に四年ぶりとなる、自宅での二人きりの時間だった。
「花音さん、どうして大学を辞めてしまったんですか?」
晴道がそっと尋ねる。
ドラマの中だけでなく、現実の彼女もまた、本当に大学の籍を離れていたのだ。
「正確には退職じゃなくて休職ね。そうね、二年か三年もすれば戻れると思うわ」
「えっ? 霞の宿に戻るんじゃ……」
そのためのスケジュール調整があったからこそ、クランクイン初日にあの別れのシーンをすべて撮り終える必要があったのだ。
「実はね、私に弟か妹ができるの」
「えっ……それって、葉月さんが……!?」
「ふふ、それ以外に誰がいるっていうのよ」
花音はどこか誇らしげに、悪戯っぽく笑った。
「それは……本当におめでとうございます!」
「ありがとう。でもね、さすがに超高齢出産でしょう? 私たちとしては絶対に無理をさせたくないの。だから、無事に出産して子育てが一段落するまでは、私が実家に戻って女将代行を務めることにしたの。ブランクはあるけれど、由美も支えるって言ってくれたしね」
ここで、晴道の“頭に浮かんだ事が、つい口から滑り出てしまう悪い癖”が出た。
「なるほど。でも、葉月さんは確か今年で、ご――」
「晴道!!」
花音が氷のように鋭い声でそれを遮った。
「それ以上口にしたら、この世から消されるわよ」
花音の表情は、冗談抜きで真剣そのものだった。
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「ねえ――抱いてくれる?」
不意に、花音が切り出した。
それは、彼らが離れていた四年間という歳月を埋める、愛の言葉。
ただ一つだけの、尊い師弟愛を手放す代わりに手にする、未来への希望。
「はい、喜んで」
それを晴道が拒否するはずがなかった。
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二人が思う存分、深く、熱く愛を交わし合った後のこと。
「花音さん。やっぱり、寂しくなります……」
晴道は子供のように甘えて、花音の豊かな胸に顔を埋めた。
「ふふ、何言ってるの。いつだって会えるわよ?」
花音は、まるで「明日の天気は晴れね」とでも言うかのように、なんでもない調子で言った。
「え?」
顔を上げた晴道に、花音は平然と言い放つ。
「だって私、会津若松から東京までの新幹線定期券、もう作っちゃったもの」
「ええっ!?」
晴道は完全に絶句した。
「仕事が休みの日は、毎回でもこっちに来るわよ」
「……」
「なんなら、シェアハウスの週替わり夜の当番にも、入れて貰うつもりだから」
「花音さん……感動的な別れが、完全に台無しです……」
呆れ果てたように呟く晴道だったが――その言葉とは裏腹に、彼の表情は、隠しきれない喜びと幸福感でいっぱいに満ち溢れていた。
次回予告
「いつもの『支え』を覆す魂の叫び!」
前代未聞のノンストップ構成で幕を閉じた花音との別れ。
その直後に訪れた後半パート、失恋のどん底に沈む晴道の手を引いたのは、他ならぬ千晴だった!
「……まだ、駄目」




