【第18話-03】─ 番外編:芸能界編二期
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【Scene06:ゲスト】
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第二話が放送されると、視聴者は大いに驚くこととなった。
大人気女優の瑞月が「美月」の役名で(※ただし世界観として前作との直接的な関連性は無い設定だ)晴道の若い叔母役として、そしてバレーボール選手の由美子が晴道の幼なじみ役として、それぞれゲスト出演したのだ。
劇中、美月は晴道への私情としての想いを見事に隠して演技に徹してみせたが、対する由美子はあふれ出る想いを隠そうとはしなかった。
視聴者の中には、由美子が過去に受けたインタビュー記事を覚えている者も多く、誰もが確信したのだ。
あのとき彼女が語っていた「好きな人」とは、晴道のことだったのだ、と。
そして物語の中では、晴道の過去のトラウマが静かに紐解かれていく。
かつて些細なすれ違いから、自分が多くの大切な人々を傷つけてしまったこと。その結果、「自分なんかが、人を好きになってはいけないんだ」と思い込むようになってしまったこと――。
「ねえ、晴道。人はね、人を自由に愛して良いのよ」
若い叔母の無償の愛が、凍りついていた晴道の心を暖めていく。
「晴道、あなたが私を愛してくれたからこそ、私はここまで頑張れたの。あなたの愛は、本当にたくさんの人を救っているのよ」
幼なじみの言葉と熱い抱擁が、晴道の頑なな心を優しく解きほぐしていく。
それでもなお、晴道は自分自身の過去を許せずにいた。しかし、二人の自己犠牲をも辞さない献身的な愛に包まれることで、晴道の傷ついた心は確実に癒やされていった。画面越しに伝わるその深い愛に、視聴者たちは思わず目に涙を浮かべるのだった。
そして、物語は現代のシーンへと戻る。
「やあ由美子、久しぶりだね。――俺は、ようやく自分のことを許すことができたよ。だから今、俺には好きな人がいるんだ。周りには隠しているけれど、本当は付き合っている人がいるんだよ」
そんなあまりにも衝撃的な台詞を残して、第二話は幕を閉じたのだった。
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この世界線においては、由美子は晴道と未だ再会を果たしていないはずであった。
ならば、なぜ彼女がドラマにゲスト出演することになったのか――そこにはやはり、香織の暗躍が存在していた。
それは春先、ドラマの制作がまだ世間に発表されていなかった頃の話である。
香織は、由美子を呼び出していた。
「由美子ちゃん、久しぶりね」
「はい、香織の叔母さま。ご無沙汰しております」
由美子は小学校五年生の時からの晴道の幼馴染みだ。
当然、香織とも昔から顔を合わせたことがあった。
「活躍、いつも見ているわよ」
「いえ……晴道だってドラマなんかに出て、すごく活躍していますし。私なんか……」
そう言って、由美子の顔がふっと陰る。
「何言ってるのよ。大学に入ってすぐに、オリンピックにまで出場しておいて」
「……」
香織は、彼女のその暗い表情の理由をすぐに察し、言葉を掛け直した。
「ごめんなさい。……怪我をしたって、ニュースで聞いたわ」
香織も最近、スポーツニュースでその事実を知ったばかりだった。
「今年のオリンピックには、間に合いそうなの?」
「……代表入りは大丈夫です。でも、しばらく本格的な練習に入れないから、レギュラー争いは難しいかもです……」
その言葉を聞いて、香織はすべてを理解した。
(四年前のオリンピックは、まだレギュラーじゃなかった。彼女は、今年のオリンピックでレギュラー入りを果たせたら、その時は胸を張って晴道に逢いに行くつもりだったんだ――)
健気な彼女の想いを汲み取り、香織はある大きな決心をした。
「ねえ、由美子ちゃん。――晴道の治療を、受けてみない?」
「えっ? 晴道の治療って、何ですか……?」
「晴道はね、特別な『気』を操ることができるのよ」
香織は、花音との四年間にわたる付き合いの中で、すでに一ノ瀬のすべてを聞き出していた。
一族の歴史から、その特異な力の詳細に至るまで。
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そうして、由美子はついに晴道との再会を果たすこととなる。
場所は、あの馴染み深い高級ホテルの一室。
香織は事前に花音から、気の性質についてこう聞いていた。
『気の力は、本人のイメージに大きく左右されます。何度も気を使った場所、馴染みの深い場所の方が、気の力はより一層増します。』
だからこそ、香織はこの場所を選んだのだった。
「由美子、久しぶりだね。怪我をしたってニュースで聞いて、ずっと心配していたんだ」
部屋に現れた晴道のその優しい声音を聞いた瞬間、由美子の胸は激しく震えた。
「私ね、頑張っていたの……。もう少しだったの。あとちょっとで、オリンピックのレギュラーメンバーになれたのに……っ!」
顔を伏せた由美子の目から、大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。
「うん、由美子はすごく頑張っていたよ。由美子が載っている雑誌は、全部スクラップして残してある。テレビのインタビューだって、全部録画して残してあるんだから」
由美子はハッとして、勢いよく顔を上げた。
「香織姉さんから話は聞いたよ。――俺が、由美子を治す。気の力を使って、絶対にオリンピックに間に合わせてみせるから」
「晴道……っ」
こうして、晴道の気の力を用いた秘められたマッサージが始まった。
アスリートとして極限まで鍛え上げられた由美子の肉体は、常人よりも遥かに効率よく、晴道の純度の高い気を吸収していった。それは医学の常識を遥かに凌駕する速度で、傷ついた由美子の筋繊維を驚異的に癒していく。
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それから二週間、たった数回のマッサージを行った後のことだった。
「晴道! 凄いよ、ドクターがもう全体の練習に合流して良いって! こんなに早く完治するなんて、信じられない奇跡だって驚いてた!!」
由美子の顔は、とても晴れやかだった。
「良かった。……本当に、由美子を救えたんだね」
安堵した晴道の笑顔が、由美子には眩しくて仕方がなかった。
「あのね、治ったどころか、なんだか前よりも身体の奥から力が湧き上がってくる気がするの。瞬発力も、パワーそのものも……」
「ああ、気の力は肉体を内側から強化できるんだ」
「そんなことが……」
由美子は驚きに目を丸くする。
「ああ。それだけじゃないんだ。……気を通し合うと、身体の快感も何倍にも増すんだよ」
「えっ……? それって、どういう……」
言い終えるより早く、晴道は由美子の身体を強く抱きしめていた。
「ごめん、由美子。俺、もう我慢できそうにない」
晴道は治療に専念するため、これまでのマッサージ中、ずっと必死に理性を保ち続けていたのだ。
目の前で半裸になった由美子の瑞々しい肌に直接触れ、自分の理想そのものである極上のバストが目と鼻の先にあるというのに、ずっと我慢を強いられていたのだから。
「晴道……。私も、ずっと我慢してたの……っ」
それは由美子も全く同じ想いだった。四年もの間、ただ一人の男を想い続けてきた情熱が、気の引力によって一気に臨界点を突破する。
二人の、四年ぶりとなる至高の夜が始まった。
次回予告
「スクープを狙う傲慢な『砲』を秒で黙らせる絶対防御!」
ドラマの爆発的人気に目をつけ、晴道とヒロインたちの秘密を暴こうと動き出すゴシップ界のハイエナたち。
それを封じ込めるみ組の実力とは!?
「この業界で明日からも生きていきたければ、その馬鹿な考えは今すぐドブに捨てるんだな」




