【第18話-01】─ 番外編:芸能界編二期
芸能界編二期始まります
こちらがラストエピソードとなりますので、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。
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【Scene01:ドラマ再び】
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千紗、千秋、千鶴の三人が主演を務める新たなドラマが制作されることになった。
そう、あのシェアハウスシリーズである。
舞台となるシェアハウスは、劇中では「芸能事務所の借り上げ社宅」という設定だ。
三階には人気アイドル三人組が暮らしており、二階には彼女たちのマネージャーが住んでいる。
ストーリーの軸は、人気アイドル三人組が、同じ事務所に所属する一人の男性俳優に同時に恋をしてしまうというもの。
つまり、彼女たちの現在の現実そのものだった。
その男性俳優の役を務めるのは、当然ながら晴道である。
そして、彼女たちを支えるマネージャー役には、千晴が抜擢された。
この企画がスタートしたのは、晴道と千紗が大学を卒業した直後のことだった。
メインスポンサーには同シリーズのスポンサーを続けている、千鶴の父親が社長を務めるオーディオ会社がつくことになった(なお、彼女の祖父は社長の座を退き、現在は会長を務めている)。
配置されたサブスポンサーには、《み組》も名を連ねる。
現在、《み組》は芸能事務所やサロンの経営を手がかりにして、出版業界、投資信託、塾の経営、さらには不動産業にまで、あらゆる業態へとその手を伸ばしていた。
出版業界への進出にあたっては晴道の両親である沙織と洋介の手を借り、投資信託事業には千紗の母・美優が顧問として就任。
さらに塾の経営には、教育コンサルタントである千紗の父・誠一がその手腕を活かして顧問を務めるという盤石の布陣を敷いていた。
不動産の経営に関しては、千晴を通じて高村不動産と提携し、そこに優香の父である一級建築士の剛志も深く関わりながら、南の父親の持つ企業ネットワークが強力な後押しをしていた。
来年、み組の株式公開(IPO)を目指す新倉南にとって、このドラマのスポンサードこそが、その野望を成し遂げるための「最後の一押し」だったのだ。
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【Scene02:み組の策略】
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グラビア・ミレニアムトリオが主演を務めるドラマの制作が発表されると、世間は騒然となった。
しかも、あの晴道が三人ものヒロインから恋い焦がれる対象になるというのだ。
晴道はこれまで、大学生活の傍らで細々とグラビアの仕事やドラマへの出演を続けてはいたものの、主役級を務めるのは最初の「シェアハウス物語」以来のことであった。
この発表に、彼の根強いファンたちは驚喜した。
それに対して、千晴の出演については「当然のこと」として世間に静かに受け入れられた。
彼女はあの最初のシェアハウス以来、ずっと一線で助演を続けてきた実績があったからだ。
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世間が期待に胸を膨らませる中、さらに追い打ちをかけるような発表が行われる。
ヒロイン三人の写真集が、ドラマの最終回と同時に発売されるというものだった。
予告として公開されたサンプル写真は、晴道を恋人に見立ててヒロイン三人がそれぞれ別々にデートを楽しんでいる姿が数枚。
そして、ヒロイン三人が純白のウェディングドレス姿で並び、『あなたは誰を選ぶの?』というキャプションが添えられた印象的なショットだった。
グラビア・ミレニアムトリオのファンはもちろんのこと、晴道のファンもこの演出に熱狂し、世間はさらなるお祭り騒ぎとなった。
写真集はヒロインごとに一冊ずつ用意され、それぞれ50ページで5,000円(税別)という非常に強気な価格設定だった。
紙媒体での出版であり、奥付にあるのは聞き覚えのない新しいレーベルの名。
もちろん、《み組》がこのために立ち上げた出版社である。
そこには沙織が代表取締役社長に就任している。
そして、そのサンプル写真の演技指導を行ったのは、霞の宿の女将である一ノ瀬花音の母・葉月だった。
そこには、かつて「草」が培ってきた、見る者を本能的に魅了する技術が惜しみなく盛り込まれていたのである。
撮影を担当したのは、花音の父であり霞の宿の支配人を務める直人だ。
彼は支配人業の傍ら、「美由・由美Web素材」で仲居たちの写真を熱心に撮り続けてきた経験があり、その腕前は並のプロを凌駕していた。
何より、草の技術を活かした写真撮影において、彼の右に出る者は世界中どこを探してもいなかった。
数枚のサンプル写真だけでファンたちが完全に魅了される中、追い風となる「ある噂」がネット上に流れ始める。
『写真集の予約売り上げ数によって、ドラマの結末が変わるらしい』
それは、《み組》があえて裏から流した噂だった。
ドラマの放送開始すらまだ先であり、予約はネットのみ、受け取りはリアル店舗のみ(しかも代金は先払い)という厳しい条件だったにもかかわらず、購入予約は文字通り殺到した(※なお、地方のファンのために、リアル店舗からの郵送対応枠も用意されていた)。
新ドラマへの期待と熱狂は、こうして放送前から天井知らずに跳ね上がっていくのだった。
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【Scene03:撮影開始】
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ドラマの撮影が開始されると、千紗、千秋、千鶴の三人による晴道へのアタックの駆け引きは、またたく間に熾烈を極めていった。
それはもはや、演技という枠を完全に超えていた。
その凄まじい熱量を前にして、監督、シナリオライター、カメラマンの三人は思わず息を呑む。
そう、彼らはかつて瑞月が主演を務めた、あの最初のドラマを共に作り上げた三人組だった。
「あの時の再現だな」
「そうっすね。今回もシナリオの改変は仕方ないっすね」
「それにしても、レンズ越しにあいつらの熱量をどれだけ記録できるか……。でも、やって見せますよ」
ちなみに、ドラマ内での年齢設定は、晴道が大学を卒業したばかり、つまり現実と同じく大学院生になったばかりというもの。
対するヒロイン三人は、大学進学と共にシェアハウスへと入居との設定のため、大学1年生。
千秋と千鶴は実年齢の2歳下
千紗は実年齢よりも4歳年下の役を演じることになったのだが、そんなことは何の問題にもならなかった。
彼女の持つあざと可愛らしさは健在であり、
まさに『ロリ巨乳ここにあり』を体現していた。
「何が、千紗が一番年下に見えるよ! 千晴さんを除けば、私が一番年上だっての!!」
そう憤る千紗。
ちなみに今回のドラマ内の役名は、すべて現実の本名に合わせる形で統一されたのだった。
撮影は順調に(いや、彼女たちの熱量に引きずられるようにシナリオは幾度となく改変されたが)進み、季節は秋へと移り変わる。
そして、いよいよ第一話の放送が開始されるのだった。
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【Scene04:放映開始】
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90分時間拡大枠で放映された第一話は、放送開始前から話題が殺到し、昨今のゴールデンタイムのドラマとしては異例中の異例である「瞬間最高視聴率50%超え」を叩き出した。
それはもはや、単なる人気ドラマの枠を超えた完全な社会現象と言ってよかった。
オープニング映像すらカットして本編からいきなり始まったドラマは、三人のヒロインの魅力を最大限に描き出していた。
そして同時に、彼女たちがそれぞれ晴道へと向ける、あまりにも深い愛の熱量をも世間に見せつけたのだ。
現実世界ではグラビアアイドルとして活躍する三人。
たまに(いや、結構な頻度で)出演するバラエティ番組のコーナーとして、他のアイドルグループの楽曲を歌うことはある程度だったが、ドラマ内では本格的に歌って踊る王道アイドルとして演出されていた。
それは彼女たちの今までにない新たな魅力に溢れており、その結果、本編を観て「担当変更(推し変)」にいたったファンたちは、新しく推しになったヒロインの写真集を追加で予約する羽目になるのだった。
そして、ドラマのエンディングになって、ようやく本来のオープニング映像が流れる。
その映像は、グラビア・ミレニアムトリオが本物のアイドルとして歌って踊る、実際のアイドルコンサートを模した華やかな演出になっていた。
バックに流れる楽曲は、これが初披露となる完全な新曲だった。
ドラマの最後、次回予告のさらに後に、視聴者への衝撃的な発表が行われる。
今しがたエンディングで流れたばかりの新曲が、CDとして発売されるというのだ。しかも、ネットダウンロード販売こそ一種類のみだが、店頭でのCD実販売においては、三人それぞれが単独でセンターを務めるジャケット仕様で「三種類」が同時販売されるというものだった。
当然、熱狂するファンたちはすぐに深読みを始める。
『このCDの販売枚数も、ドラマの結末に影響するのではないか?』
そう確信した彼らは、我先にと予約へ走るのだった。そのCDをリリースする音楽レーベルが、当然ながら《み組》がこのために立ち上げたものであることは言うまでもなかった。
次回予告
「アイドルとして耀く少女たちの、本音と欲望のバックステージ!
四週目の特等席(夜)を巡る、正妻(千晴)とミレニアムトリオの熾烈なる場外乱闘――」
瞬間最高視聴率50%超えの狂騒の裏側、楽園の控室ではヒロインたちの本音爆弾が炸裂!
「本当にアイドルやりたかったんだっけ?」と愚痴りつつも、圧倒的なあざと可愛さを見せつける千紗。
美優の厳しい投資指導に悲鳴をあげる千紗へ、千秋と千鶴は「リタイアするなら晴道お兄ちゃんは貰っちゃう」と容赦ないハモりで包囲網を狭めていく。
「駄目に決まってるでしょ!!」




