表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人のヒロインとシェアハウスすることになった僕は、全員を本気で愛して呪われてしまった。 ――告白は観覧車のてっぺんで  作者: iron-bow


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/113

【第10話-17】祝福と呪いのあいだで始まる物語-花音

昨夜の“収束”は、本当に収束だったのでしょうか。


隠したもの。

見なかったことにしたもの。

そして、気づいてしまったもの。


五人。

逃げ場のない距離。

試される理性。


この夜は、甘さだけでは終わりません。


――覚悟は、できていますか?


【Scene05.4:全員】



その日の夜


「……どうしてこうなった?」


小泉晴道は心の中で頭を抱えていた。


昨晩と同じ“金の間”の露天風呂──

だが、決定的に違うことがあった。


湯船には、晴道、千紗、優香、花音、美由。


男女混浴、当然──全員、全裸だった。


花音と美由は最初から隠す気配すらない。

千紗と優香も、最初は恥ずかしがっていたが、いまや腹を括ったのか堂々としている。


ただ一人、男である晴道だけが焦っていた。


(いや、無理だろ……!)


男は興奮を隠せない生き物だ。

しかも、今の彼の周囲には──


爆発寸前の爆乳・花音。

均整の取れた美乳・美由。

ロリ巨乳の千紗。


そして、スレンダーな美貌を誇る優香まで。


(どこ見ても刺激強すぎるって……!)


晴道の目は泳ぎ、身体は火照り、

湯の中とはいえ、すでに明らかな“変化”が訪れていた。


金の湯は濃い赤茶色だが

地元の“黒湯”ほどの濃さはない。

少し動けば、すべてが──バレる。


(素数を数えろ……素数を……っ)


だが無駄だった。

すぐ横で巨乳が揺れた。


(ちょ、ダメだって千紗……! 腕、くっついて──うわ、花音さんまで……!!)


想像力を止める暇もない。

理性が溶ける。


……そもそも、この地獄(天国?)を招いたのは──


優香だった。



時間はあの惨劇直後に遡る。


晴道と千紗は、霧の間で身体を温めたあと、金の間へ戻ってきた。

すると──頬をふくらませた優香が、腕を組んで仁王立ちしていた。


「……で? 二人とも、どういうことなのかしら」


明らかに、霞の湯での出来事を追及しに来た顔だ。


(……どう言い訳すれば……)


晴道と千紗は顔を見合わせた。

花音と美由はまだ霧の間。片づけと“お説教タイム”の最中だ。


沈黙が数秒つづいたのち──

千紗が導き出した“脚本”がこれだった。



「花音さんと晴道は、タンデムツーリングから帰ってきたあと、あまりに冷え切ってたの。

とくに花音さんは、晴道の風よけになっていた分、体が芯から冷えてたみたいで……」


「……風邪を引かせちゃいけない、って晴道が気を利かせて、温泉に連れて行ったの。

でも花音さん、自分でライダースーツを脱ぐ力もなくて……」


「だから晴道が脱がせて……それで一緒に湯船に浸かって。

寄り添って温まってるうちに、話が弾んじゃって──」


「……それで湯あたり?」


「そう。二人ともふらついて、湯の中で倒れ込んだときに、私たちが入ってきたの」



完璧な脚本──に、見えた。

だが現実はそう甘くない。


まず、バイクを運転していた花音が“動けないほど冷えてた”というのは無理がある。


優香はポンコツだが、頭の悪い子ではない

すぐに察した。

千紗の言わんとすることを──ずっと一緒に育ってきた彼女には、伝わった。


世の中には、“見なかったこと”にしたほうがいいこともある。


優香は、そうやって一度、胸の奥にしまった。



夕食の時間となった。


今夜のメインは、しゃぶしゃぶ。

口の中でとろける和牛に、五感が満たされていく。


そのときばかりは、優香も本当に、すべてを忘れていた。


……忘れていた、はずだった。



晴道たちが夕食を終えて金の間に戻ると、

そこには花音と美由が、まるで待ち構えていたかのように立っていた。


「お帰りなさいませ。夕食はいかがでしたか?」

美由が柔らかな笑みで問う。


「と〜っても美味しかったですぅ〜」

優香は頬をゆるめ、とろんとした声で答えた。

だがその直後、ぱちりと目を開き、にこやかに尋ねる。


「それで……花音さん。さっきのこと、説明してくれませんか?」


その笑顔はやけに完璧で――逆に恐ろしかった。


花音はちらりと千紗を見る。

千紗は優香から死角になるよう一歩下がり、小さくジェスチャーを始めた。


・両腕を握って広げ、中腰――バイク

・両肩を抱いて小刻みに震える――冷え切っていた

・晴道を指さした後、自分の肩を抱く真似をし、手で上着を脱がせる仕草――晴道が脱がせて介抱

・両手を重ね、その上に頬を乗せる――温泉で体を温める

・上半身をぐるぐる回す動き――湯あたり

・ふらつき、晴道に倒れ込むジェスチャー――二人とも倒れた


花音は小さく何度も頷き、

全てを正確に受け取った。


そして花音は――

千紗が作った“救護ストーリー”を完璧に再現した。

一字一句違わずに。


「……なるほど。そういうことだったのね」


優香は一見納得したように頷く。

だが次の瞬間、勢いよく畳みかけた。


「ってことは、晴道と花音さんは混浴してたってことよね?

それに千紗も、温まってから戻ってきた……ってことは、混浴したのよね?

霧の間には湯船ひとつしかないんだから!」


千紗は息をのむ。


優香はさらに続ける。


「私は一人で銀の湯だったのに……

もしかして、美由さんもあの後、一緒に入ったんですか?」


美由は喉まで出かかった

「それは違う」

を飲み込み、沈黙を選んだ。

(いま否定しても、話が複雑になるだけ……)


優香は深く息を吸い――宣言した。


「――私だけ仲間外れは嫌!

これから五人で混浴しましょう!!」


巨大な爆弾を投げつけた


誰も、反対の言葉を返せなかった。


――こうして、五人混浴という

あり得ない地獄(あるいは天国)が確定した。



【Scene幕間】



25日

早朝


「……どうしてこうなった?」


私――中田美由は、心の中で頭を抱えていた。


ここは金の間の寝室。

自分を含め四人の女が寝ていた



思い出すのは、昨晩の“混浴”のこと。


優香ちゃんの爆弾宣言で、

5人での混浴が確定してしまった昨夜。


「晴道は先に入ってて」

千紗ちゃんの一言で、晴道くんは脱衣所へと向かった。


しばらく待って、優香ちゃんが言う。

「じゃあ、私たちも行きましょ」


ここで変に隠そうとする方が恥ずかしい。

私は覚悟を決め、堂々と脱ぐことにした。


千紗ちゃんと優香ちゃんとは、昨日すでに一緒に入っている。

花音とは言うまでもなく、ずっと一緒だ。

違うのは――そこに晴道くんがいること。それだけ。


……いや、その「それだけ」が一番大きいんだけど。


私はハンドタオル片手に、どこも隠さず堂々と露天風呂へと向かった。

花音も同様で、全く隠す気がない。

千紗ちゃんと優香ちゃんも、徐々に慣れたのか、

あるいは私たちに対抗心を燃やしたのか――隠さなくなっていった。


そしてそこからは、女たちにとっては天国。

晴道くんにとっては――地獄の始まりだった。



爽やかイケメンで、意外と筋肉質な晴道くんが、

全裸でこちらのおっぱい、お尻、そして股間へと

チラチラ……いや、次第に凝視するようになっていった。


そして私は気づいた。

彼の放つ視線に、“強い気”が乗っていることに。


和也の“恋慕特異点アフェクション・シンギュラリティ”と同等、

いや、もしかしたらそれ以上の力を感じる。


今までも、彼から私の胸に向けられる視線に“気”を感じていた。

けれど、今のそれは比較にならないほど――強い。


きっと、先ほどの花音との気の交換で、

彼は完全に力に“目覚めて”しまったのだ。


非常にまずい。

気を流しきれない。受け止めてしまう。

体が、勝手に熱くなる。



花音を見ると、表情は平静を装っているけれど、

うん、まあ出来上がっている


優香ちゃんはトロンとした目で――こちらも出来上がってる。


千紗ちゃんだけが、まるで何事もなかったかのように平然としていた。

あの子、本当に気の受け流しが上手い。

やはり、血筋のなせる業なのかしら……。



やがて、花音が言った。

「そろそろ、上がりましょか。……次もあるし」


何がとは言わなかったけれど、

誰もが、同じ覚悟を決めていた。


私も、思わず言ってしまった。

「そうね。……まだ夜は長いわ」


優香ちゃんは、とろけきった顔で静かに微笑む。

晴道くんは、何かを悟ったようにうつむいた。


千紗ちゃんだけが、ひとりギョッとした顔をしていた――。



そこから先の事は語れない

口にするのも恥ずかしすぎる

6歳も年下の男の子に翻弄されっぱなしなんて・・・


ただ、これだけは言っておかなければならない

花音がこう決意した事を

「晴道の呪いは、千紗が解なきゃだめなの

私は……千紗のサポートに徹するわ」


そのときの花音は、まるで何か大きな決断をしたような、強い意志の目をしていた。


けれど、その内心を私が知るのは、少しだけ先のことになる。



今さら悩んでも仕方ない

私はそっと布団を抜け出した。


…って、あれ?

晴道がいない。


お風呂かな?


私はバスタオルを体に巻きつけ、渡り廊下をそっと進む。

脱衣所を覗いても内湯にはいない。なら、外湯か。


私はバスタオルを落とし、手に持ったハンドタオルだけで露天風呂へ――


「さむっ…!」

流石にまだ朝の空気は冷たい。


けれど、その湯けむりの先。

晴道は、ひとり湯船に浸かっていた。


「美由さん、起きたんですね。…みんなは?」

「よく寝てるわ。…まだ、ね」


私は静かに隣へ入り、肩まで湯に沈む。

途端に感じる、彼の視線。私の胸元をまっすぐに見つめている。


「そんなに見られたら、恥ずかしいわ」

今さらって気もするけれども

そう言った私に晴道は応えた


「だって、大好きな美由のおっぱいが揺れてるんです。見ないわけないでしょ!」

「“大好き”か、ありがとう」

「ちゃんと言えました、呪いが消えたんですかね」


「違うわよ。それ、“この絵が好き”っていうのと同じ類い。

人に向ける“好き”とは別物だから」


私はそう言いながらも、ほんの少しだけ頬が緩む。

「でも――ちゃんと、美由への気持ちも込めました」


彼のその言葉に、胸の奥がふっと熱くなった。

わかる。ほんのわずかだけど、確かに“呪い”が顔を覗かせている。


だから私は――

キスをして全部吸い取ってあげた。

でもそれは一時的な事で、呪い自体が解けるわけじゃない


私は考えていた


この子の呪いは私には解けない、花音の言うとおりだ

でも多分、千紗ちゃんと花音二人でも足りない

だってあんなに愛を交わしても心の奥底まで届かないのだから


昨日花音が言っていた

『あの子は、千紗ちゃんにも、優香ちゃんにも──きっと誰にも“全部”は開いてない』


そう晴道には心を全て開けるような本気の相手が必要なんだ

でもなぜか私は、その“本気の相手”が現れるのが遠くないと、確信していた。


そして、それ以上の事は何もせず

湯を上がった。


……全員、揃いました。


勢いで始まったはずの混浴が、

まさかここまでの事態に発展するとは。


目覚めた力。

揺れた理性。

そして花音の決意。


誰が主導し、誰が守り、誰が支えるのか。

関係性は、静かに組み替わり始めています。


さて――旅は終わります。

けれど、本番はここからです。


どう感じたか、ぜひ教えてください。



次回、

第10話完結です。


チェックアウト。


それぞれの家へ戻り、

それぞれの“母”と向き合う朝。


血の話。

一族の話。

そして、隠されていた過去。


さらに――東京で動き出す者がいます。


舞台は、次の局面へと至ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ