表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/91

78話 いざ、建劉園

 忌避(キケズ)の襲撃から数日後の街には、いまだにその傷跡が残っていた。

 かろうじてやつを倒し、消滅させることはできたが…やつの言う通りだとしたら、あのレベルのやつがあと6体も居ることになる。

 毎回都市がこんなふうになっているようじゃ、埒が開かない…そう考える人は、俺以外にもたくさんいるようだった。俺たちは街の復興がある程度軌道に乗ったのを確認できた頃に、またあの塔へと集まる。

 今回は万全の準備を整えて、迎撃…あわよくば攻撃をしようというものだ。


「もし仮に、奴の言っていた通りだとしたら…あと6体はとても今の街では対応しきれない。攻撃か迎撃、どちらを取るか決めたほうがいいと思う」


「それも全て、次にいつ忌避が来るかによります…来訪の身ですが、周囲の警戒も進めておくべきかと」


「そして1番の問題は、地下にまであいつの手が及んだことだ。ここはもうすでに、隠れ家じゃなくなっている…今の人々には、その不安が見て取れる。それをどうにかしないと、次あいつが来たときにもっとパニックになるぞ」


「問題山積みだな。1つずつ対処しなきゃいけない。頑張ってくれよ、ゲライウス」


「わかっている。こんな時に、エオリアがいたらどれだけいいか…」


「エオリア…って、誰だ?」


 キュラゴクスが、不思議そうに聞いてみる。俺も、そいつについては気になっていた。3つの都市を巡っている時、時々聞いた人名だからな。


「覚えていないのか?お前たちがこの世界に入った直後に会った、俺以外のもう1人のやつだ」


「あの剣士か…あれは、申し訳なかった。もっと、注意していれば…」


「いや、しんみりとした雰囲気にしようとしたわけじゃない…話を戻そう。まずは、ここに住む人々の不安を取り除かなきゃいけない。俺たちが奴らを1人落とす。それしかないと思っている」


「ああ、それも俺は同意だ。だが、それには膨大な準備が必要になる。そして1番の問題はいくら彗燦魂を1つ奪っているとしても、複数体でこられたら瞬殺されてしまうってことだな」


 その課題にみんなが頭を唸らせているところで、ラナリリスが不思議そうに手を上げた。


「それについては1つ思うところがあります…さきほどバーザール様が言ってくださった通り、複数体でこられたら私たちには勝ち目がありません。複数体で来たら確実に落とせたのになぜ、先に起こった襲撃では一体しか来なかったのでしょうか?」


「確かに…それじゃあ」


「そう、おそらく彼は同時に一体しか分身を操れない。分身が作った分身はどうなるかわかりませんが、少なくともこれは言えると思います」


「であるとするなら、随分と楽に動けるな…」


「ああ。そしてこの4万年、俺はやつの襲撃を百数十回と見てきたが…規則性はなかった。その観点から行っても、やはり攻めた方が確実だな」


 そう言ったゲライウスを止める者は、1人もいなかった。


「決まりだ。近いうちに俺たちは、忌避の拠点を襲撃する。バーザール、お前達はどうする?これに懲りても関わりたくないのなら、離れてもいい。どうするかはお前たちの自由だ。俺たちは強要しない」


「こんな状況になって街を放っておくなんて、よっぽどの悪人じゃないとできないだろ… 2人がどうだか知らないが、俺はこのままついていきたいと思っている」


「私は…異論ありません」


「俺も同意だ。今後もゲライウスたちについていきたい」


「…ありがとう。だが、流石に戦闘から計画まで全てをお前たちに頼るわけにはいかない…ここは、俺たちに任せてくれ」


 そりゃそうか。そんな重要なところにまで俺たちが絡んできたら、あっちの面目も潰れてしまう。


「わかった。最高のやつを期待しているぞ」


「任せろ」


 ゲライウスは一言だけ言って、再び作戦会議へと戻った。後は、彼に任せるだけだ…






 俺たちは、塔の外に出て、背伸びをしながら空を見上げる。街を見なければここがつい最近襲撃されたところだとわからないほどに、美しい眺めだ。


「さてと。少しの間の休みが取れたわけだが…2人はどうしたい?」


「今日は3人で過ごさないか?少し行きたいところがあってな…」


「つまり不安だからついてきてほしいと。そういうことですか?」


「…そうだよ。何か悪いか…!」


「キュラゴクス様にも、随分と可愛いところがあるのですね」


「まぁいいんじゃないか?俺も今日は何もする予定がないし」


「2人とも、感謝する。実は…急ですまない。建劉園に行きたい」


「?!あの、寄生都市にか…?何故だ?」


「単純な話だ。今回の件でもう少し死が間近にあるところで鍛錬をしたほうがいいと思ったんだ」


「それなら私も同行したいです。あの花について少し知りたいことがありまして…忌避が来た時に街で寄生人間が目撃されたそうです。彼の行くところに現れるとなると…今後も出会う可能性が極めて高い。次に被害が発生する前に、対抗策を作っておきたいです」


「後は、じゃあ俺が2人はあそこまで連れて行けばいいってわけだな。任せてくれ、安全に運んでやる」


 俺は着いた先で、全知王(ヘルメス)だかなんだかを使ってあの技を研究しておけばいいだけだしな。2人だけにして置いて事故るのも避けたいし。


「この事を、ゲライウスらにあらかじめ言っておいた方が良いでしょうか…?」


「いや別に大丈夫なんじゃないか?奴らも俺たちの行動を制限するほどにまで、追い詰められてはいないだろう」


「そんじゃ、決まったならさっさと行きますか!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ