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72話 思惑の交差

 計画を教える。そう言われ、俺たちは塔の地下へと連れて行かれたはずだ。それなら…


「なぜ、ここはこれほどまでに狭いんだ?この中に、計画が詰められているのか?」


「まあ、待たれよ。今、準備をする…ジェアイズ、押してくれ」


「わかりました…皆さん、壁から手を離してくださいね。感電しますよ」


 俺たちは急いで壁から離れる。ジェアイズがスイッチを押すと、何やら重要そうな機械が何処からともなく現れ、光を放った。


「お前たち、これを見てくれ。これはこの世界のすべての生物の原動力……彗燦魂(すいさんこん)だ」


「彗燦魂…」


「そんなもの、聞いたこともないな」


「知らなくて当然だ。これは確認できる限り、この世界に6つしかない…そのうちの3つを忌避が所持していて、残りの2つはいまだに見つかっていない。実力でも我々は彼に勝っていない上に、エネルギー源でも奴に負けているのだ…まずはこれを取り返すことから始めなければいけない」


「それで、奴に勝つ方法はあるのか?ここに俺たちを呼んだと言う事はそれを説明すると言うことだろ?」


「あぁ、勝ち筋はあるといえばあるが…これは一か八かの大勝負になる。ゆえに、君たちにも情報共有しておきたかった」


 そう言って、ゲライウスはこの世界の地図らしきものを持ってきた。


「ここシャントタウンに一番近いところにある忌避の彗燦魂は、北に123キロ…虚影の地、ハグロニクスにある。まずはそこで、彗燦魂を取り返す…早ければ早いほどいい。可能なら、明日にでもここを発って行こうと思っている」


「明日ですか…早くとも、明後日からが嬉しいです」


「ああ。俺も同意見だ」


「バーザールに同じく」


「では、明後日にここを発つことで良いな?」


 俺たち3人は、お互いを見ながら頷いた。忌避と再び、刃を交えることになる…次こそは、絶対に2人を危険な目に合わせない。


「それでは、俺は先生にこのことを話してくる。ジェアイズ、3人を部屋に案内してくれるか?」


「分かりました。それではみなさん、こちらへ」


「ああ。頼んだぞ、ジェアイズさん」


 俺たちはジェアイズに言われるがまま、塔の中を歩いて行った。しかし、本当に迷路のようなところだな…1人でいたら、無事に目的地に辿り着けるか心配だ。


「そういえば…ジェアイズさん。ゲライウスの言っていた『先生』って誰だ?」


「先生…?ああ、パラノープスさんのことですか。パラノープスさんは日頃は部屋から出ないため、私は2度しかお目にかかることがた事はありませんでしたが…とても優しく、周りに人が集まるような方でした。ぜひ、もう一度会ってみたいです…」


 そうか…そんな人がいるのか。一度、会って話をしてみたい。


「私ばかり喋ってしまい、すみません…そろそろ、目的の部屋に着きます。中は自由に使っていただいてかまいませんよ」


「ここか…」


 毎度のことになるが、部屋を提供してもらうときの感動は忘れられない。ここから今回の対忌避の旅が始まるのだ…!




 ジェアイズを返した後、俺たちは3人で話し合っていた。


「今回、初めから戦力の提供を得られたのは大きい。だが、やはり彼らを信用しすぎるのも良くないと思う。彼らも俺たちとは違う思惑があって、このゲームに参加しているのだろう。もし対立したら、手の内を明かしすぎていると不利になりかねない」


「ああ、同感だ。彼らはこのゲームを終わらせると言っていたが、忌避を倒すことで終わるわけではないだろう。おそらく、このゲームに勝ち、終了を宣言することでしか終わらないはずだ…もしそうであれば、彼らは俺たちに嘘をついていることになる。勝利を横取りされそうになったら何が何でも奪い返さなきゃいけない」


「1番良いのは、対立しないことでしょう。それについては、今までと変わらず第一目標としていきたいですね…」


「ああ。少なくとも忌避を倒すまでは協力関係でいたいな」


「さあ、話し合いはここまでだ!せっかく1日間の時間をもらったんだ。明日の準備だか、この街の散策だか、したい事はいろいろあるだろう。解散のやりたいことをやるとしよう」


 俺たちは夜にまた集まることを約束し、それぞれの目的を成しに行く…




「3人とも。あの来訪者についてどう思う?」


『彼らはやはりこのゲームの報酬を知り、それは手に入れるためにやってきたのだ。まさか私たちが最後に裏切り、奪い取るとは思うまい』


『私も同意見だよ。彼らには申し訳ないけど、これも仕方のないこと。もし…というか、確実に戦うことにはなるだろうけど、その時には私も出るよ』


『…皆に同じく』


「みんな覚悟は決まっているようだね。安心したよ。くれぐれも僕らの計画がバレませんように… 賛創神があなた方、そして私たちに微笑みますように」

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