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67話 静かに開幕

昨日は、予告もなく休んですみません…

親族に少しトラブルがありまして…

「それで、この街に入ったはいいものの…どこへ行けばいいんだ?」


「そんなこと、俺に聞かないでくれ…俺がわかる訳ないだろ?」


 刀で文字通り斬り開いた空間に入ったのはいいものの、街の見知らぬところにスポーンしたみたいだ。これからどこへ行けばいいのか、さっぱりわからない。


「こういう時はとりあえず…紙を見てみましょう」


「と言いたいところだけど、俺が飛べば解決するんじゃない…かっ?」


 そうカッコつけて思いっきり飛んでみる。よし、この世界でもうまいこと翼は使える。

 街の上空へ行くと、俺はまずいことに気がつく。上からみてみると、同じ街が等間隔で連続しているのがわかった。

 もしかして、入るところを間違えたか…?!刀で開いたあの入り口は違うところへの入り口だった?


「まずい、まずいぞみんな…空から見た感じだと、同じ街が等間隔で連続しているみたいだ」


「……まさか。ここまできて、そんなことがある訳ないだろ」


 そう言いながら、キュラゴクスはまっすぐに歩き出した。


「いや本当なんだって」


「見てみろ。どう見ても、永遠とループしているようには見えないぞ?」


 キュラゴクスが後ろを振り向きながら指さした先には、先ほど通り過ぎたはずの建物があった。ほら、言ったとおりだろ…


「あれ?もしかして、本当なのか?」


「こんな状況で嘘をつくわけないだろ…」


「だとすると、相当切羽詰まった状況のようですね…一度、入ったところに戻ってみませんか?」


「ああ、それがいいと思う。この街が連続していたら、その入り口も消えているかもしれないけどな」



 俺たちは入ってきたであろうところに着いた。だがやはり予想していた通り、入り口は跡形もなく消えている…


「まずいな。」


「ああ、まずい。」


「ええ、まずいですね。」


「…………この矢印がなかったら、まずかったな。」


「こんなにご丁寧に矢印があるのに、なんでだれも気が付かなかったんだ?」


「真後ろですから…急にバーザール様が上空に飛び立って、誰も気にしなかったのでしょう」


「…なんか、すまん」


「まあ、とりあえずだ!早くこの矢印の示す通りに進んでみよう!みたところ、もう数人はここを通ったみたいだし、待たせたら申し訳ない」


「その相手は、これから斬り合う敵だけどな…」


 俺たち3人は、矢印の示す先へ歩いて行った。ここの街が意外と元の世界と似ているせいで、頂上遊宴(ヴィクター・レガリア)に出るという緊張感が全く出ない…




 3人で楽しく話しながら歩いている背後には、一つの影が出てきた。その影から、長い槍が投げられる………

 俺がそれを感知できた時には、まさに槍が俺の身体を貫かんとしているところだった。あ、まずい。不意打ちか…


「バーザール様!うしろ…」


「バーザール!」


「危ない!!」


 見知らぬ声が響いた次の瞬間、槍は粉々に斬られる。俺の後ろには、剣を持った人が立っていた。助けてくれたのか…?というか、槍…あまりにも脆すぎやしないか?


「君たち、大丈夫か?どうやってモックタウンに入り込んだのかは知らないが…ここは危険だ、すぐに帰れ。それと…ゲライウス!貴様は、関係ない人へも危害を加えるのか!」


「…………?彼等は、泡沫(うたかた)の出したプロキシだ。外部の人間ではない。それなら、何も知らないうちに殺した方が、邪魔にならないだろう」


 泡沫…?あいつは、泡沫と面識があるのか?


「あの……これはどういう状況なんだ?」


「簡潔に言うと、君は彼に殺されかけた。私が彼を止めるから、恐れを抱いたのなら来た道を引き返すといい」


「いや、なぜ彼は泡沫を知っているんだ?俺たちは彼女の紙のとおりに動いていたら、ここへたどり着いた」


「まさか……君は、頂上遊宴(ヴィクター・レガリア)に参加しているのか?」


「ええ。私たちは、そのつもりで来ましたが…何かあるのですか?」


 ラナリリスが答えると、その剣士は後ろへ後ずさった。敵対視されたか…?まさか、この2人も頂上遊宴に参加しているというのか?


「言っただろう、エオリア。彼等はプロキシだと」


「まさか…投げ槍に反応できない者が、プロキシ…?泡沫は何を考えているんだ?」


 いや、反応できたし。というか、胸を貫かれたところで痛くても痒くもない。

 ………前言撤回、痛いと言えば確かに痛い。


「これは、どういう状況だ?どちらとも、敵意丸出しだが…?」


「どうやら、あの2人とも頂上遊宴の参加者みたいだ。この世界に来て、すぐに戦闘になるとは…ここに着いた時点で、遊宴はもう始まっているってことか」


「キュラゴクス様は男性の方を。私は、女性の剣士とやります」


「それじゃ、俺は自由に行かせてもらうぞ!」




 そう言って、俺たちは駆け出した。まずは1人、剣士の方を先に倒してしまおう…

 俺はラナリリスと共に剣士に襲いかかる。周囲には、けたたましいほどの金属音と火花が散っていた。


「おらあぁぁぁ!」


 俺の槍は、剣と当たっていくうちにどんどん削れて行った。今までにこれほど激しい戦いはしたことがなかったからか、最後には槍が真っ二つに折れる。


「ここだ…っ!」


 ラナリリスは、斬られそうな俺を意識せずに大鎌で剣士に対抗している。まずい、斬られる…

 槍が折れた?そんな物、もう一度作ればいい!俺は咄嗟に槍を再度生成して、彼女の攻撃を防いだ。


「なっ…?!」


 剣士が驚いているところに、ラナリリスが猛攻を仕掛ける。少しだけビビった…だけど、対応できた。大丈夫だ、落ち着け…

 俺はさっき使った技術を使い、一斉にその槍を生成した。剣士を中心とし、球状に配置して……


「槍よ、襲い掛かれ!!」


 静止していた槍は、中心へ向かって一斉に飛んでいく。俺はその間も、槍を生成しては飛ばしていた。

 これで、勝てる…そう確信した瞬間、また背後に、向かってくる槍の気配を感じた。


「先ほどの事から学ばない。愚かな人間の証だな…」


 防ぐ暇もなく、俺の体は胸から見事に貫かれた。みると、胸のど真ん中に大きな穴が空いている。


「よし…!見ろ、彼は死んだぞ!こうも弱い体で喧嘩を売るからだ…今すぐ帰れば、これ以上殺しはしない!」


「自分の手柄のように語るな。俺が仕留めた」


 2人の言葉に、キュラゴクスとラナリリスは反応しない。それどころか、少しの笑みを浮かべていた。


「胸を貫かれて死ぬ…?バーザールが、それほどの弱さだと思ったか?」


「見ていてください。今は、剣を下ろすことを許しましょう」



 なんか、すごい勝手に美化してるな…まあ、ここで復活するのもカッコ悪くはないしいいか。

 俺はたちまちせ再生して胸の穴を塞ぐと、槍を構えて戦場に戻る。敵の2人は、驚いて固まっていた。


「不死身…?まさか…」


「死なない、だと」

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