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58話 死の街、オヌガロス

 俺たちは言われるがまま、ガルシアについて行った。町の真ん中には何やら大きな機械があり、耐えず動いている。いろいろと普通の街とは違うところがあるな…


「おい、ガルシア…あの建物はなんだ?なんだか重要そうなものに見えるが…」


「ああ、あれは…炉心タワーと言ってな。ここらへんの海は色がおかしいだろう?赤黒くなっているんだ。それによるまあ、なんだ…侵食を防ぐためみたいに思っておいてもらって構わない。さあ、ついたぞ。ここが目的地だ」


 ここが…?目の前には、大きな城があった。近代的な、しかし昔の雰囲気が感じられるいい城だ。⭐︎5をつけたい。

 というか、よく考えたら俺たちは今からこの城へと入るのか…?この中には絶対お偉いさんがいる。俺の予感がそう告げていた。


「ここですか……そういえば私たちは、ここにいる方との面識は一切ありませんよ。今更になりますが、どなたかと勘違いしているかと思いますが」


「いや、少なくとも君含めこの2人には関係があるはずだ。ちょうど今はある方がこちらに来てくださっていてな。もし君たちに会ったら、その方に君たちを合わせるよう裏で指示されているんだよ」


 俺たちに会いたい…?今まで様々な人たちに会って来ていたが、“来てくださっている”なんて言われるほどに地位が高い人はいたか…?もしかして、Elf Schreckenだったりはしないよな?


「バーザール様…私とバーザール様には関係あって、キュラゴクス様には関係ないことなどあったでしょうか?少なくとも、私は思いつかないのですが」


「ああ、俺もだ。ラナリリスとキュラゴクスなら思いつくんだがな…おんなじパーティだとか、お似合いだとか…」


「それは、ガルシア様が言ったことでも当てはま…」


「ん?なんで口をつぐむんだ?」


「いや…なんでもありません。それより!案内が来たようですよ」


 階段の方を見ると、いかにも近衛兵のような隊がこちらを護衛しに来ている。ここ、首都じゃないんだよな…?なんでファラウルとこんなに装備が違うんだ?やっぱり、元の世界…取り分けアメリカが関与している匂いがぷんぷんするな。



 案内された部屋は、どう見ても一番偉い人が仕事をするであろう部屋だ。ここに、誰かが来るのか…そう思い数分待ったが、いくら経ってもその人は現れてこない。


「まさか、あの案内してくれた兵が部屋を間違えた説あるか…?」


「これほど待っても現れないとなると…その可能性が高いようです。ここは大きいですし、二つ三つとおんなじ部屋があってもおかしくない…」


「それじゃあ、誰かを呼んでくるか?」


「ああ。バーザール、頼んでいいか?俺は少し、ここにあるものを見ていたい。少し気になる本があってな」


「では、私もご一緒します」


 俺はラナリリスを連れてこの部屋を出ようとドアの取っ手に手をかける。あれ、誰かを呼ぶにしても誰を呼んだらいいんだ…?兵たちはもう近くにいないだろうし。

 そう思いながら取っ手を引くが、感触がない。え、ドアが消えた…?確認しようと前を見た次の瞬間、前から人が出て来て…

    ゴン!!

 いってぇ…俺、なんでこんなによく頭をぶつけるんだ?頭を押さえながら前を向いてみると、前には同じく頭を押さえた見覚えのある人が立っていた。


「もしかして…寿希様ですか?」


 そうだ。なんだか見覚えがあると思ったら、寿希じゃないか。もしかして、ガルシアの言っていた「あの方」は兄さんだとか…?


「もしかして、俺たちに会いたいって言っていたのは兄さん…?いや、まさか」


「啓一か…よかった、誰か知らない奴が入っているのかと思った。そうだ、俺が彼らに頼んでおいた」


「なんで?アースにいるんじゃなかったのか?」


「は…?俺は、東に来てくれと言っただけだ。まあ、こうやって会える未来を見えていながらそれをあの場で言わなかったことは…すまなかったな、2人とも。それで…あそこにいる男は何者だ?」


「彼は…キュラゴクス様です。私たちと共にいつも行動してくれている、仲間ですよ」


「そうか…すまない。それで、本題に入ろう。3人がここに来た理由はわかっている。ホガ=ドルナが落とした核爆弾についてだろう」


「ああ。バーザールはそれに直接当たった上に、その爆弾の情報を持っている。ホガ=ドルナがもう一度核爆弾を起こす前にそれに対抗できるものを作っておかないと、次はどんな被害が出るか…」


「キュラゴクスの言う通りだ。そもそもやったらダメなはずの奇襲を核爆弾でやる国だ。次の狙いがゲリシュトの首都じゃないとは言い切れないし、そもそもファラウルに落とさないとも限らないからな。どちらであったとしても、死者は十万人を優に超える」


「……啓一の言いたいことはわかった。要するに、これ以上この世界で核を使わせたくないと言うことだな」


「うん。兄さん、協力してくれないか?」


 寿希は無言で、机へ向かっていった。上に置いてあった本を手に取り、ページを一枚破いて俺に渡してくる。


「そこに書いてある文を読んでみろ」


 そこには、兄さんの経歴が書かれていた。大学を主席で卒業。学科は…


「核技術部?」


「そうだ。そこは、俺が在学中に新しく作った。大学の頃、俺はこの国の裏には何者かがいるという陰謀論を持っていてな…そういう思いを抱いていた頃にコリノーに会い、新しい学問を学べ、核技術について学べと言われた。それを続けていたら、いつのまにかこうなってしまった…まあ、学んだ技術が今役に立つと思えば悪くはないのかもしれないが」


 寿希はそう言いながら、シャツの内側を見せてきた。そこには、勲章らしきものが数個ついている。兄は、国に認められるほどの出世をしていた。


「兄さん…俺の予想になるんだけど、裏に何者かがいるっていうのは事実だと思う。さっきここまで案内してくれた兵士、出会った上官…全員が元いた世界の服装をしていた。兄さん、アメリカって憶えているか?その国が、ここに影響力を持っているはずだ」


「………わかった。啓一たちに協力しよう。ただし、条件がある」


 そう言って、寿希は急に声を小さくして言った。


「俺があっち側の世界に帰る手助けをして欲しい」

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