24話 嘘
護衛対象は、指定時間になっても来なかった。代わりに、少し遠くの方で金属音がし始める。
「この音…」
確実に、斬り合っている音だ。近くで戦闘が起きている。もしかしたら、遅れている護衛対象かもしれない。
「見に行ってみよう」
キュラゴクスは、頷くや否や走り出した。速い。追いつくので精一杯だ。もしかして、本当にキュラゴクスは強いのか?
音が徐々に近くなってくると、馬車らしき影が見え始めた。ただ、あいにくの夜だ。よく見えない。空に向かって少し弱い火弾を撃ってみる。
「ナイスだバーザール!」
外見を確認する間もなく、キュラゴクスが斬り伏せた。兵たちがこちらに気がつき、やってくる。
「助太刀、感謝する。我々はすぐ予定がある、これで失礼する」
「あ、もしかして中に乗っている方はガンドゲウスまで行きますか?」
兵は驚いた様子で、途端にこっちに剣を向けてきた。あれ?護衛対象の馬車じゃなかったか。
「何者だ。もしや…」
「いや、俺らはある人からガンドゲウスまでの護衛を頼まれていてな。その人が遅れていたものだから、その対象かと思っただけだ。傷つけようという意思はない」
キュラゴクスが間に入ってくれた。こっちを見て、何か訴えてくる。
「…名前は?」
兵が、何か察したようにこちらを見る。
「自分はキュラゴクス。あっちはバーザールだ」
「……少し待っていてくれ」
そう言って兵たちは消えていった。しばらくして、戻ってくると何やらキュラゴクスと話を始める。
「バーザール!この馬車が、護衛対象のものだそうだ。確認が取れた」
「自分はフェネウスという。先ほどは、そうとも知らずに剣を向けてしまいすまなかった」
「いえいえ。急に知らない人から極秘にしていることを言い当てられたら、誰だってああなりますよ」
「よし。誤解も解けたことだ、早速任務開始といこう。フェネウスさんたち、今から行くことでいいですか?」
「ああ、構わない。遅れることになったことも、重ねてお詫びする」
「そんなに畏まらないでください。僕らは雇われ人ですよ」
「……わかった。それでは、いくぞ」
そう言うやいなや、フェネウスは他の兵に指示を出し、歩き出した。妙に統率が取れているような気がするが、気のせいか?
それから2日が経ち、俺たちは何事もなく山脈を超えて後少しで森の出口へ辿り着くところまで来た。今日は、森の中で野宿だ。俺は馬車の少し遠くで木を集め、魔法で火をつける。
「あと少し、だな」
後ろから見回りを終えたキュラゴクスが、声をかけてくる。
「うん。だけど、気は抜けない。こんな暗いところじゃ、どこから何されるかわからないからな」
もしかしたら、急に後ろから刺されるかもしれない。そうしたら、痛みはもの凄いだろうな。そう、こんな感じに…
急に力が抜ける。キュラゴクスが俺の後ろを見て何か喋っている。
え?
俺は下を見る。胸から、紅に染まった剣が突き出ている。痛い…苦しい。
そのまま俺は横に倒れた。目の前の炎がぼやけてくる。




