23話 信じるべきは友と運
ひつじが742匹、ひつじが743匹…
「おーいバーザール!そろそろ時間だぞ!」
ドアが叩かれる音と共に目が覚めた。あれ?今、俺変な夢見ていなかったか?
「あ、ああ…今行く…」
「さっき渡した制服とかを忘れないようにな!俺は先に下に行っているぞ」
時計を見ると、9時を過ぎていた。そうだ、今夜は仕事があるんだった。俺は寝ぼけながら体を起こし、制服に着替える。
今夜は、たぶん俺の手で人を殺すことになる。今まででも殺したことはあったが、今回は意識せずにはいられなかった。
下の階に行くと、もう準備をし終わったキュラゴクスが待っている。なんだか普段では感じられないような、勇ましい雰囲気だ。
「よし!できたか。それじゃあ、こっちにきてくれ。俺たちで、最終確認だ」
「確か、11時に集合だったよね」
「そうだ。もう一度言うことになるが場所は、漏洩を極限まで避けるためにバーザールにはいえない。すまないな」
「いや、それは決まりでしょ?それなら仕方ないってことだよ」
「そして、今回はざっと計算するに往路3日復路4日の合計7日間になる。家に帰るのは1週間後時だ。忘れ物はないか?」
「まず剣だろ?制服は着た、地図も持ってるから大丈夫だ」
「よし、じゃあ出発するぞ。俺についてきてくれ」
そう言って、キュラゴクスは玄関に向かっていった。俺は、そのあとをつけながら…
(全知王、これから歩くルートを地図に記録してくれ)
〈了解しました。〉
よし、これでどこに行ったか後からでもわかるな。まだ地名しかしらないんだ、見たところ訪れたところはなるべく記録していきたい。
〈10時43分、指定の目的地に現着。行動記録をセーブします。〉
ここが、集合場所か。暗くてよくわからないが、森の入り口のように見える。
「よし、時間前に着いたな!後15分ほどある、少し待つぞ」
「わかった。僕は少し近くを回ってるよ」
俺は少し森の中に入り、ヘルメスを呼ぶ。
「ヘルメス、少し前に見せてくれた地図みたいな物出せるか?」
〈了解しました。〉
途端に、目の前に地図が浮かび上がってきた。青い四角が2つ、赤い丸が1つ光っている。
〈青は訪れたことのある街、赤は現在地です。〉
なるほど。で、この赤い線が今日歩いた道ということか。あの街から西に来ていたのか。
赤い線の延長線上には山脈があり、その先には別の都市があった。海岸都市、ガンドゲウスだ。俺は地図を閉じながらつぶやく。
「ということは、今回はこの山脈を超えてガンドゲウスまで大臣を届ければいいということか…」
「そういうことだ」
「?!」
急にキュラゴクスの声がしたと思ったら、奴がすぐ後ろにいる?!地図を見ているところ、見られたか…?
〈この地図は、貴方様以外には見えません。故に、キュラゴクスは認知していません。〉
「よかった…」
「何が?」
「いや、なんでもない。そうだ、そろそろ大臣がくるんじゃないか?早く戻ろう」
「バーザール」
急に呼び止められた。俺何か気に触ること言ったか?
「今から、大臣というのをやめろ。護衛対象と言うんだ」
「?なんでだ?」
「バーザールは毎回大臣って言っているだろう?自分の中で、『大臣は、守らなければ』という緊張ができている。戦闘する際には、そういう事一つとっても命取りになるぞ」
確かに、言われてみればそんな気がする。俺、緊張しているのか。
「ああ、わかった」
「じゃあ聞くぞ。今回の任務の内容は?」
「護衛対象を守り切り、海岸都市ガンドゲウスに送り届ける事」
「よし。そろそろ時間だ、行くぞ」
初任務。何もないことを祈ろう。




