22話 初仕事
朝起きると、ガルヴァの元へ行く。そのままキュラゴクスとも会い、一緒に朝ごはんを食べる。賑やかな朝だ。
そろそろ、ガルヴァも食べ物を食べるようにした方がいいか?食事をしていないことは、近くに膨大な魔気を持つ者がいることを示しているのと同じだからな。
そんなことを考えながら、庭に出て朝日を浴びる。これが、一日の始まりだ。
今日は、キュラゴクスが言っていた「初仕事」の日だ。指定された時間に待ち合わせをするらしい。
「そういえば、今日は何時にどこにいけばいいか教えてくれないか?」
「あーそれは、だな…」
キュラゴクスが急に口ごもる。何か隠しているな、こいつ。
「何か隠し事があるのか」
「いや、まあ、そういうわけじゃないんだがな、」
「なんだ?僕も行くんだ、教えてくれてもいいじゃないか」
「それが、…今日行くのは深夜の11時なんだ」
「おう」
思わず声が出た。聞き間違いか?
「夜の11時か?昼ではなく?」
「……ああ、夜の11時だ」
まあ、夜遅くまで起きているのは得意だが…だから、キュラゴクスはさっきから変に寝ることを勧めてきていたのか。
「まあわかったよ。それで、その内容は?」
よくぞ聞いてくれたとばかりに、キュラゴクスは喋り出す。
「内容は簡単だ!街から街を進む間に護衛をするだけだ。まあ、その護衛対象が大臣とかいう少しお偉いさんだがな!」
全然簡単じゃないじゃないか。え?大臣の護衛?俺が?
「大臣の護衛?!俺らだけでいいのか?」
「ああ!今回は隠密にいきたいらしくてな。大人数ではバレるからと、俺ら二人にだけ声がかかっている」
「俺の初仕事が、大臣の護衛…」
「まあ、そう焦るな!リラックスしていけばいい!緊張していたら、倒せる敵も倒せないぞ!」
いや、誰でも焦るだろ。俺の行動に、大臣の命がかかっているんだぞ。
「とにかく、そういうことだから今日は多めに寝ておいた方がいい。俺は、昼頃から寝るから起こさないでくれ!」
「わかった。あと、ガルヴァは連れていけたりするか?」
「あー、護衛対象の身を守れればいいと思うぞ!」
そう言って、キュラゴクスは家から出ていった。しょうがない、暇だし俺も少し出かけるか。
街の外れの森に着くと、俺は強制発火の練習を始めた。本当なら確実に倒せるであろう龍王の風格を練習したいんだが…
〈キングオブモンスターは強力ゆえに訓練に時間がかかります。今すぐ技が必要な貴方様にはお勧めできません。〉
だそうだ。火弾でもいいが夜行くんだ、あまり光が出ないものがいいだろうからな。
(コツとかあるか?教えてくれ)
〈この技は、全身にある魔気回路に魔気を流し込ませる技です。魔気回路の構図をよくイメージできるようになる練習をしたら良いかと思われます。〉
なるほど…となると、人間は想像しづらいから、丸太で試すか。
周りが、だんだん暗くなってきた。もう夜か。結局、昼寝をせずに練習してばかりだった。
(最終確認だ)
俺は目を閉じて、息を吐く。再び目を開き、力を込めて人型に加工された木を見る。すると、胸の辺りから伸びる無数の線が光り、徐々に木から煙が出てくる。
(今だ!)
すると、大きな炎が出始めた。成功だ。あとは、何回もやっていく間に慣れていけばいい。
あとは、家に帰って時間まで休もう。俺は火を消して、街へ向かった。
家に着くと、キュラゴクスが何か持ちながら準備をしていた。
「帰ったよ、キュラゴクス」
「おお、来たかバーザール!ちょうどいい、これを持ってくれ。昼に最終確認しにいった時に貰ったものだ!今夜はこれを着て護衛に当たってくれ、だそうだ!」
胸に星のマークがある。レオンが来ていた服の、少し豪華な物だ。
「これが、制服か」
「まあ、そうなるな。見惚れていないで、早く来てみたらどうだ?」
言われた通り着た姿を、鏡で見てみる。なるほど、動きやすいように作られている。
あとの問題は剣だが…まあ、それはキュラゴクスに任せよう。
「よし、ぴったりだな!あとは、向かうだけだ!」
「僕は少し休む。時間になったら起こしてくれ」
「ああ、わかった。いい夢を!」
これで準備は整った。あとは、時間が経つだけだ。初のミッション、絶対にクリアしてみせる。
さあ、盛大にフラグを立てたバーザールはどうなるのか?!




