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【第13回ネット小説大賞・金賞】異世界に落ちて10年、高校時代のクラスメイト達が勇者召喚されました。  作者: ふぇありす
2章

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1章改稿・試作読み⑦

「それって、漫画とかに出てくる【異世界転生】ってやつ?」


「多分、死んでないから【異世界転移】の方だね。生きたままこっちの世界に連れてこられた訳だし」


「そうですね、気が付いたら冷たい部屋にクラスの皆さんがいらっしゃって。移動中に私《わたくし》たちは別室に通されましたね」


「別室……」


「その後はなんか光る床に乗せられて。気づいたら鷹取……ホウショウ? に助けられてたのよね」


「そこは、蒼井さんも同じかな?」


「はい。 私《わたくし》の記憶もそこで途切れております。それと、クラスメイト【全員】は居ませんでした」


「そうなのか……そうなると、俺みたいな奴が居るのかもしれないな」


ただ、俺がこちらの世界に来たときに日本語を話していた奴は居ないし、可能性としてあり得るのは違う時間に飛ばされたかもしれないということだけだ。


(そうなってたら、お手上げだな……)


「鷹取さん、その……鷹取さんみたいな人とは?」


蒼井さんが小首を傾《かし》げる。


「それは、俺のこの姿の説明にもなるんだけど……」


「そうそうその姿、気になってたんだけど。なんというか凄く変わったわね、その……主に見た目とか……」


「はい! そんな素敵な姿になられたのは……もごもが……」


「へ?」


「あー気にしない気にしない、ただのオジ好きが発動しただけだから。それで、どうしてそんな大人な姿に? 鷹取って記憶じゃ、なよっとしてて教室の隅で暗い雰囲気を纏ってたよね?」


「うぐっ! 確かにあの時の俺は色々とやる気がない奴だったけどさ……」


そして純粋な眼差しで聞くのはやめてくれ、確かにその通りだが。陰キャにその言葉は精神的にキツイところがある……。


「あー、簡潔に言うと、皆より先にこの世界に落とされたんだよ。それで、こっちの世界で十年生活して今は二十七歳になったんだ」


俺の言葉に二人が固まる、そりゃいきなり十年経ってますはダメージがデカいだろう。


「えっ……いや、嘘でしょ……十年って。いや確かに今の鷹取の雰囲気は学生じゃありえないけどさ」


「そんな、十年だなんて……」


「えっと……それでまだ悪い報告があるんだ」


言葉に詰まる二人にとって、今から聞かされることは崖から突き落とされるようなものだ。


「まさか……帰れないとか?」


「あぁ、この十年、色々と試したんだけど。俺は一度も元の世界……日本には帰れてないんだ」


エルフの国みたいに一般人は立ち入れない国や、魔法学術都市国《マギスタルシア》の地下数百層に及ぶと言われている巨大ダンジョンの超古代遺跡なんかもあるし。全部が全部って訳でもないんだけど、それでも探せる部分は探してしまった。


「家に、日本に帰れてない……」


「そう、なのですね……」


二人の表情に違和感を覚える。表情は暗いはずなのに、どこか落ち込んでないように見える。


「それよりも、鷹取に聞きたいんだけど。この胸のタトゥーみたいなのって?」


「…………」


「あ、目を逸らした」


「逸らしましたね」


「詰められると、凄く答え辛いんだけど……」


二人共、俺が顔を避けるのが楽しいのか胸を持ち上げて詰めてくる。必死に顔を逸らしてるのだが多勢に無勢で常に正面に回ってくる。


「えっと、それは【奴隷紋】というやつで……その……」


途端に呂律が回らなくなる。何故だろうか、普段、他の人に言い慣れてるはずなのに、二人にこのことを伝えるのは躊躇いが生まれてしまう。


「その奴隷紋は……その……せ、【性奴隷】の……です…………」


気まずくなり頬を掻きながら言う。すると、沈黙が場を占める。


「えー、えっとぉ……説明させてほしいんだけど……。まず、この世界には制度としての奴隷の種類が四つあるんだ。一つ目は【犯罪奴隷】、つまり犯罪者の更生や労役の為に設けられる奴隷。軽犯罪だと公共施設の清掃とかなんだけど、重犯罪になると鉱山送りになったりするんだ」


とはいっても、国家反逆罪とか違法奴隷を扱ったりとかの重犯罪者は裁判後に処刑となる。


「二つ目が【戦闘奴隷】、主に借金が返せなくなった冒険者がなるんだ、これは商家の人や貴族が警備や警護の為に購入する奴隷なんだ。大体が金遣い荒いだけで優秀だからそのまま雇われたりするんだけどね。そして三つ目が【侍従奴隷】、これは口減らしや戦争孤児等がなる奴隷だったり借金に追われた一般人がなるもので小学生くらいから大人まで居てね、買われた奴隷にもお給料が支払われるので、主に保護の目的での奴隷化が多いんだ」


基本的には奴隷を害したり、奪おうとしたら重罪だ。犯罪奴隷に対しても他の連中が殺さないように厳罰化がされてる。


「そして最後が【性奴隷】、基本的には娼館で働いてたり個人や貴族でも所有している人がいる奴隷なんだ。男性女性共に需要があって法律上十二歳以上じゃないとなれない。そして、一度性奴隷になると基本的には性奴隷から解放されることはないんだ」


俺が話し終えた直後、崖から突き落とされたような顔になる二人。


「それって、犯罪奴隷よりも重いじゃないの……」


「そうだね、とはいっても性奴隷になる人はめったに居ないし。他の奴隷より優遇されてるんだ」


「でも 私《わたくし》たち、性奴隷にされてしまっていますよね?」


「困ったことにね……本来ならば同意なしの性奴隷化は禁止されている行為なんだけど、恐らく二人が使われた薬、あれで意識を朦朧《もうろう》とさせて無理矢理に契約をしたんだと思う。ただ、経緯はなんであれこうなると二人に残されてるのは娼館で働くか、誰かに買われるかの二択しかない」


他の方法は、あるにはあるんだけど。正直、悪い結末にしかならないので伝えることはしないでおく。


「娼館……本当なの?」


「そんな……嘘ですよね……」


「大旦那は元々やり手の娼館主だからね。二人が望めば働けるようにはしてくれるよ」


「ほ、他に方法はないの!?」


「………………」


俺が黙り込み首を横に振ると、二人は引き攣つった笑みを浮かべる。無理もないだろう、いきなり異世界に連れてこられて、訳もわからない間に性奴隷にされているなんて納得できるはずがない。


「じゃあ私たち、身体を売らないといけないの?」


「い、嫌です! そんな知らない人となんて……」


そりゃそうだろう、俺だっていきなり異世界に飛ばされていつの間にか見知らぬ人に身体売れなんて言われても無理がある。


「えっと、娼館行きを回避する方法はあるんだよ。あるんだけどさ……クラスメイトにこれを言わなきゃいけないことを、凄く悩んでるんだ……」


どうにも、さっきからこの話題になると、どうしてか歯切れが悪くなる。状況につけ込むようなことになるからなのか、非常に口が重い……。


「悩んでるって……助けてくれないの!?」


「いや、助けたいとは思ってるけど」


「 私《わたくし》たちにできることなら、頑張ります!!」


「いや、クラスメイトだから言い辛いというか……絶対「お前それが目的だろ」って非難されるのが目に見えてるからさ……」


明後日の方向を見ながら気まずそうに頬を掻く。これから先は非難の嵐になるかもしれないので気がそれなりに重い。


「前提、前提として聞いてね! 娼館での働きから回避する最善の方法は、誰かに買われることなんだ。けど正直、性奴隷を買う貴族や商人って、少なくとも奥さんとかなーり年齢差があって白い結婚をしているか。異常というか……口に出すのも憚《はばか》られるような、かなり狂った性癖の持ち主の可能性があるんだ」


今回の件だってもしかしたら酷い嗜好の人間に飼われてしまう可能性もある。


「だから正直、こういったことを二人に言った後に俺が言うのは都合が良すぎるんだけど。二人とも、俺に買われない?」


「えっ!?」「ふぇ!?」




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