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【第13回ネット小説大賞・金賞】異世界に落ちて10年、高校時代のクラスメイト達が勇者召喚されました。  作者: ふぇありす
2章

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1章改稿・試作読み⑤

更新遅れました! すみません!

(どうして、この二人が?)


遠い記憶の中の懐かしい制服の少女が二人、目の前に居た。


(確か、蒼井《あおい》さんと細野《ほその》さんだっけ? 有名だけど、名字しか覚えてなかったからなぁ……)


進学校にしては珍しい、茶髪にピンクのインナーカラーの入った髪は特徴的で覚えやすかった。もう一人は濡羽色《ぬればいろ》の髪を持ち、精巧な人形とも思えるほどの美人な少女はよく学校の中で話題になっていた。


「おーい、ホウショウ連れてきた……ってどうした、顔色が悪いぞ……」


「そ、そうか?」


「あぁ、お前のそんな顔、今まで見たことないぞ?」


「大丈夫だよ。それよりも奴隷商は?」


「外に転がしてる。それはそうと、外の子供たちドン引きしてたぞ」


アインが苦笑いをする、そういえばまだ死体片付け終わってなかったな。


「あー……あんまり見せちゃ不味いな。とりあえず軽く説明してこの場から離れよう、獣たちが寄ってくる前に」


「そうだな。そこの二人……どうしたんだ?」


アインが俺の肩越しに二人を見る。


「そうだな、おーい二人共?」


目の前で手を振るが反応が薄い。先程の女性のように暴行を受けた様子はないが口が開きっぱなしで目の焦点が合わない。


「麻薬《クスリ》を使われてるっぽいな……」


「尋問内容《聞くこと》が増えたな」


――ウォウォーン!


「近いな……」


「どうする?」


「戦えるのは俺たちだけだし、移動速度を上げたい」


「わかった、檻をブチ壊すか」


檻を壊して外に放り出す、空いた荷台に手分けして使えそうな荷物と子供たちを乗せる。


「さて、アイン(アイツ)が馬と荷物を回収しに行ってる間に尋問を始めるか。おい、お前。あの二人に何を使った?」


奴隷商の前にしゃがみ込みニッコリと笑いながら聞く。


「そ、それは……」


「話せないのか?」


「ひいぃ!?」


こちらは努めて笑顔で聞く。どうやら答えたくないようなので仕方ない、ふくらはぎにナイフを突き立ててぐりぐりと抉る。


「話せ」


「いぎががががぎぎぎぎっ!?」


「もう一度言おうか。なんの薬を使った?」


ナイフを抜き汚い悲鳴が響き渡る中、死なないように火魔法で傷口を焼く。


「ひぎいぃぃぃ!?」


「おい、答えろ。次は……」


「わかった! 答える! 答えるから!!」


どうやら使われた薬については、闇ギルドの仲介人から渡された物を使っただけらし

く詳しくはわからないようだ。


「クソ野郎がっ!」


腹を蹴り飛ばすと取り繕うようにペラペラと聞いてもいないことを喋り出す。


「チッ、それじゃわかんねーだろ。まぁいい、折角だし試すか……」


予備の薬を飲ませ、置いてある蒸留酒も一気飲みさせる。


「うがっ!? あはっあへへへへへっ?」


即効性があるようで一瞬で昇天する。前後不覚になっているようだし、このまま馬車の外に吊るしておこう。


「終わったみたいだな。悲鳴が響いてたぞ」


「あぁ、アイン。早かったな」


「いや、いいさ、んでアイツはどうなったんだ?」


がっている奴隷商を指差して質問をしてくる。


「あぁ、薬の中身を聞きたかったんだけど。知らないって言うからさ、そのクスリを使ってやったんだよ」


「うげぇ……酷い奴だな……」


「効果はわかったし、直接命を取られないだけ十分だろ」


「ちげぇねえ」


――ウォウォーン! ――ウォウォーン!


「やべっ、かなり近いな!」


それから慌てて、馬車に乗り出発する。旧街道を駆け抜け正規の街道に飛び出した頃には朝になっていた。


違法奴隷商からクラスメイトたちを助け出しこの街に来て早二週間が経った。アインは違法奴隷の子供たちと王都に向かったのだが、現在俺は二人の治療の為にこの街へ残っている。


「さてと……昼食は、サンドイッチで大丈夫かな?」


昼食を買って治療院へ向かう。奴隷商を引き渡した際に状況を説明したところ、イブキ公爵の計らいで慰み者にされた女性は領主館での手厚い治療を受けられることになった。二人も意識を取り戻すまでは領主館での治療だったが、今は治療院での治療を行っている。


「早めに治療薬の効果が出ればいいんだけどな……」


麻薬の治療薬に関しては、この街の薬師《くすし》でもお手上げだった。なのでアインに聖王都まで戻ってもらい、頼みの綱である 薬師《シテュリ婆さん》 に解析を頼んだのだった。


「ホウショウだ。開けてもいいか?」


ノックをして中に呼びかけると「はーい」と返答があったので室内に入る。こっちの世界に溶け込まない制服を着た二人が、調子の悪そうな顔をして座っていた。


「ホウショウ。お帰りなさい」


「ホウショウさん、おかえりなさいませ」


「ただいま。二人とも、食事は食べられそう?」


「えぇ、少しなら……」


「 私《わたくし》も、少量でしたら……」


立ち上がろうとするところを抑え、手早く準備する。そうして食べ終え治療薬を飲むと、薬物の効力が抜けない二人はまた眠ってしまった。


「それじゃあ、行ってきますね」


「すみません、連日」


「いえいえ、大丈夫ですよ。ついでにギルドの依頼も受けてますので」


リストを受け取り確認する。どれも近場で取れる薬草で、本来ならば初心者冒険者の

依頼で回収されるものだ。


「二人の治療薬のこともありますし。それに仕方ないですよ、一昨日の土砂崩れの復

旧に行ってしまったんですから」


ランクが低い冒険者でも参加できる、割の良い復旧作業《肉体労働》なので皆そっちに流れているのだ。


「でも、金等級の方をこんな……」


「気にしないでください。丁度、暇ですし」


極めて平和なこの街は、魔物の討伐任務とかがあまりなく本当に暇なのである。


「とりあえず、昨日仕掛けた罠を見ておくか」


田畑や森に仕掛けた野生動物用の罠を確認しつつ、新しく周辺地図を起こし道や野草の群生地を記入していく。そうしているうちに日も暮れてきたので街に戻り二人の面倒を見る。


「さて、それじゃあ俺はソファーで寝てるから、何かあったら呼んでくれ」


二人に声をかけて照明を落とす。それから数日後、シテュリ婆さんの薬が効いたお陰で二人の顔色も良くなり、治療師からの完治のお墨付きももらうことができた。


「ということで、ささやかだけど快復祝いの食事に行こうか。話しておきたいこともあるし」


(流石に、色々と説明しないとな。これからのこともあるし……)


これから二人にはこちらの世界のことや俺の事情を話して今後のことを考えてもらわないといけないし、その為には英気を養わないとな。


そうしてしばらく歩くと、オススメされた傘の吊り看板の店があったので入る。中は花が飾られお客さんは女性の割合が多い、女子二人が好きそうな華やかさであると同時に重要な話をするには結構微妙である。


(まぁ、後で店を変えるか。二人も喜んでるみたいだし)


店員さんに案内され席に着くと、メニューとお水が置かれる。華やかな店員さんとお店の雰囲気で緊張した二人の空気も和らいだ感じがする。


「さて、まずは二人の快復祝いだから好きなものを頼んで……と言いたいところだけど、二人はこっちの言葉がまだ読めないからね。適当に頼ませてもらうよ」


了承を得てから店員さんにオススメを聞きつつ注文する。そうして料理が一通り揃

そろったところで乾杯をする。


まぁ、二人は未成年だしお酒はまた今度ということで」


俺の発言に二人の表情が固まる。思わず口から出てしまったが、もう隠さなくていいだろう。


「え? どうして私《わたし》たちが未成年って知ってるの!?」

「ちょっと待ってくださいどうして 私《わたくし》たちが未成年って知ってるんですか?」


「あー……まぁ、二人の調子が良くなってから話すつもりだったからね。改めて自己紹介をしようか、俺の名前は『ホウショウ』。元の世界の名前は鷹取飛翔《たかとり つばさ》。二人と一緒のクラスメイトだよ。ただ、見た目はだいぶ変わったけどね」

生徒手帳とスマホを取り出して見せる。空間収納《アイテムボックス》は時間経過がないので電源がまだ入るスマホを操作する。


「証明になるかわからないけど、一年の時に学年で行った時の旅行の写真がコレ」


「えっ、今どこから?」


「何もないとこから出てきました……」


「あぁそうか、これは空間収納っていう魔法の一種でね、見てわかる通り異空間に物を収納できるんだ」



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