1章改稿・試作読み②
すみません、途中のデータを投稿してたみたいです……。
修正しました
「グエーキモチ悪い……」
担いでいるアインが俺の上で気持ち悪そうにする、いつも飲む酒よりは度数が高いのか酔いが回りやすいみたいだ。
「調子に乗って飲むからだぞ」
「ウェー」
生気のない返事が返ってくる、とはいえ俺も飲みすぎたのかいつもより頭がぼーっとしてる。
ったく……ってお前、寝るな!!」
「Zzz……」
いつの間にか、背中から高いびきが聞こえてくる。
「こいつの家……遠いんだよなぁ……」
聖王都の中でもアインの家は賃料の安い外縁部で、かなり距離がある。まぁ、身体強化を使えば重い荷物を運ぶのはそう苦でもないのだが……。
「むさ苦しい男を担いで長々と歩きたくねぇ」
折角美味しいお酒を飲んで気分がいいのに、一日の最後でこれはお断りしたい。
「仕方ない、ここから近いし。 娼館 まで行くか……」
力の抜けて重さを増したアインを担ぎ直し娼館へ向かう。あそこならアインの愛しい人も居るだろうし。
「それに、久々にカトレアに顔見せしないとなぁ……」
アラビアンナイトの立ち上げ人の一人で、大旦那並みに付き合いのある昔馴みだ。とあることがきっかけで出会ったのだが毎回俺が依頼から帰った時は顔を出すのが約束になっている。
「なんだかんだで大旦那と一緒に俺のこと心配してくれてるし、急いで行くか……」
足早にアラビアンナイトまで到着した俺と荷物。すると入り口の警備をしていた黒服がこちらに気づいた。
「いらっしゃいませ旦那、お久しぶりですね」
寄ってきた厳つい黒服に声をかけられる、小奇麗な格好をしているが首に奴隷紋が見えている。
元々、腕の立つ冒険者だったが、左手を欠損するほどの大怪我を負って引退。そこから酒と博打に溺れ借金から奴隷落ちした。その後は大旦那に買われ、治療を受けた後ここで用心棒をしている。
「よお、ガルデン。頼みがあるんだが……」
担いでいるアインの顔を指差す。するとガルデンが苦笑いをして頷
うなず
く。
「かしこまりました、スズランは中で新人の子を仕込んでますのですぐに来れるかと」
「そうか、じゃあどこかの部屋に放り込んでおけるな。スズランに介抱してもらえばいいだろうし」
俺が呆れたように言うとガルデンが笑いながら、ボーイ見習いであろう青年に声をかける。恐ら
くは空き部屋を用意してもらいに行ってるのだろう。
「アニキはどうします?」
「あー……カトレアは?」
俺がカトレアの名前を出すと周囲の黒
用 心 棒
服たちから「おぉ~」っと声が漏れた。
「居ますよ、そろそろアニキが帰ってくる頃なんで客は取ってないですよ」
「いやいや、仮にも最上級の娼姫だろ?」
「大丈夫ですよ、カトレア様ですから」
「えぇ……それで大丈夫なのか……」
戸惑いながらも娼館の中に通される。豪奢なロビーでは薄衣の女性たちが微笑えみを浮かべて男性達へ愛嬌を振りまいている。
「あら? ホウショウじゃない?」
控えていた娼姫の中から紅桔梗の髪色を持つ、胸の大きな女性がこちらにふわりと寄ってくる。
そしてするりと俺の腕に身体を滑り込ませてしな垂れかかってきた。それを受け止めていると周りで待っていた男の客たちから羨ましそうな視線が飛んでくる。
「あぁカトレア、こんばんは」
いつものことなので周囲の視線は気にせず彼女の相手をする。彼女は最上級ランクの娼姫であり俺と大旦那の昔馴染み。そして俺の初めての相手でもある。
「依頼から帰ってきたんだね、今日は遊んでいくんかい?」
「えーっと……無事帰ってきたことの報告と、アインが酔いつぶれたからさぁ!?」
カトレアの大きな夢を隠している薄着の中に俺の手が導かれ差し込まれる。すべすべとした肌と微かに手にひっかかる突起の感触が一気に襲う。
(やばい……依頼明けだから抑えてた分が!)
依頼の期間は気が張ってるのでスイッチはオフなのだが。今は街に戻ってきたせいか気が抜けている。つまりは簡単に元気になってしまうのだ。
「へぇ……顔見せだけで済むんだぁ……」
するりと頬を撫でられ、首元に顔を埋められる。馥郁たる蜜の甘さに。
「うぐっ……わかった、お相手頼めるか?」
「やったぁ!! それじゃあ行きましょうか」
ニコリと笑うカトレアに圧倒され、そのままあれよあれよと部屋に連れていかれることとなった。
◇◆◇◆◇◆
「ホウショウ、悪いんだけどこの依頼受けないか!」
この間の依頼から帰ってきて数日、そろそろ次の依頼をどうするか悩んでいたところにアインが上機嫌でやってきた。
「うわっ。いきなり早朝に来やがって、一体なんだよ」
花香の匂いがするってことはコイツ娼館に行ってきたな?
「色々あってな、とりあえずこれを読んでくれ」
手渡された依頼書を見ると、どうやらとある公爵家からの急ぎの依頼らしい。
「おいおい、貴族の依頼かよ。しかも公爵家とか絶対関わりたくないんだけど……」
この世界で俺を鍛えてくれた師匠が貴族嫌いのせいか、俺も貴族にいい感情はない。なので貴族からの依頼は避けたい。
「何か隠してるな? 俺が貴族からの依頼を受けたくないって知ってるはずだろ?」
「うぐっ……実は……」
アインが申し訳なさそうに土下座を決める。どうやらアインが想定していた身請けの金額は〝身請け〟だけの金額のようで、新生活に必要な諸々のお金までは想定してなかったようだ。
「このままじゃスズランに呆れられちまう! だから、頼む!!」
「はぁ、仕方ない。このままじゃスズランが可哀想だしな。俺からの結婚祝い代わりに受けてやるよ」
なんだかんだアインはいつも俺の都合を考えてくれているし、友人の為だ。貴族嫌いだと言っても今回くらいは受けてあげるべきだろう。
「いいのか!! ありがとう!!」
「いいけど、お前が手続きと交渉をしろよ? 俺の名前を出すこともするな?」
「わかった!! ありがとう!!」
ずびずびと鼻を鳴らしながら抱き付いてくるむさ苦しい男を押しのけながら改めて依頼書に視線を向ける。
(ぱっと見は〝ただの輸送依頼〟に見える。だが、報酬金が高すぎるのが引っかかるな……)
俺たちはギルドの中では金等級と呼ばれる下から三番目だ。平均的には金貨十枚前後、今まで受けた最大の報酬はどんなに高くても金貨五十枚だ。なのに今回は金貨五〇〇枚である。
「ん、どうした? そんなに考え込んで」
「いやな、報奨金がとんでもなく破格だろ? なんかキナ臭くてな……」
「あーそれは……」
気まずそうにするアイン、何か裏があるなこれは。
「なんだよ、言えないのか?」
「いやな、今回の依頼はギルマスからの紹介なんだよ。空間収納持ちでそれなりの実力者が条件らしくてな。んで、依頼の期間が一週間と訳アリと来たもんだ」
「そういうことか……」
短い期限を伝えられ、やっと納得がいった。本来俺たちくらいの等級になると、商会等に独自の繋がりがあるパーティーが殆どだ。そうなると実力のある冒険者を他の依頼から引っぺがそうとすると高めの報酬が必要になるのだ。
「流石は公爵家ってとこだな」
「まぁ、運ぶ荷物が〝とんでもないほどの高価〟か〝相当ヤバイ〟物なんだろうな」
「お前なぁ。ヤバそうな依頼とわかってて、なんで受けたんだよ」
身震いしているアインに対して、反感を込めて睨みながら言う。
「うぐっ……。次の依頼分を計算すると丁度良かったんだよ。身請け金の残りと新しい家財とオマケにエンゲージリングだっけか? アレも買えるし」
「お前……まさか、身請け金と家の購入金額だけしか用意してなかったとか?」
白々しく明後日の方を向いて口笛を吹き始めるポンコツ野郎へ呆れた視線を向ける。
「全く、スズランをこんなアインに任せて大丈夫か……」
後でスズランにも謝っとかないとな……。
「と、とにかく! 出発は明後日の早朝だ」
「はぁ……了解、おっちょこちょいな相棒の為に一肌脱ぎますか……」
「おう、頼んだぞ!」
メロンブックスさんの特典ですが、完売しちゃいました……。
増産できるか確認してもらってます……。
本当にありがとうございます。




